「あんた、何やってんのよ。」

アジトの暗闇で縫い物に苦戦していると、背後から声を掛けられ、思わずビクリと肩が跳ねた。この声は確か、骸様のご愛人の…

「あ…、M・M…さん。ちょっと、その…制服のボタンが取れちゃって…、」

私が彼女に快く思われていないのは明白だった。きっと怒鳴られるか愚痴を零されるのだろうと、眸をぎゅっと瞑り肩を竦める。



「バッカじゃないの?」

ああ、ほら。やっぱり。



「何で私に言わないのよ。貸しなさい、やったげるわ。」

フンと鼻であしらわれて、制服を強引に奪われたものだから、私は呆然とする他なかった。けれど裁縫をする手つきは存外優しく、優しげな微笑みを浮かべていて、







……ああ、私の完敗。彼女にだったら、骸様を奪われても仕方ないわ。

(だって女の私ですら、彼女に恋をしてしまいそうなの!)






-エムブロ-