7月22日。
太陽が欠けた。

三日月みたいになった太陽を、私は一人でじっと、見ました。
この日をずっと、楽しみにしていました。




夜。

友人の結婚式の電報を手配しようと思って。ネット繋いで。
目に入ったYahoo!ニュースのヘッドラインに、息を呑みました。


アベが死んだ、って。


写真と、死因と。葬儀は近しい人だけで。って。
記されていたのはそれだけでした。

なんか、すごくぼんやりしてしまって。正直、電報どころじゃなくて。
でも、ちゃんとしなくちゃいけなくて。大人なんだからって誤魔化して。大して仲良くもない友人に向ける薄っぺらいお祝いの言葉を、なんとか吐きました。




それから。
昔の映像を、ひたすら見ました。
MステもHEY!も。
98年フジロックも、03年幕張も。
彼らの演奏する姿は、笑ってしまうくらい格好良くて。色褪せることなどなくて。
画面の中は、四人で。一人いなくなったなんて、実感は無くて。

見てる間は、全然。楽しくて。
不敵に笑うアベは、ホント鬼みたいで。超早くて。その速度でもリズム隊の安定感ハンパなくて。チバの声と表情堪んなくて。すごい楽しくて。



深夜。
電気を消して。ベッドに入ってから、ボロボロに泣きました。
なんかもう、息できなくなるくらい。
泣き疲れて眠って。いつもと変わらない朝が来て。目は腫れて、頭は重く鈍く痛みました。
ミッシェルを聴いたら、また泣いてしまうのは分かってて。それでも聴かずにいれなくて。
朝からベストを流したら、世界の終わり、でやっぱり泣きました。

涙腺は、完全に弱っていて。私も、弱っていて。それでも訪れる翌日の、晴れた空が憎くて。私は黒い服を着て。
私には彼が、彼らが、すごく大切だったのだと。そんなことを今更に。




解散から、六年。
いつか、また同じステージに立つ四人を、見られるんじゃないかと。私は密かに思っていたよ。
きっと誰もが、そう思っていたよ。

でも伝説は、本当に伝説になってしまって。永久に、ミッシェルは帰ってこなくて。
彼は、突然いなくなって。彼のギターはもう、響かなくなって。


彼は死んだのだ、と。
その簡潔な事実が、なによりも受け入れ難いのです。ただ、寂しくて、悲しくて、恐ろしくて。
止め処なく、涙が出て。喉が渇く。


彼はきっと太陽を掴んだのだ、と。誰かがそう言っていました。
骨になってもハートは残るぜ、と。いつかチバは歌っていました。



スーツの四人が頭を振り回して。横並びの三人が長い足を振り回して。煽るように弦を掻いて。
そうやって暴れる姿は、私の思い描くロックンロールそのものでした。
寡黙な四人から生まれる音は、ロックンロールそのものでした。



私はまだ、子供のように、メソメソしてしまうけど。でも、今日の雨が全部流したら、次の青空は、ちゃんと喜ぶから。



バイバイ、アベフトシ。
バイバイ、ミッシェル。
未来まで、愛すよ。