スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

白い猫と、黒い猫


あるところに、いっぴきの猫がいました。

可愛らしい顔をした、ちいさな、白い猫でした。

その猫には好きな猫がいました。
まっ黒い猫でした。

白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」

黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」


なんども なんども そのやり取りを
繰り返しました。


雨が降っていても、雪が舞っていても
晴れの日も、曇りの日も
春も夏も秋も冬も

白い猫は言います。
「わたしは、あなたがすき」


黒い猫は言います。
「ぼくは、きみがきらい」


なんども なんども 繰り返しました。


ある日、黒い猫は聞きました。
「ぼくのどこがそんなに好きなんだい」と。

白い猫は答えました。「あなたはすてきな色ね」


黒い猫は怒りました。
黒いからだなんて、嫌いでした。
じぶんのことなんて、ぜんぶぜんぶ嫌いでした。





白い猫は言いました。

「わたしは、あなたがすき」






この春、
二匹のあいだに子猫が生まれました。

灰色ではなく
しろくろの子猫でした。


二匹は、白も黒もだいすきになりました。











なんとなく文章が書きたくなって


僕は、夕暮れ時の
電車が好きだ。

閑散とした風景に
ぽつぽつと人が座っている。

人が居ないところが
空席なのではなく、
空っぽが人と人の間に
座っているように思えた。


空白って 大事だ

僕はそう思う。


ドーナッツの穴は
存在か空白かと
歌っている歌があるけれど、

僕が考えた答えは、
空白が存在するには
存在が存在しなければ
ならないってこと。

ドーナッツを全部食べてしまったら
穴は無くなってしまうってことだ。


何かが無くなったことを知るには
そこに何かがあった事実がなくちゃいけない。

つまり

無くなったことは
あったことの証明だ、と
僕は思う。




ただ、僕の抱える空白は
棘だらけだった。

あったことの証明だと
空白を抱き締めようとして
傷だらけになった。

だけどそこにまた
違う形の幸せが入り込んで
「案外キャパが狭いんだな」って
苦笑いしたんだ。






夕暮れ時の電車の中
僕はそんなことを考えながら
ゆらゆらと揺られた。



車内アナウンスが
僕が降りる駅の名を告げて
重い腰をあげる。


文末にはいつだって
ピリオドを打つものだけど
単語と単語の間に
空白は何度も訪れる


僕は夕暮れ時の電車が好きだ。




.

宇宙飛行士への手紙..2



あれから、僕たちは、大人になった。

驚くことに僕の職業と言えば宇宙を探索して回る、アレなんだ。


今週末 僕は初めて地球を離れる。

その前の時間を、彼女と静かに過ごしている。
さっきから話しかけてるのは僕の方ばっかりなんだけど…。


「ふたご座でのんびり地球を見てくるよ。」
そう言って僕はまた砂時計をひっくり返した。

紫色の砂が、君と僕で違う2分を何度も刻んでいく。
隣にいても、多分心はすれ違っているんだろうな。

強がりな君は寂しいなんて言わない。わかってるよ。


「…出掛けない?」
一呼吸置いてから、僕は言った。

残りの一週間
どこにだって一緒に行こう
お揃いの記憶を集めよう
何回だって話をしよう
忘れないように、教えあおう。



死ぬまでなんて嘘みたいなことを
本気で思うのは
生きている君に僕はこうして出会えたんだから。


宇宙から帰ってきたら、言おうと思う
言葉でしか知らなかった「幸せ」ってやつを教えてくれた君に。









私は、手紙を書いた。
届ける術もない、手紙を。

「宇宙は、綺麗ですか?
地球は、青いですか?
帰ってきたら、またあの公園に行きたいです。」




宇宙飛行士への手紙。



あの日は、そうだ。
窓の外を見たら雨が降ってた。
屋根を叩く雨音は
次第に大きくなって
水浸しになる世界を僕は
ただぼんやりと眺めた。


そんな時に届いた
一通のメール。

君が送信してきたメール。
「つめたいよ」
ただその一言だけ。




僕は家を飛び出した。


玄関を勢いよく開け放つと
蜘蛛の巣みたいな稲妻が
空を粉々に砕いて消えた

ジャンル分け出来ないドキドキを
胸に抱えて
幼かった僕はただ走った。




そこに、 君がいる保障はなかった。
けど、きっといると思った。

公園のブランコ。


……いた。
痛いくらいの雨音の中で
君は俯いてゆっくり
揺れていた。

髪から滴る雫は
もう濡れてるのかさえわからないほど
彼女のすべてを濡らしてた。


傍まで行ったものの
声をかけられない僕に気付くと、
彼女は顔を上げて柔らかく微笑んだ。
そして次第にその笑顔は歪み
涙が溢れてきた。
雨粒よりも丸くて 大きな涙


その時、
ぎゅっと彼女を
抱きしめたのは
僕がその泣き顔を見ていられなかったからだ。
優しさなんかじゃ、ないよ。




でも 君は言った。
「ありがとう」





出来るだけ離れないで
いたいと願うのは
出会う前の君に
僕は絶対出会えないから

....to be continue


私の取り説。恋愛編。(やってみた)


:: 基本性能

恋人とだけは、解り合いたいという気持ちが強い、
深めのお付き合いに向いているモデルです。

恋人のある「一瞬の表情」が目に焼きついて
離れない「瞬恋シャッター」を搭載しています。


:: 充電方法

感謝の言葉、メール、あと直筆の手紙とか最高です。
瞬間充電できます。

笑わせるとなんだかスゴイ元気になります。


:: 取り扱い注意点

付き合うとすぐ妄想する「瞬間妄想機能」を
標準搭載しています。
ひとりでむふっと笑う時がありますが怖がらないで下さい

10分間の沈黙をしない「沈黙ブロッカー」が
付いています。
※眠い時、満腹時に「沈黙ブロッカー」が
動かないこともあります。

心赤外線通信は多めにお願いします。
いろいろ知りたいので、いろいろ話してください。

一回ちゅーすると、すぐまたちゅーしたくなる
「ちゅースヌーズ機能」が初期設定でオンになっています。

「心保護フィルム」は意外と傷つきやすいです。

気持ちを伝えるときには「遠回りモード」が
作動します。

「陰口ブラックプラン」はご利用いただけません。
他人の陰口を言う人は、恋人でも冷めてしまいます。

「積極告白モード」が初期設定されています。
告白しないであきらめるよりも、
実らなくても告白はしておきたいです。



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::

あえて、ノーコメントで。笑











prev next