「さーとしー」
ヒタリ、と頬に冷たい感覚。
びっくりして顔をあげると、良樹が笑って前に立っていた。
その次に視界に入ったのは俺が好きな炭酸飲料。
「ほらよ、誕生日プレゼントだ」
「えっ…安!!!!!!!」
「んだよ、値段より大事なのは愛だろ?」
少し不機嫌そうに言う良樹に吹き出した。
「おいっ、何笑ってんだよ!」
「だって…良樹が愛とかっ…かわっ…」
「っ…言わなきゃよかった…」
バツが悪そうに外方を向いて、腕を口元に当てて照れる良樹にデレデレしてると、直美と篠崎さんが良樹に冷たい視線を向けていた。
モテる彼氏をもつと大変だな、とか思う。
自慢じゃないけどな!
まあ俺は俺なりに森繁の憎々しげなオーラを浴びたりしてるんだが、それは無限大の包容力でスルー。
「何デレデレしてんだよ…」
「えぇー?良樹可愛いね」
「う…うっせぇな…」
ここで『ふざけんな死ね』が来なくなっただけ、進歩したのかなぁ、って思う。
照れてるし。
まだ昼飯時だし時間があるから、良樹の手を引っ張って屋上に走ってった。
「あっつ…」
「じゃあ何で屋上なんて来たんだよ…」
「人目、ないだろ?」
そういって笑うと、良樹が顔を思いっきり赤くした。
「何だよそれ…」
照れ隠しみたいに呆れた声を出す良樹をにやにやしながら見ていると、 日差しが痛いのか、手を隠したりしていて、ああ、そう言えば、と思った。
「家とバイトで引きこもりだもんな。日差し苦手?」
「引きこもり言うな…まぁ、苦手だけど…」
気だるそうに目を伏せる良樹にそうだ、と言って覆いかぶさると、伏せた目を驚いたように開けた。
「なあ、今日俺誕生日なんだからさ、良樹からしてくれよ」
「へ?…あぁ、え??」
「キスだよ、な?いいだろ?」
良樹は火照ってるのとはまた別物に顔を赤くしていて、あ、そう言えば良樹今日ずっと赤面してるな、と思った。
「し…しょうがねぇな…」
「え、本当にしてくれるのか?」
「なんだよ、嫌なのかよ…」
「嫌なわけない!!!!じゃない!!!!!!!」
「え、いや、あ、はい」
しまった。
心の声が…。
失敗したと嘆いている間に、良樹はどんな葛藤を乗り越えたのか、旅に出ることを決意したド〓クエの主人公みたいな顔をして俺の手を握っていた。
「い…いくぞ…」
良樹が切羽詰まった声を出すから、俺まで緊張してきてしまう。
いや、まあいつも緊張しているが、それよりもだ。
とか何とか考えていると、口に何かが当たって、さっと離れた。え?
「〜っ誕生日、おめでと!」
「えっッッたぁ!!!えっ?!」
額に当たって跳ね返ったのは、指輪の箱。なんで?
開けてみると、それは由香が欲しがっていた物だった。
え?
一緒に入っていた手紙を見てみると、そこには
『お前ってそういう趣味なのか』
と書いてあった。
彼は誤解をしている。
しかもそれはとても重要な誤解だ。
きっと理由はアレだ。
この間一緒に帰ったとき、中途半端に『あれ…欲しいって…』とでも言っていたのだろう。
俺のバカ!
だから良樹バイト増やしてたのか。
大変複雑な心境だ。
いやしかしせっかく貰ったのだから、つけないともったいな…いけどそんな恥ずかしい。
温くなった缶とどうすればいいのかわからない指輪を持って途方に暮れた。
授業開始のチャイムが鳴った。
「あっ」
★あれ
ごめんね!!!!!!!
遅れた上にこんなんなんて!!!!!!
でも天神小はやめたげてよぉ∵(°∀°`)
眠くて駄文
お腹へった
許して
眠いよ 良樹きゅん(眠いときの呪文)