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アパート
(アパート)
俺の家は新築で真新しいアパートの三階。
一階一番手前の部屋には管理人のアキさんと愛猫が二匹住んでいる。
アキさんは二十歳過ぎくらいの物静かな男の人だ
いつも笑顔で優しげなオーラが彼の周りには漂っている
「おかえりなさい」
玄関フロアで掃き掃除をしているアキさんが笑顔でこちらを向いた。バイトで嫌な事があっても部屋に戻るまでに腹の虫が収まっているのはきっとアキさんのお陰なんだろうなと笑顔を見て思った。
「ただいまです、いつもご苦労様です」
愛猫であるオッドアイのクロネコ二匹が彼の足元を離れ俺の足元に寄ってきた。
「いいえ、専ら暇なものですから」
ガサゴソとさっき買ってきたコンビニの袋から鰹節を二匹にやるととても美味しそうに平らげるものだから猫ってこんなに可愛かったっけ、俺も飼ってみようかなと喉を撫でるとゴロゴロと喉を鳴らして喜んだ。
「それじゃ、また明日アキさん」
「ええまた明日、会えたら会いましょう」
アキさんの右目に掛かる黒髪が会釈と共にさらさらと流れて、その向こうにある彼の目は猫と同じ金と青のオッドアイだった。
次の日、人手が足りないからといきなりバイトになった元休日。
居たら挨拶していこうと思っていたのだが、アキさんには会えなかった。
でもそのかわりに漆黒の長い髪の若い女性が玄関フロアを掃除している
「おはようございます、」
声を掛けたら彼女が振り向いて笑顔
アキさんと同じような笑顔とオッドアイが言う
「昨日は鰹節をありがとうございました」
足元でお揃いの黒猫が二匹、こちらを向いてニャアと一鳴きした。
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