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【APH】朝菊

【サモン3】ヴァル←アティ

「おはよう、何か変わりありますか?」
「……異常なし」
「そうですか」
「………」
「そろそろお腹がすいて決ませんか?」
「只今の時刻、まもなく正午です」
「私じゃなくてヴァルゼルドがですよ」
「エネルギー量98%維持、問題なし」
「…もう!ヴァルゼルドにはこれをあげます!」


「せんせーい!」
「はい?」
「ネコバッジ知らない?探してもないのよー」
「それならヴァルゼルドが持ってますよ」
「は?なんで?」



***
唐突過ぎるヴァル←アティ。
ヴァルゼルドが好き過ぎてたまんないのにEDが無い事実に全私が泣いた。

【マニクロ】修羅ライ

 
「鳴海さーん…」
「どうしたよ…少年…」

泣き付く様に所長机に突っ伏して呻き声混じりで人修羅が目の前の椅子に座る人間の名前を呼ぶと、鳴海はほぼ日課となっていたマッチ棒建築を崩された喪失感を飲み下して必死に返事を絞り返した。
うっすらと震える声はきっと気のせいだろう。
そんな微妙な発声の変化は意に介さず人修羅は続ける。

「帝都が物珍し過ぎて遊びまくってたらバレンタインもホワイトデーも終わってた」
「悪い、未来の人の話には流石についていけないわ」

きっぱり。
廃墟と貸したマッチ棒を大事そうに菓子折りが入っていた様な白い箱に収めながら鳴海が言う。
その台詞に思わず頭を振りかぶる勢いで持ち上げて、頭上を飛んでいたピクシーにヘッドバットしかけた。
慣れた羽捌きでそれを避けた妖精と目が合うと(ごめん)とアイコンタクトだけして人修羅は鳴海との会話を再開する。

「えっもしかしてまだない?まだないの!?」
「ない、多分ないな。あったとしても俺は識らないなぁ」
「あー…良かった!無理矢理くっ付いてきたから見捨てられたかと」

浅くため息をひとつ。
心底安心した表情で胸を撫で下ろす人修羅にピクシーが私にも頂戴よぅ、と甘ったるい声で話し掛けて居る。
その会話に鳴海の頭上で電球に電流が走って。

「ははーん。察するにそれ、恋人同士に重要な行事だな?」
「え、いや。識らないなら別に良いです、よ」
「そんな一喜一憂するほど重要な行事を遊び歩いてて忘れてた、と」
「それは、その」
「もしライドウが知ったらどう思うかな。泣きはしないだろうけど呆れはするかもなぁ」
「………」

浴びせられる言葉の刃に気分がぎしぎしと歪んで行く。
浮上していた頭がまた机の上に吸い込まれそうになってぐらぐらと揺れるのを必死で堪える。

「こらニンゲン!あんまりイジメないでよ!」
「いいんだピクシー…鳴海さんには珍しく正論だよ…」

俯き沈む人修羅を眺めて満足そうに口の端をにんまりと上げると腕を組んで背もたれに寄り掛る。

「珍しくって失礼な…大体な、何日も帰らなかった奴が調査終わりましたって来たと思ったら男連れだぜ?しかも半裸の。流石に寛大なお父さんも吃驚だって」
「誰が御父さん、ですか」
「噂をすればおかえりライドウ。いつの間に」

学校から帰って来ていたライドウは既に背負っていた外套を脱いでつり掛けた後で、黒猫がその足元から机の上に跳躍すると突っ伏しながらおかえりなさいと囁く人修羅の後頭部を前足で軽く突く。

『どうしたのだこいつは』
「僕の事は放っておいてください…」

纏っていた装備を外したライドウが静かな歩調で机に近付くと、手に持っていた白い包装箱を人修羅の後頭部にポン、と軽く乗せる。

「お、パーラー寄ってきたんだ」
「さっきそこでルイさんに会ったんです、」

言うに
「これから先のずっと未来では愛しい人に公然と想いを告げることの出来る日があるのを、知っているかな」
から始まりバレンタインデーとはなんたるかの講義を受けさせられたらしく、「これが君たちの『きっかけ』になれば」と言い残して何時の間にか姿が無くなっていた、とか。

「人修羅さん」
「…なんですかライドウさん」
「珈琲を淹れますから席に座って下さい。鳴海さんも。お茶にしましょう」

人修羅と鳴海、交互に視線を巡らせて、ゆったりと微笑する。
その表情を人修羅が見えない位置でする辺り、この二人は進展速度が極端な程に遅そうだと鳴海は苦笑した。

「はいはいっと。どのケーキにするかな」
「ああ、それともうひとつ」

言いながらピクシーにケーキの入った箱を預けるとウィンクをして受け取る。ピクシーはライドウを激励するような視線を送り、ゴウトは人修羅に応援の意味を込めて尻尾で叩く。
必死に台所へと飛んで行く後ろ姿を見送ると、今度はちゃんと表情が伺えるようにライドウは跪く様に床に座った。
それに気付いた人修羅がばつが悪そうにしながらもしっかりと向き直る。
視線が合ったことを確認するとライドウは静かに、囁く様に声を発して。

「今後とも末長く宜しくお願いします」

と、一言だけ告げた。
途端、人修羅の表情が歪んで行き、再び机へと突っ伏す形になる。
握りこぶしでトントンと己の膝を叩きながら「もう閣下に足向けて寝ない」等と宣って居る。
その一部始終を観覧した形になってしまった鳴海が水を注すようにいちゃつくなら余所でやって!と勢い良く席を立った。





***
気付いたら美味しいイベントを逃しまくっていたわたしですこんにちわ。
すっごい猫の日も何もしなかった悲しさ。


ボルテクスの悪魔は鳴海にも見えそう、と勝手な推測。
悪魔は貞操観念が薄そうだから「私と人修羅は恋人同士だけど、人修羅とライドウが恋人でも良いよね別に。むしろ私もライドウと仲良しになったらお相子よね」ぐらい思ってれば良いと思う。寛大な奥様。


こんなにたくさん人数出てくる文章書いたの初めてかも…読みにくかったらすみません。

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