9月15日
今日はカカシの誕生日
半年前くらいから、オレは担当上忍と付き合う事になった。
知らないうちにアイツはオレの周りをうろつき始め、仕舞いには家に上がってご飯を食べ、泊まっていくようになっていた。
一人が楽だと分かっていても、やはり誰も居ない家ほど寂しいものはないと心のどこかで思っていたのかもしれない。
オレの家やアイツの家、どちらともなく寄り、一日の終わりを迎えていた。
そして担当上忍のカカシから、告白された。
正直付き合うと言っても男同士だし…と思ったが、良いように丸め込まれた感じで付き合う事になった。
そして迎えるカカシの誕生日…
オレの誕生日には、カカシから忍具や生活必需品などを買ってもらった。
でもカカシは何か欲しそうなものもなく、オレが何かを買うまでもなくアイツは全てを持っている。
特に思い当たるプレゼントなどはなく、この日を迎えた。
“今日は一緒に居てね”
今朝方にカカシに言われ、アイツの家で料理を作り帰りを待っている。
いつもと変わらない食卓。
これで良いモノなのか…でも今さら何か出来るわけでもなく…
そうこうしていると、ドアが開く音がしてカカシの「ただいま」という声が響いた。
「おかえり。飯、出来てるぞ」
「ありがとう。着替えたら一緒に食べよう」
カカシは部屋着になり、いつもの覆面を取り端正な顔立ちが露わになる。
その顔はいつも嬉しそうで、まあ良いのかなと思う。
ご飯を食べ終え、風呂も済ませ、一日の中で一番ゆっくりとした時間。
カカシはビール片手に、幸せそうだ。
今日はカカシの誕生日…ちゃんと伝えないと…
「あの、カカシ…」
「どーしたの?」
「誕生日おめでとう。プレゼントは何が良いか分からなかったから…今度一緒に買いに行こう」
「……」
「…何かおかしかったか?」
「いや、良いもんだなぁ〜と思って。サスケ有難う。大好きだよ」
カカシの大きな手がオレの頭を撫でる。恥ずかしいけど、カカシがいつもに増して嬉しそうだから良かった。
「ねえ、サスケ…」
「何だ?」
「欲しいものなんだけどさ…」
「何かあるのか?」
「うん」
「言ってみろよ…買えるか分からねえけど…」
「あのね…」
二人しか居ない空間でわざわざ耳打ちして来るカカシ。
近づいた時に香る、シャンプーの匂いとお酒の匂い。
頭の中は完全に違う方向へ向いている。
ああ…自分を第三者として見ている気分だ…
思考停止。