千早「…」
高木「彼はと私の友達の息子さんでね。出来れば、悪いようにはしないで欲しいんだ。」
伊織「社会人とは思えない格好ね。まずスーツくらい着なさいよ」
チャラ男P「いやもうこの服マジ決まってるっしょ!お気になんスよこれ。どうッスか?」
千早「私、レッスンにいきますので」
高木「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ千早君」
千早「何でしょうか?」
高木「彼は見てくれがああでどこも雇おうとはしないが、優秀な人材であることは間違いないんだよ。多めに見てくれると助かるんだが…」
千早「…善処します。では」
春香「機嫌悪そうだね、千早ちゃん」
千早「やっと担当が来たと思えばあれだもの。指導がちゃんと出来るか不安になるわ」
美希「ミキはてきとーそうでちょっと安心したかも、あふぅ…」
春香「み、美希ちゃん…」
千早「とにかく実力を見てみないことには始まらないわ。レッスンにいきましょう」
春香「そ、そだね」
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チャラ男P「………。ふーん…あれが如月千早、と。」
高木「どうしたのかね?」
チャラ男P「いえいえ何でもないッスよー。んじゃレッスン見てきます」
高木「…?」
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千早「…ふぅ」
春香「お疲れ、千早ちゃん」
美希「うぇー…疲れたの…」
春香「ジュース飲む?お疲れ様」
美希「ありがとうなの、いただきまーす!」
チャラ男P「…これが俺の」
春香「あ、プロデューサーさん!きてくれたんですね」
チャラ男P「そりゃもう担当ッスからね〜。せっせとやらせていただきますよ」
千早「どうも」
チャラ男P「んで、早速なんすけど。ユニット決めたんスよぉ〜」
美希「本当なの!?」
春香「えっ!?」
千早「…」
チャラ男P「まぁ春香ちゃんがリーダーでぇ、美希ちゃん、千早ちゃんの三人ユニットッスね」
春香「そ、そんないきなり」
千早「いいですよ」
美希「私も異論ないの!キラキラできるかな〜」
春香「うーん…いいのかなぁ…」
チャラ男P「…」
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チャラ男P「んで〜こんな感じなんすけどぉ〜?どうっすか〜?」
AD「え、ええ。そうですね」
スタッフ「なんですかあれ…」
スタッフ2「さぁ…今時あんな古臭いチャラい格好…」
AD「それと、次回からちゃんとした服装で来ていただけると助かるのですが」
チャラ男P「えっ、今企画の話してたんスけど。話聞いてましたか?」
AD「あ、いえ。それはその」
チャラ男P「仕方ないッスねぇ〜じゃあもう一回言うッスよ」
高木「ふむ…」
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高木「新ユニット活動、ご苦労様。プロデューサー君」
チャラ男P「…そうでもないッスよ〜!これから楽しみッス」
高木「だが、君の活動の良さに反して中々。どうしてその服装にこだわるんだい?」
チャラ男P「ん〜、特に理由は無いッスよ。この服が好き、ってのは理由にならないッスかねぇ?」
高木「そこまで好きなら止めはしないが、業務に影響するようになれば。…分かるね?」
チャラ男P「うぃーっす!了解しました」
高木「分かればよろしい、ではな」
チャラ男P「…」
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真美「ねーねーにーちゃん遊ぼー!」
亜美「あーそぼー!」
チャラ男P「モンハンッスか〜いいッスよ〜」
伊織「仕事はどうしたのよあんた」
チャラ男P「後でいいッスよ〜そんなの」
伊織「そんなのってあんた…」
雪歩「伊織ちゃん、それだけど」
伊織「どうしたの?雪歩」
雪歩「プロデューサー、もう書類終わってるらしいんです。小鳥さん大喜びしてましたし」
美希「ふーん…」
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千早「プロデューサー、私の何処が悪いと言うんです。教えてもらえませんか」
チャラ男P「いや、悪いとは言ってないッスよ。ただ合ってないなぁ〜って、ね?」
千早「…春香と美希に合わせられていないと?」
春香「ち、千早ちゃん。ごめんね。私、上手くついていけなくて」
チャラ男P「別に誰かが悪いわけじゃないんスけどね〜。基礎能力上げが必要かぁ」
千早「…」
美希「あふぅ…私は大丈夫だよね。そろそろ帰るの」
チャラ男P「ダメッスよ美希ちゃ〜ん。美希ちゃんも持久力無いんだから鍛えないとさ〜」
美希「うぐ…なの」
チャラ男P「千早ちゃんも歌に集中し過ぎてダンスの手を抜き過ぎッスよ。もうちょっと大事にしないとズレが起きちゃったら目も当てられないッス。美人はもっと笑顔笑顔〜」
千早「…っ!分かっています!…失礼します」
春香「ちょ、ちょっと千早ちゃーん!」
チャラ男P「参ったッスねぇ〜…」
美希「…。プロデューサー、何でおバカなフリしてるの?」
チャラ男P「バカとは失礼ッスねぇ〜」
美希「ちゃんとしようと思えば出来るのに、しないのはおバカさんなの」
チャラ男P「あらま痛いことで」
美希「千早がプロデューサーの言うことちゃんと聞かないの、プロデューサーの態度とかのせいだと思うな」
チャラ男P「…やっぱそう思う?」
美希「なの」
チャラ男P「まーこの服、ちょっと訳ありでね。俺がこの服から変わる時、それは」
美希「それは?」
チャラ男P「俺が、あの子を導けた時。かな」
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千早「これが、デビューソングですか」
チャラ男P「そっすよ。やっとここまで漕ぎ着けましたッス」
千早「そんな態度でなければもうちょっと早かったんじゃないですか」
チャラ男P「そんなむすっとしてたら綺麗な顔が台無しッスよ〜笑顔笑顔〜」
千早「…もういいです。デビューの件は感謝します。失礼しました」
チャラ男P「あ、千早…ち、千早ちゃん」
千早「?…なんですか」
チャラ男P「もし、もしさ。君が覚えていない人が君と想いあった人なら。君は、どうする?」
千早「何の話かは存じませんが、一つ言えるとするなら」
千早「今を、生きます。好きだったとかそんなしがらみに囚われたりしたくはありません」
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高木「君の優秀さには舌を巻いたよ。そのせいで調べなくてもいいことを調べてしまった。すまない」
チャラ男P「いいッスよ。あの子の夢や想いは何一つ変わってない」
高木「君は今でも彼女のことを?」
チャラ男P「昔の話ッス。あの子もそう思っているそうですから」
高木「…君の事情だ。詳しくは言わない、だが。分かってほしいのは、彼女を君の罪滅ぼしの代償にしないでほしいことだ」
チャラ男P「…」
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千早「プロデューサー、タバコ吸うんですね」
チャラ男P「見られないように吸ってたんスけどねぇ。あんま見ないでもらえると助かるッスよ」
千早「ふふっ、いいですよ。その変わりに、隣に居させてもらえますか?」
チャラ男P「副流煙は喉に悪いかもッスからダメッス」
千早「心配してくれるんですか?」
チャラ男P「バカ言ってないでレッスン行くッスよ」
千早「えぇ、もちろん。」
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春香「やった…!やったよ千早ちゃん!美希ちゃん!IA部門優勝だって!」
美希「当然なの!私たちだもんね、千早!」
千早「えぇ、そうね!プロデューサーがいてくれたお陰でここまで来れたわ」
チャラ男P「やっと、終わったな。これで…俺は解放されるのかな」
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千早「プロデューサー、事務所をやめる。というのは何の冗談ですか」
チャラ男P「ん?何のことッスかね?」
春香「一年契約とは聞いてましたが、まさか本当に…?」
美希「…」
千早「納得いきません、貴方は何故そうも私たちを。私を困らせるのですか」
チャラ男P「…」
美希「プロデューサー、事務所の机の中。ちょっとはみ出してたよ、これ」
チャラ男P「!!」
千早「そ、それは…!?」
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千早「Pさん、起きてください。全く、だらしがないんですから」
P「ん…。朝か、毎度悪いな。千早」
千早「い、いえ。朝食、できましたから。後で食べておいてください。あなた」
P「何か言ったか?とりあえず、さんきゅー。というか音楽教室。早く行けよー」
千早「…そうですね、はぁ」
P「?」
千早「鈍感」
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千早「スーツ姿、似合ってますよ」
P「からわないでくれ、これでもちゃんと着てるつもりなんだよ」
千早「プロデューサーがこの服で仕事するんですね。私、今の内にしっかり見ておきますよ」
P「っ!で、出かけてくる」
千早「ふふっいってらっ…Pさん危ない!!!!」
P「え?」
キィーッ!ドガッ!
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千早父「君に世話役を願い出て本当に良かったよ。最近の千早はよく笑うようになった。だから、そんな顔をしないでくれ。…今回の事件は、君が悪いわけじゃない」
P「俺が…!俺があそこで……っ!!俺が轢かれていれば…!!あいつが俺を庇ったりしなければ…!!!」
千早母「幸い、千早に大した怪我はなかったわ。額に擦り傷が出来たこと。それと、記憶の混濁。貴方のことだけ、すっかり記憶から抜け落ちているの」
千早父「千早が君のことを頼りにして想っていたことは知っている。君は、どうする?」
P「俺…は…?」
千早父「伝えるか、伝えないか」
P「俺は……………」
P「伝え…ま
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P「ダメだって言ったろ。勝手に俺の机漁っちゃあ」
美希「なんだかんだで、千早のこと忘れられなかった。そうでしょ?」
春香「ぷ、プロデューサー?この千早ちゃんと手を繋いでるのはまさか」
千早「いっ…!痛…!!何………これ!?」
P「せっかく、髪の色や服や口調まで全部変えてたのにな…台無しだよ本当」
千早「貴方は…あなたは…まさか」
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P「…私は、せめて。あの子の夢を叶えてあげたい。あの想いは、今となっては受け入れることは出来ないししてやれない。なら、これだけは…これだけは」
千早父「…いいだろう。お願いしよう」
千早母「いいの?貴方」
千早父「彼がそう言った以上そうする以外は選択肢は無いのだろう。…千早には知っていることが幸か不幸かは、私には分からないんだ」
千早母「あの人も、ですか」
千早父「…」
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千早「あ、あぁ…」
P「分かったろ、千早。これ以上俺に構うことはない。俺は君を助けられなかった。君の想いもちゃんと見てやれなかった。俺は君といる資格はない。記憶を取り戻したなら尚更。違う仕事を探して、君とは二度と会わない」
千早「なら…何で、私にまた会いに来たんですか…?」
P「罪滅ぼし。君は歌手になりたいと言っていた。それを叶えて【あげて】俺は罪から解放されて君は夢が叶う。間接的な叶え方になったのはすまないとは思ってる」
春香「そんな…そんな、酷い。千早ちゃんはプロデューサーさんのこと!ずっと…」
P「恨んでくれて構わない。これは俺の自己満足だ」
美希「…プロデューサー、いい加減猿芝居はやめるの」
P「………なんだと」
千早「美希…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千早父「君は何故、わざと写真を机にいれているんだい?」
P「誰かが気付いて、俺が罪滅ぼしなんて自己陶酔に近い真似を非難してくれれば。大成功なんですけどね」
千早父「…恨まれれば解決するとでも」
P「少なくとも、俺はただの憎い他人になれる。千早は違う想いを抱くことが出来る」
千早父「………」
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美希「そもそもおかしいの。こんなバレたらまずいような写真、ミキでも自宅におくか捨てるの。今日、わざと出してたんでしょ。プロデューサー」
P「あぁ、そっか。分かってないのか。なら」
ビリッ
春香「プロデューサー!?写真が!あぁっ!!」
P「これで分かったろ?俺はもうウンザリなんだ。過去の罪に囚われるのも、想いに囚われるのも」
パンッ
美希「…何処かで信じてた。だけど、そんなことするプロデューサーなんて」
千早「美希…私…私は…」
美希「ほうっとこう。春香、千早。じゃあね、【そこの人】」バタン
P「…………………」
P「はは……」
P「平手…痛かったな………」
P「痛い……なぁ……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高木「君はやはり才能があるね」
P「何が、ですか」
高木「愚か者の、だよ」
P「皮肉のつもりですか」
高木「ハッハッハ、まだ怒る元気はあるようだ」
P「………お世話になりました」
高木「待ちたまえ」
P「なんですか」
高木「先輩からの助言を一つだけ。君はまだ取り戻せる、頑張れ」
P「………っ!……失礼します!」
バタン
高木「いつも答えは単純だ、なのに複雑に考え過ぎてダメになるのをいつも見てきた私としては。彼には幸せになってもらいたいものだね」
小鳥「しゃ、社長!!」
高木「何だね?小鳥君、そんなに慌てて」
小鳥「千早ちゃん、プロデューサーを追いかけてます!仕事ほっぽらかして!!」
高木「ハッハッハ!結構結構、それでは私の曲芸でも見せに行こうじゃないか」
小鳥「えっちょっと社長!?しゃーちょー!!!!」
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P「タバコ…あれ、ねぇや」
P「いや、そろそろやめないとな」
P「このスーツも一年ぶりか」
P「千早も似合ってるって言ってくれたっけ」
次の面接の方、どうぞー
P「………行こう」
ガチャ
千早「プロデューサー!待って!待ってください!!」
P「ちっ、千早!?」
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春香「千早ちゃん、プロデューサーさんのこと。好き?」
千早「………好きよ」
春香「それは昔のプロデューサーさん?それとも、今のプロデューサーさん?」
美希「ちょっと春香、千早をいじめたらダメなの!」
千早「分からない…分からないの」
春香「聞いて!千早ちゃん!!」
千早「あ…」
春香「プロデューサーがバカな人で、とても良い人で、いつも自分を犠牲にするような人だってこと。分かる?」
千早「私…」
春香「どっちのプロデューサーだって関係ない。簡単だよ、簡単だったのよ…。千早ちゃんは誰が好きなの?」
美希「春香…」
千早「私、プロデューサーが好き。昔とか今とか関係ない。ずっと昔から変わってない」
千早「プロデューサーが……好き…!」
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P「…アイドルがいきなりプロデューサー大好きです宣言ってお前な………」
千早「だ、だって。そうでもしないと」
P「分かった。分かったよ。本当、千早には負けたよ」
千早「プロデューサー、それで。返事は」
P「いいのか?」
千早「何がですか?」
P「俺で」
千早「はい」
P「即答かよ」
千早「あなたがどんな想いでアイドルにしてくれたのかは分からないです、けど」
千早「貴方が良いんです」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
美希「良かったの?春香」
春香「何が?」
美希「分かってるくせに」
春香「私じゃあ勝てないもん。絶対」
美希「いちごババロア、食べる?」
春香「バカ…」
美希「そこで盗み聞きしてた小鳥さんに奢ってもらお?」
小鳥「ピヨッ!?」
ゴゴゴ
小鳥「春香ちゃん閣下オーラ出てる!出てるから!!嫌ぁあああああ!!!!」
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P「またよろしくお願いします。社長」
高木「あの服装はやめたのかね?」
P「趣味じゃないもので」
高木「ははっ!だいぶよくなったようだねキミィ」
P「お陰様で、ところで社長。この経費ですけど、どこから出たんでしょうか?」
高木「ぐむ…優秀なのは困りものだね。それはだね…」
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千早「歌手転向とは、思いきりましたね」
P「大好きですー!発言が思いの外拡がってな。ここ数ヶ月千早のファンのお陰で死にかけたよ」
千早「大好きとは言ってません、プロデューサー」
P「嫌われたなー…」
千早「愛してますから」
P「惚気られちゃったなー…」
千早「?何で顔を逸らすんですか?」
P「いやーなんでもないッスよ〜。んじゃ営業行くッスよ〜」
千早「イラつくのでやめてください」
P「ひっどー、それとな。千早、忘れてたけど」
千早「なんですか」
P「俺も愛してる」
千早「はい、あなた」
終わり