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プロローグ



「すき。すきよ。あなたがすきなの。」


器用に絡まる指に逃げられず御手合せ。
瞳を潤ませ頬を桃色に染めた少女がわたしに迫る。


突然の奇行に焦ることしか出来ない能無しなわたし。

状況はこうだ。

つまり目の前の美少女に愛の告白をされたのだ。




放課後、教室、セーラー服。


ほら、この三つの単語だけでなんだか秘密の恋の予感がするでしょう。




セプテンバ


あぅー がぶ。


彼女はいきなり僕の鎖骨の少し上の肩に噛り付いた。


なにしてんの


「「カニバリズムー」」



ふうん。
また変な真似を。

タバコ取ろうと手を伸ばした瞬間、首筋に痛みが走った。


いてぇよ。

甘噛みならまだしも本気かよ。
あーあ、歯形ついてるし。


不機嫌な態度をとると、彼女はしゅんとした表情になり、僕の肌に出来た赤く窪んだ部分を舐めた。
次第にそれは激しさを増し僕を誘う。



動物みたいだ。
野性的とは少し違う。
本能的な彼女。



そんな君が
僕は羨ましかった。

自然体で、純粋すぎる君が憎らしくて愛しくて、


僕は君になりたくて、
君を手に入れた。
君とひとつになった。
君に最も近い存在になれた

筈だった。


彼女の華奢な身体や柔らかい髪をどんなに彼女を触ろうと、感じようとしてもまるで水を掴むような感覚になり、
途方も無いような錯覚に惑わされ続け気が遠くなる。


すきだ。あいしている。

歯の浮くような台詞を言っても何も満たされはしなかった。


「「うそつき」」

彼女は僕の気持ちを見抜いて笑った。とてもかわいかった。


甘い香りとその中に香る野性的な匂いが鼻をくすぐる。


その後すぐに胸が苦しくなったんだ。

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