「今だに忘れられないみたいです!やっぱり特別なんでしょうね…副長にとっても」


山崎からの報告に興味なさげに頷いた。調べろと言ったのは己だが、後悔の念だけが強く胸をしめる。

「いつまでも死んだ女に囚われてるなんて、とんだロマンチストでさァ」


ひとりきりになってから悪態をついた。口先だけの言葉は何の意味も持たない。


女にモテるわりに女を遠ざけるのはやはり今も。

彼女だけを。


「いい加減、返してほしいッス。姉上」


祈るように風に呟く

その声は誰にも届かず消えていく。


休みのたびにひそかに会いにいくほど、今も、彼は。


山崎に真実を告げられた沖田の胸はざわつく。


淋しいのか、嬉しいのか、泣きたいのか、悲しいのか。


何とも表現できない感情が胸の奥で目を覚ます。