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言えないの、ねぇ、気付いてほしかった(鹿丸←)※学パロ

つまんない授業。
つまんないお喋り。
つまんない脱線話。




窓際であることが、せめてもの救い。






つまんない、つまんない、つまんない。






「あ…」


ポケットの携帯が、バイブでメールの受信を知らせた。


まず、先生の動向をチェック。

大丈夫、自分の過去のモテ話に夢中。




よし。




携帯を開くと、いわゆる彼氏という関係性を保つようになった元男友達からで。




『会わない?』




いつだって急で、自分の都合ばかり。

最初はそれで問題なくて、内容に素直に喜んでメールを返していた。






でも、今は…






『居残り』






嘘ではない。

卒業アルバム委員というものを仰せつかってしまって、ほぼ毎日居残り。


彼氏にも言った。
この前放課後に会えたのは、偶然だったのだと。






メールの返事は、こなかった。






そうだと思っていたけど。

心の何処かで、期待してしてたりもした。




じゃあまた今度って、返してくれることを。






恨めしくて、携帯をかばんに放り込もうとした。


でも、気になって仕方なくて。
だけど、それも癪で。

電源を切ってしまおうと、思い直した。






でも、


切ってしまえない自分が、情けない。






好きで好きで堪らないと、言えるほど確かな気持ちを持っているわけでもないのに。






このまま、かばんに入れてしまおうと思った矢先。

またメールが届いたと、携帯が。




勝手にはやる心臓。
うるさいってば。






『今日の居残り、3−B』






「シカマル…」


廊下側の一番後ろ。

いつも眠りこけて、先生に睨まれてばかりの問題児もとい秀才。


さっきだって、相も変わらず腕を枕に突っ伏していた。




今日もめげずに寝ているんだと、そう思っていたのに。




「直接言えばいいのに、」


ドキドキとうるさかった心臓は、今は笑い転げないように必死。


携帯をポケットにしまって。
それから、ななめ45度後ろを窺う。




あ、起きてる。




目が合って笑えば、シカマルも笑った。


余計さっきのメールが笑えてきて、クックッと背中が笑いで震えてしまう。




そしたら、後ろから急にガツンと椅子を蹴られた。

「いの〜」
「先生、睨んでたわよー」


それは困ると前を向き直れば、まだ夢中に話を続けてる先生。




してやられた。




ん、またメール。






『バーカ』






誰のせいだと思ってんのよ。

なんて腹を立てたけど、くだらなさすぎる一言メールに笑けてきて。

また、笑ってしまった。






いつも、こう。






「お前コソコソすんなら、もうちょい気ィ張ってやれよな」
「うるさい」


机の上に乱雑に広がった写真達。
それらの一つに、狙いを定めて手を伸ばす。

ほら、私が写ってる。

よし。
また一つ、私の恥をアルバムに載せられるという危機から救えたわ。


「あ、またシカマルとだ」


さっきも、その三つ前のもそうだった。


「三年間、一緒だったしな」


私に彼氏ができてない時で、はしゃいでシカマルの腕に抱きついてピースしている三ケ月前の私。

シカマルは、楽しくて仕方ない私の笑顔にどうでもよさそうな顔で何かぶつくさ言っている。




懐かしい、忘れもしない修学旅行の二日目。






「シカマル、」
「何だよ?」


「大好きだって言ったら、」
「…言ったら?」






シカマルのつまみあげた写真にも、シカマルと私がエセバカップルではしゃいでる。






「何て、返してくれる?」






好きよりも、
ずっと穏やかで、暖かくて、優しい関係。

甘えることも、すんなりと出来てしまう。






私達ってなんなのかなって、たまに思うんだ。






「バーカ」






「うん、だね」






(これは紛れもない愛なんだって、)

It is quite a strange story.U

「大河内様、奥方様、本日より護衛に就かせて戴きます、火の国隠れ里木ノ葉の中忍春野サクラでございます」


金に物を言わせたと、言わんばかりの立派な邸宅。

趣味の悪さが拭い切れなくもないが、それでも美しい奥方の力だろうか、それなりに品性は保たれている。


「春野さん、とお呼びすれば良いのかしら?」


依頼主であろうはずのいかにも好色そうな大名ではなく、その隣の奥方が口を開いた。


「はい」

「実は、今回貴女をお呼びしたのは、わたくしなんです」


優雅に微笑む奥方は、師匠のような芯の強さが窺えた。


こんな奥方だからこそ、夫である情けなさそうな大名は好色に走り。
そして事ある度に、しかと灸を据えられているのだろう。


「春野さん、貴女にはわたくし達の息子の護衛をお願いいたします」




何があっても驚くまいと、心に決めていたのに。

それをすっかり忘れて驚いてしまった。


「あの…」
「今、息子を紹介いたしますね」


これまた優雅に奥方は、中へお入りなさいと襖に声をかけた。




そして、






「──!?」






あぁ、神様。
これは、罰ですか?




この任務に私が選ばれた時、
その時あなたを恨んだ罰なんですか?






襖から、微笑む顔は切り取ったようにそっくりで。


目の前に立つその姿は、涙を飲んで別れを告げてきた恋しい人そのまま。






「アオトです」






ただ、告げられた名前と告げた声が。

聞き間違うはずもなく、他人だと。





(それはまったく奇妙な話だ)

It is quite a strange story.(大和←)

この任務に自分が選ばれた時、任務内容がどうのという前から嫌で嫌で堪らなかった。




だって、




ヤマト隊長から、離れろということだったから。






そして任務内容を知って、私は。






私は、神様を恨んだ。






恋を軽んじて、身体を安売りするような子もいるのに。

私は精一杯で恋をして、その人だけだと一途に生きてきたのに。


そんな私を、見捨てた神様。






心底、恨んだ。






でも、恋した人と結ばれた今。
そこまで神様を恨んでない。


ゲンキンね、私も。




朝日が、カーテンの隙間から顔を覗かせはじめた。


もうそろそろ、ね。




名残惜しいのは、当然。

涙がさっきから、拭っても拭っても止まってくれない。






今日は眠りたくないと囁き合って、抱き締め合ったけど。
でも、二人共引きずられるように眠りに堕ちて。




「夢を見たんですよ、ヤマト隊長」




夢の私は、今より少しだけ大人で。

木ノ葉に帰れると、全速力で駆けていました。




淡い淡い、


いつになるか分からない、待ち遠しい再会の日の夢。






あぁ、そういえば。


アカデミーの頃、今となっては忍になれなかった同級生が、心酔していたミュージシャンのバラードに。

次の約束があるから生きてゆけるのだ、というくだりがあった。


幼心に素敵だな、大人って幸せそうだなと、その同級生と聞き入っていたっけ。




あの時はまだほんの子供で、この言葉の幸せと切なさは分からなかった。




今なら、分かる気がします。






眠り続けるヤマト隊長。

どうか、私がさよならを告げるまで起きてしまわないでください。


「ヤマト隊長の声を聞いて、出発する自信…」


ないですから、と言うつもりだったのに。
嗚咽に消されてしまった。






待っててほしい。
私の帰りを。


待たせるのは辛い。
会えないのだと、叩きつけるようで。


待ってて、なんて言えない。
私以上に素敵な人は山程いるから。




「でも、」


あのバラードのような、約束が欲しいんです。


「好きでいてほしいなんて束縛、しませんから」






ただ、私の帰りを待っていてください。






それだけで、私は生きてゆけます。

19日レスポンス

毎日毎日、ポチポチありがとうございます!
只今絶賛スランプ中ではございますが、皆様の拍手のお陰で抜け出せそうな気がしてきました〜


切ない〜の方
→切ないですか…?
いつも甘々やほのぼのばかりなので、そうやって褒めて戴けるような駄文もどきを書けたことすごく嬉しいです!
こんなヤツが書く駄文もどきです、必ず最後は幸せなはずですよ〜


ヤマサク地味連載、沢山の方々に読んで戴けているようで…;;
本当にありがとうございますv

I want to go there some day.U

秘書として依頼主に常に同行し、万が一に備える。


それが、私に課せられた長期任務。

何故だか任務期間は明記されておらず、それについての質問も拒まれた。




そして、綱手様の悲痛な表情。




『身の保証は、ない………』




いつも自信で満ち溢れ、輝かしいまでに綺麗で強い師匠が。

私の顔も見ずに、そう一言。






痛い程感じた、師匠の愛。






行かせたくないと、ひしひし伝わってきた。






「僕も、君が好きだよ」




どうしても捧げたかった、大好きな人へ。


でも、私を好きでいてほしいとは思わなかったし、望みもしなかった。

望んではいけないと、心に言い聞かせていた。






でも、ヤマト隊長は…






涙が止まらなくて、幸せで。


また伝えたくて、言葉を紡いだ。




好きです。
大好きです。
あなたが。




首筋に埋められたヤマト隊長の顔。

サクラと呼ばれる度、くすぐったい。

肩を押して離そうとしたんだけど、強い力で拒まれて。

耳に届いた言葉は、緩みきった涙腺をさらに緩ませた。


「ヤマト隊長…」


明日なんて来なければだなんて、浅ましい想いが心を埋めていく。


離れたくない。


やっと、やっと恋した人と想いが通じたのに。






サスケくんも、好きだった。

好きで好きで、他のことなんて見えなくなる位大好きだった。




『ありがとう』


どんな想いか知るよしもないが、彼の精一杯が込められた言葉だった。


でも、結局は置いていかれたのだと。
残酷な現実。


置いて行くなら、断ち切って行くなら、


お前なんか嫌いだったと、突き放して堕としてほしかった。


そうだったなら、否応なしに忘れようとしただろうし。

三年間修行に明け暮れつつも、ささやかな幸せを見つけられたのかもしれない。


なんて想像してみても、現実には宙ぶらりんにされた想いを未練がましくも捨てきれず。

そして、私はヤマト隊長に出逢った。




暗部。
誠実そうな容姿の上に、真面目な人柄。

時たま恐怖政治をしくけれども、恩師にはない上司としての素晴らしさをこの人は持っていた。


カカシ先生に一度だって素直に返事したことはない。
なのに、この人にはあっさりとハイと言えてしまう。


任務中にそんな自分に気がついて、一人苦笑した夜もあった。

そんな夜にも、この人は傍にいてくれて。


どうかしたかい?なんて、本当に不思議そうに訊いてきたヤマト隊長。

あの時は笑って、誤魔化した。




なんと言えば良いか、分からなくて。




もうあの時から、この想いは始まっていたのかも知れない。






「サクラ…」






あぁ、この人の声も好き。

瞳も髪も、首も肩も、腕も胸も。


そっと、勇気を出して右手をヤマト隊長の頬へ。


「ヤマト隊長…」


少し掠れてしまった声。


緊張とドキドキと興奮と不安で、声さえもままならない。

でも、伝えたい。
好きよりも大好きよりも、もっとずっと大好きなのだと。


「何だい、サクラ?」


いつも通りの優しい声。


子供な私でごめんなさい。
やっぱり、この言葉しか思いつけないです。


「本当に、本当に大好きです」


どう言ったら、伝わるんだろうか。

この、恋なんて言葉じゃ収まりきらない想いは。




いつか、ちゃんと伝えられる日が来るのかな。




(わたし、いつかそこに行きたいの)
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