酔い散文


部屋の中じゃ大声だせないし、どこへ行ったっていいし、でも似合う靴がないし。
言い訳ばかりだ。


暖かくなってきた夜更けに、空が広い河川敷。ウイスキーはストレートで。アスファルトに寝転んで月のないまるい空に浮かんでる気分。


いつだって、あの曲はきみに気付いて惹かれつづけた頃のことを連れてくる。

汚いライブハウスで会うたびに、終電逃してお世話になるたびに、ことあるごとに気づけば決まってそばにいて、酒と灰でぐちゃぐちゃの床に布団しいて必ず腕枕をしてくれた夜を思い出す。

腕枕は一緒に生活している今もだけど、普段は忘れているのに、ふとやってくる言いようのない気持ちはいつまでも新鮮で、頭がどうにかなりそうなくらいだ。



夕方、意識とびそうなくらいのセックスの後できみに最近さみしいともらしてしまった。誰かにしみじみと面と向かってさみしいなんて初めて言ったきがする。
このさみしいは、きみのせいでも誰のせいでもなく自分で生み出したさみしいなわけで仕様のないものなのだけれど、きみはむちゃくちゃな腕力で、むちゃくちゃに抱きしめて僕がいるよ〜と言葉をくれたっけ。

飲みに行ってくる、とささくれた気分で一言。全力で遊んで来いと送り出してくれるきみはいいやつだ。
結局、人間と会話するのが面倒に思えて散歩しながら飲んで、河川敷でも飲んでるんだけれど。




そこで膝をついて眺めていた。受け取れない言葉と、あの日の背中。
この手のなかに未来があるなんてそんなこと分かるかよ。愛が、平和が、広すぎる自由がどれほど腐らせるものか分かるのかよ。


さみしさが

このさみしさが分かってたまるかよ


きみとでも、たとえ一人でだって似合う靴がなくとも危険なほうへ歩くのだ
楽しいだけが全てじゃ割に合わない、わたしにとっちゃそんな日々は安すすぎるのよ



酔うと面倒臭いな





酔い散文
2016/05/14 05:27

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