「よくやるわねえ」
普通の人は経験しない影時間。本来なら私たちはタルタロスへ行くのだけど、今日は仲間たちの体調を考慮して中止にした。こういった判断を下すのも、リーダーである私の仕事です。
そんな私の前に現れたのは、人外最高。渚かなえさん。私たちの味方だ。
かなえさんは私の様子を見て、呆れた顔をしている。
「だってこれは私の仕事ですから」
「こんなに仕事ってあるもの?俺様ちゃんがこの量の仕事をふられたらとりあえず八つ当たりをしまくるわ」
「うわあ…」
八つ当たりの相手は今だったらフーゴさんだろうか。もしかしたら順平君や真田先輩、荒垣先輩まで被害に遭うのだろうか。だとしたら御愁傷様としか言い様がない。
ちなみにフーゴさんとは、私のお兄さんにあたるジョルノさんがイタリアから派遣したボディーガードだ。ペルソナ使いであり、頭もいい。たまに順平に勉強を教えたりしては、よくキレている。キレるタイミングがわからないので、順平は命がけだと言っていたっけ。
さらにフーゴさんの作るパスタは絶品だ。料理に煩い荒垣先輩が認める程の腕前である。
閑話休題。かなえさんがうんざりする程抱えている私の仕事は、生徒会の書類、委員会の書類、料理部のレシピに手芸同好会の型紙。エトセトラエトセトラ。
「こういうときは、影時間があってありがたいって思っちゃいます。だって作業時間が増えますから」
「病的ね」
「あとは機械が動けばいいんだけどなあ。ねえかなえさん、そんな機械作れません?」
「作れるけど作らないわ。これ以上やったらアンタが過労死しそうだもの」
「そんなことないですよ。ちゃんと自己管理はできてます」
「そうは見えないけどね。この仕事量にタルタロス探索。はあ」
「普通だよこれぐらい。みんなできるって」
「普通…ねえ」
とてもそうは見えないわ。とかなえさんはため息をついた。
「ところで、かなえさんは今日は何しに?」
「かなえちゃんでいいわよ。別に仕事が一段落したから様子を見に来ただけよ」
いつも寮にいるフーゴさんと違ってかなえさんは別の仕事と掛け持ちらしく、姿を見せるのはまちまちだ。そんな彼女に比べれば、私がやっていることなんて大したことではないのだ。私は気合いを入れる意味を込めて、深呼吸ひとつ。かなえさんはそんな私の心の中を読んだのか、さらに深いため息をついた。
「手伝うわ」
「え?でもかなえさん。これは私の仕事ですよ」
「かなえちゃんとお呼びなさい。まったく頑固ねアンタも。まぁ、いいわ。とにかく手伝うから」
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて」
なえさんなに書類を渡せば、目にも止まらないスピードで出来上がっていく。そんな彼女を見ていると、さすがは人外最高だなと、改めて思い私も型紙の制作に取り掛かることにした。
影時間の一時。ハム子の考察はまた別で書こうと思います。
今回の見所はフーゴ。家事ができて家庭教師もできるフーゴになりました\(^o^)/
そんな彼もいいと思うのww