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煉瓦の教会


5分遅れた時計が0時を告げる、
知らない間に魔法は解けていたんだね。




片隅には萎れた花



薄らいでいくあの部屋の寒さを
ぼくはまた思い出している

この眼が狂うまえにみていた
あなたの枯れた手がとてもきれいだった


ピアノのある部屋 / urema





ゆめうつつ



近頃頻繁に視る夢がある。


放課後の教室、
知らない女の子に
堅く手を握られている。

周りを見渡すと、
ピントの合わないトイカメラのよう、
おそらく中学校であろう教室は
"おそらく"という前置きが必要なほど
近いはずの景色も遠くにぼやけ
視界の隅は黒く抜けている。

手を握る女の子が誰なのか
僕には分からない。
のっぺらぼうみたく顔が真っ白。
確かなのは女の子が微笑んでいること。
それだけ。

どうして微笑んでいると分かるのか
僕自身にも分からない。
視覚的な刺激を介さずに
"微笑んでいる"という事実が
脳へ直接伝わっているみたいだ。

知りたい。
相対して微笑むその女の子が
誰なのかを僕は知りたい。

ぐっと目を凝らす。
だんだんと目の輪郭が視えてくる。
切れ長の目、目尻には泣き黒子。
美しい大和撫子の様相。

いつもここで世界が暗転する。
目前で微笑んでいた女の子も
中学校らしき教室の景色も
煙のように跡形もなく消えていく。



とても綺麗な夢。
いつの間にか失った青春が
平行世界で展開されているみたい。



幸せな気持ちで目が醒める。
誰かも知れない女の子の姿を
瞼の裏に映しながら、
手に虚ろな温もりを感じながら。

だめだ。
ふと我に返る。
そうだ、だめじゃないか。
そんなことでは満たされない。


僕が求めているのはもっと別な形。
物質的な重みを持った、
それと同時に痛みを伴った現実。


そんな気持ちを知ってか知らずか
脳は幾度となく同じ世界を僕に視せる。
きっと今日も、そして明日も。
しばしば頭と心は連動しない。


もういい、
しばらくは夢を視たくない。
どうせまたぼやけた教室で
のっぺらぼうの女の子が
僕の手を握り締めるんだ。
形だけの綺麗な夢。
そんなものは要らない、視たくない。


虚ろな手の温もりだけじゃ
僕は生きていけないから。
欲しいのは堅く握られた瞬間の鈍痛。

愛してよ



君の前だと 上手く笑えないから。









"今"を蹴り飛ばす勇気を頂戴



ねえ、おまじないをかけてよ。
世界が底抜けに明るく見えるよう。







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