話題:創作小説

 徹夜開けのテンションの結果。




「どうしたら良いか、わからないんだ」

 綺麗に眉を顰めるというのは、中々に難しい事じゃないかと眉間に手を当てながら思った。いや、向かいのソファで思い詰めた表情でティーカップ掴んだまま何かぼやいた美貌の男に嫉妬してるとかじゃなくて。見た目と中身が一致しないだけでここまで危うい雰囲気を醸し出すのかって思っただけで。
 科学の神秘というかその、母胎でなく培養液の中で過ごしてる間に外見ばかりが成長してしまったこのガキは、最近生意気なことに恋なんていうものを覚えたらしく、たびたび物思いに耽っては困った様に俺に問うのだ。その姿がまるで捨てられて途方に暮れる小動物のようで……俺より背の高い男がっていうギャップにちょっと頭が痛いだけで。その相手が俺の細胞を分けた、これまた培養液育ちのちんちくりんのガキだって事に頭抱えただけで。
 自分と同じ境遇で、自分より小さくて弱い生き物を過保護に守っている間に、妙な情を抱いたんだろーなって事は想像に易いんだが。

「……あーその、なんだ。お兄さんはこのバカ野郎という言葉しか持ち合わせてません」

「……仕方ないだろう。あいつにはお前の面影が多すぎる」

「その言い方やめようか。俺がなんかしたみたいになる」

「違うのか?」

「違、い、ま、すー! ちょ、遊びだったのかみたいな顔止めろ。……っ笑うなバカ! お前、ホント性格悪くなったな!」

「お前のお陰でな」

「へいへい。友情としてなら幾らでも応援してやるからとっとと正気に戻れくそガキ」

 慌てさせられたっていうか嫌な汗かかされた礼に空になったティーカップに、こいつが最近飲む様になった珈琲を入れてやったらごっつ渋面されたのが今日のハイライトです。
 そしてなんも解決してない事に気づくまであと30分。