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無題




父が家に愛人連れ込んでて
私はヒステリックを起こしてた

金切り声で父になにか非難する言葉を
浴びせたら父が逆上して
錯乱状態でわたしをつかまえようとした

わたしはつかまったら
父に暴力を浴びせられる、
最悪の場合殺されることを
確信していたから
家から飛び出して走って逃げた

父は更に狂乱して
包丁を持ってわたしを追いかけてきた


坂を下って走っているとき
わたしは

怒りに燃えているわたし

恐怖に怯えているわたし

の2つに分身した


家に母が居なかったのは
父が暴力をふるって殺したからだってことが記憶にしっかり残ってたから
母を殺した上に別の女と
不倫してる父が許せなかった

もう片方のわたしは
死ぬことが怖かったこと以上に
「本当は大好きだった父」に
殺されるのが怖かった


坂が終わるころには
2つの身体がまた1つに戻っていった


ちょうど身体が1つに戻りきるころ
父がわたしの腕を掴めそうなくらい
まで近付いてきていて
このままじゃ殺されると思った

父はもう人の姿なんかしていなかった
目がぎょろぎょろしてて
肌は変色してて
身体は人間の数倍あった


今に腕をつかまれて
首に包丁を突き立てられるっていうとき
坂が終わって広い道路に出た


わたしがためらわずに
走ってくるトラックの前に飛び出すと
トラックもためらわずに
信じられないスピードのまま
わたしをはねた


大嫌いな父に殺されるくらいなら
自分で死んだほうがましだと思った

大好きな父に殺されるだなんて
信じたくないから
そうなる前に死んでしまおうと思った


わたしの身体はただの肉の塊と赤い液体になって道路に散らばった


わたしは死んだというのに
自分の死体と周りの様子が見えた



道路の傍らに
目の色を失って座り込む父が見えた





という夢を見たんだ。


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