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ほへーえ


タレント名鑑終わっちゃうの?

あれ特番のときから好きなのにー


EDのjealけーびーの歌も好きなのにー(笑)

第3話 晴天の誓い



担当:宮本




「はぁ…これから、大変なんだろうなぁ…」

ひとつの墓の前にしゃがみこんで花束を供えながら栄口はつぶやいた。

「だけど、大切な仲間を助けにいくんだ。…同じように大切な仲間たちと」

阿部と栄口はいわゆる腐れ縁で、西浦の中でも付き合いは一番長い2人だった。
互いに、一番の理解者であったはずだけど、
(三橋があんなこと言い出すんだもんなぁ…)
案外、阿部って人気者だったんだと認識を変えた。

手を合わせ、目をつむる。
「母さん…」

たぶん、ここへ来たのはひとつの誓い。

必ず阿部を助け出す。そして…

「必ずここに帰ってくるから」

(こんな思いをするのは、俺だけで充分だ)


「これ、借りていくね」
それは彼の亡き母の形見の杖であった。

かつて、この国の頂上を誇っていた力。それを手に、栄口は墓をあとにした。






「おー!!三橋!!こっちこっち!!」
田島が手を振る方に近づくと、他のメンバーはすでに揃っていた。
「お、おまたせ…」
「よっし、じゃあ出発しようぜ!!」
「じゃあ、気をつけてね」
モモカンと西浦の仲間たちの見送りに笑顔で応えながら…

「あ、阿部くんは、俺がたすける…から」

三橋は晴天のこの日に誓い、一行は旅に出たのだった。







つづく☆



第2話 君の背中


担当:高上





「じゃあ、じゃんけんで決めたら?」
栄口のその言葉に最初に反論したのは水谷だ。
「そんなの運じゃないかー!!俺は真剣に阿部を助けに行きたいのっ!!」
「じゃあなに?花井と腕相撲でもする?それとも腕立て?体力で花井に勝てる自信あるの?」
栄口はにこーっと笑って水谷に問いかけた。
「うぅぅ…じゃんけんでいいです…」
そう答える水谷の顔は半泣きだったという。
その場のみんなはさとった。
栄口に逆らってはいけない。

「んじゃあ行くぞぉ〜っ、一回きりだけだかんな!!」
田島の言葉に二人の顔に緊張がはしる。
「じゃ〜んけ〜んぽんっ」

あいこでしょ

あいこでしょ

あいこでしょ

あいこで…

田島の言葉を無視し、じゃんけんは10回ぐらい続いた。
「なんで花井俺と同じのばっかだすのさーっ!!」
「それはお前もだろうがッ!!」
花井と水谷が言い合っているなか、栄口と泉が冷静に話し合っている。
「あいこもここまで続くとミラクルだよね」
「あいつらにもこんな共通点があったんだな」

パンッパン

突然の乾いた音にその場のみんなの視線が音がした方に向く。
手を叩きみんなの注意を自分に向けたモモカンは口を開く。
「このままじゃ決まりそうにないし、二人の気持ちはよ〜く分かったから花井君と水谷君二人とも阿部くん捜索に行ってもらうことにします!!」

えぇええぇえー!?

みんなは驚き口をあんぐりと開けた。
とうの花井と水谷もかなり驚いたようだ。
「ちょっとパーティのバランスは悪くなっちゃうけど、人数は多い方がいいでしょ?残り組もみんながいつ帰って来てもいいように練習もグラ整もちゃんとするからね!!」
「はいっ!!」
「それから三橋くん」
「は、はいっ」
「ちょっとお城まで来てくれないかな?渡したい物があるから」


他の捜索隊のみんなは準備ができたら正門に集合ね――
モモカンの言葉でみんなはそれぞれ一旦自宅へと帰って行った。
そして三橋は1人広いお城の中を歩いていた。
阿部姫…もとい阿部がいなくなったお城は前より暗くなってしまったように三橋は感じた。
「三橋くーん、こっちこっち」
ふと気付くとモモカンが階段下で手を振っている。
「ち…地下?」
「そう。地下倉庫に渡したい物があるの」
ついてきてと言うモモカンの言葉に素直に従い三橋は階段を下っていく。
地下倉庫はお城の中といえど多少埃をかぶっていて、なんだか古そうな銅像や難しそうな厚い本ばかりが置いてあった。
「はい、これが渡したい物」
それは布で包まれた細長い物だった。
布を取り去ると、それはバットだった。
「も…木製?」
「うん、木製バット。はい、グリップ持ってみてー」

ジャキッ

「ひぇえっ…」
三橋がグリップを持つと、バットから鋭いトゲトゲが一斉に出てきた。
それはさながら鬼のもつ金棒のようだった。
木製なんだけどね★

「これはね、勇者のバットなの」
「ゆ、勇者?」
「きっと三橋くんを護ってくれるから、肌身離さず持っててね」
そうにっこり笑うモモカンの話を聞き、三橋はただただうなずくことしかできなかった。





つづく





第1話 雪解けの夏




担当:宮本





涙の数だけ強くなれる。

昨日の涙は今日の勇気にかえて。



「…どーいう真似だよ」
阿部はドスの効いた声で問いかけた。榛名は横目に阿部を見ながら、
「うるせぇ。…そこに座れ」
とだけ冷たく言い放った。
「なッ…アンタが連れてきたんだろ!!質問に答えろよ!!」
「いいから座れっつってんだろ!!」
榛名にそう凄まれて、阿部は足がすくみ上がった。
「…っ…」
阿部は震える体をおさえながらゆっくりとしゃがんだ。
やっぱり、こいつの前に座るのは怖い。
出来れば、二度と座りたくはなかったのに。










「俺が行きます」

そういって右手を挙げたのは花井だった。
「いや、花井が行くのはダメだろ」
田島は花井の右手を押し下げた。
「なんでだよ!!?」
「西浦には花井がいなきゃだめだろ」
「でも…っ、お前らだけじゃ危険だろ!!」
「じゃあ、俺がいくよ」
そこで名乗りをあげたのは水谷だった。
「水谷っ!?」
「お前が付いていく方が危険なんだが」
「花井ひどッ!!」
水谷はちょっと泣きそうになった。
「確かに水谷じゃねー」
「栄口までッ!!」
今度はホントに水谷の目に涙が浮かんでいた。
「あ、阿部のこと心配なんだよー」
水谷は顔を紅潮させながらいった。
「な…っそれなら…!!」
(俺だって…阿部のことが…っ!!)

花井は、阿部救出メンバー入りを諦めきれないでいた。




つづく☆


はじまり

担当:高上







パンッ

と乾いた音をたて、ボールがミットにおさまった。
「ナイスボール、三橋」
西浦のキャッチャーこと阿部が三橋にボールを投げ返す。
「う、うおっ」
三橋はオドオドしながらも、誉められて嬉しいのかニコニコと笑った。
しばらくこのやりとりが続けられ、日も暮れかけたころ、ようやくあがりとなった。
「おつかれ、三橋」
「う、うん…えと…あ、阿部姫様も…」
三橋がそう言うと阿部は怒りだした。
「だからその呼び方はやめろって言ってるだろ!!身分は王女でも今は西浦野球チームのメンバーなんだから!」
「そ、そうだね。じゃあ阿部…くん」
「それでよし」
阿部はそう言うとニカっと笑った。
「は−い。片付けはじめて−!!」
西浦王国の王。モモカンが声を張り上げる。
そんな練習後の、どこか達成感に満ち、のんびりした時が流れる。
そんな時に、奴は来た。

ヒュー ガシャン

「あれ?なんか眼鏡が落ちてきたよ」
「どれどれー?ホントだー!なんでだろ?」
栄口と水谷がしゃがみこんで、不思議がりながら地面に落ちた無惨な眼鏡を見ている。
すると突然田島が、空を指差しながら叫んだ。
「なんだあれー!?」
そして田島の指の先には…
ざっと百人はいる秋丸が空から落下傘で降ってきた。
あまりに突然の出来事かつ信じられない展開に、西浦ーぜはしばし固まった。
「いいねーぇ」
「いいねーぇ」
「いいねーぇ」
「いいねーぇ」
操られているのだろう、無数の秋丸は同じ事しか言わない。

「きゃあぁあぁあぁぁあ」

とその場の空気を引き裂くような悲鳴が響き、固まっていた西浦ーぜは覚醒した。
今しがた悲鳴がした方を振り向くとそこには…
阿部と、阿部の腕を掴んでいる黒いマントに身を包んだ榛名がいた。
「離せよ」
阿部が榛名の腕を振り払おうとする。
が、榛名の握力が強くなかなか離れない。
「あ、あ、阿部くんッ」
三橋がよろよろと阿部と榛名に近づく。
「おっと三橋、これ以上近づいたら隆也がどうなるか分かるよな?」
「いって…」
榛名は阿部の腕を掴む力を強めた。
痛みがはしったのか阿部が顔を歪める。
「うぅぅ…」
三橋はなすすべもなく立ち止まる。
「隆也はもらったぜ、じゃあな三橋」
榛名はニヤリと笑って阿部を抱えたかと思うと、秋丸のみの人混みの中に入り、秋丸が退いたかと思ったら跡形もなく消えていた。




グラウンドにしばしの静寂が訪れた。
「阿部が…拐われた」
最初に口を開いたのはキャプテンこと花井だ。
その花井をかわぎりにみんな慌て始めた。
「ど、ど、どうしよう。でもなんで榛名さん阿部を拐ってったんだろう?」
「そんなの知るかよ!!てか阿部はお姫様だろ?これって国問題なんじゃねーか」
栄口と泉が二人してあわあわしている。
そんならーぜの中で三橋は1人別の事を考えていた。
(どうしよう…俺阿部くんがいなかったらまただめピに戻っちゃう…)
三橋は前いた国の野球チームでの辛い過去を思いだし、涙ぐんだ。
三星王国での出来事だ。
(俺…阿部くんいないとダメなんだッ…)
三橋は両手を強く握り、意を決して言った。
「お、おれ阿部くんを助けに行くッ」
他のチームメイト達はびっくりして言葉を失った。
あの内気で卑屈な三橋が自分から、しかもあの榛名さんから阿部を助け出すと言っているのだ。
時は人を変える。
「じゃあ俺も行くー!」
皆が呆然としている中、田島が当然のように名乗りをあげた。
「阿部いなかったら困るもんな。な、三橋」
「た、田島くんッ」
正直他のらーぜ達は心配だった。
この天然二人に任せて果たして阿部ば帰ってくるのか、はたまたこの二人が帰って来れるのか…。
「じゃあ、俺も行くよ。二人だけじゃ心配だしね」
栄口が人の良さそうな笑みを浮かべながら言う。
栄口の発言で花井はホッと胸を撫で下ろした。
副主将の栄口が一緒なら安心だ。
栄口が世話好きで本当に助かった。
三橋は、さ、栄口くん優しい…!と感動している。
すると今まで黙っていたモモカンが皆を見回しきいた。
「さて、パーティを組むにはもう1人欲しいとこなんだけど、誰かやる気のある人はいない?」
「俺…行きます」
そこで名乗りをあげたのは……


つづく


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