注意:兄貴死ネタです。しかも無駄に長いです。
昔−者、荘周、夢に胡蝶と為る。
くく然として胡蝶なり。
自ら喩しみて志に適へるかな。
周たるを知らざるなり。
俄かして覚むれば、則ち遽遽然として周なり。
知らず、
周の夢に胡蝶と為れるか、
胡蝶の夢に周と為れるかを。
周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。
嫌だ、こんなの。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「なんて、顔してんだよ…アレルヤ」
ああ、だからそんな掠れた声で僕を呼ばないで。
「もう、大、丈夫だから…、さ。お前達、は無事に、帰れるんだ…もっと喜べよ」
でも、貴方はそこには居ないじゃないか。
「次のリーダーは、お前だ…しっか、りやれよ…?」
そんなことを言わないで。
「頼んだぜ、アレルヤ…」
お願いだから。
「…アレ、ルヤ」
お願いだから僕の好きな声で、僕の名を呼ばないで。
「…レルヤ、アレルヤ。おいっ聞いてるのか、アレルヤ!」
「え…?」
「なんだぁ?もしかして居眠りでもしてたのかよ、珍しい」
「あれ、ロックオン…?」
「ん?」
僕の目の前には首を傾げるロックオンがいた。辺りを見渡せば、見慣れたミーティングルーム。周囲の視線が僕に集中していた。ミッション内容がモニターに映し出されている。
「アレルヤ、ちゃんと聞いてたの…どうしたの?顔色真っ青よ」
「え…」
モニター前で説明していたスメラギが心配そうにアレルヤの顔を覗く。
「ロックオン、一応アレルヤを医務室へ連れて行ってもらえるかしら。ミッションプランは後で説明するわ」
「了解した」
ロックオンは頷き、まだ状況が飲み込めない僕に「いくぞ」と声を掛けて優しく腕を引っ張った。
ロックオンと二人、ガードレバーで廊下を移動する。きょろきょろと辺りを見渡す。見慣れた、余分なものはいっさいなく、シンプルを通り越して冷たい印象を与えるの廊下。暑くもなく寒くもない温度に設定されている空調。大きめに設計されている窓からは、どこまでも深い宇宙の闇が広がっている。どの景色も、最初こそは馴染むに時間は掛かったが今では住み慣れてしまった、母艦プトレマイオスそのものだった。丁度次の角を左に曲がれば自室に辿り着く。しかし目的地は自室ではないので、角を右に曲がる。
アレルヤは、前を行くロックオンの背中に話しかけた。
「ロックオン、僕寝てました?」
「ん?ああ、ミススメラギに当てられて、なんも反応しなかったから、俺が揺すったんだが。疲れてたんだろ、気にするな」
ロックオンは僕の体調を気遣って、明るく言葉を掛けてくれる。夢。あれは夢だったのか。
「あ、いえ。起こしてくれてありがとうございました…」
本当に起こしてもらえて良かった。けれどいつの間に眠ってしまったのだろうか。しかもミッションプランの説明中になんて。最近は任務漬けだったから、集中力が劣れているのかもしれない。だからあんな夢を見るのだ。今思い返してみてもぞっとしない。あんな恐ろしい夢、夢でもみたくない。
「どうしたんだ、アレルヤ。なんか…あったか?」
話していれば、医務室の前に着いていた。中には入らずロックオンは扉の前で立ち止まる。普段から他人の気配りを心がける彼だからこそ、自分のの異変に気付かれてしまった。できればあまり言いたくはなかった。特にロックオンには。悪夢をみたから落ち込んでいます、なんて女々しいこと言ってしまったら笑われるに決まっている。けれど、
「…夢を、見たんです。本当に恐ろしい夢。貴方が死ぬ夢を」
アレルヤは意を決して切り出した。本当はこんなこと、ロックオンの耳に入れたくはないが、話すことであれは夢だという認識を確実なものにしたかったのだ。ロックオンはアレルヤを振り向き、驚いたように一瞬目を丸くした。
やはり不謹慎だったか、アレルヤは自分の浅はかさを悔いた。今は戦争中なのだ、いつ誰がそうなってもおかしくないというのに。ただの夢なのだから、話すべきではなかった。夢なのだ、ただの悪い夢。
アレルヤの心情を察してか、ロックオンは気を取り直すように苦笑いを浮かべた。
「そりゃまた縁起の悪い夢だな。俺ってそんなに早死しそうに見えるか?」
「いえ。貴方は僕達を守るために、犠牲になったんです、僕達を逃がすために」
幼く無力だったアレルヤ達を救うために、ロックオンは自らを犠牲にして、一人敵MSの軍隊に突っ込んで行ったのだ。なんとか形勢を立て直し、アレルヤが救助に向かえば、辺りには扮さんされた、たくさんのMSの残骸。動く機体は見当たらない。全て撃破したのだろうか、たった一人で。けれど、デュナメスの姿がどこにも見当たらないのだ。まさか。アレルヤは嫌な予感に焦りながらも、目を凝らしてデュナメスを探した。すると、少し離れた場所に見慣れた緑と白の機体を視認した。素早い動作でモニターに広大させ映し出す。所々に破損はあれど、原型は留めていた。爆破された様子はない。とりあえずアレルヤは胸を撫で下ろす。すぐさまキュリオスから降りてデュナメスの許へ駆けていく。散乱したMSの破片の間から、赤い血が滲んでいた。嫌な汗が額を伝う。どくんどくんと心臓が高鳴る音が嫌に耳に響いた。そんな、いや、まさかそんな。逃げようとする足を必死に押さえ、歩みよる。そこには、機体の色と同色の筈のパイロットスーツを血で赤黒く汚し、倒れている、彼の姿。
「なら、お前の夢の中の俺は、きっと満足して死んだんだろうさ」
「え…」
ロックオンは唐突にその大きな手でアレルヤの頭を鷲掴みにすると、ぐしゃぐしゃに掻き乱した。
「な、なにを…」
「夢なんかでくよくよするなよ。俺はこうして生きて、お前と話してるんだ。それで十分だろう?」
朗らかに笑うロックオン。そのいつのもと同じ笑顔にアレルヤの心も軽くなった。
「はい、そうですね」
「安心したか?」
「はい。…とても」
確かに彼がここにいる。今自分と話しているそれで十分だった。頭に置かれたロックオンの手は、夢で抱いた時よりも温かったから。
「少し寝ろよ。あとで起こしにくるから。」
「お願いします」
「じゃおやすみ」
「おやすみ、ロックオン」
アレルヤはミーティングルームに戻るロックオンの背中を見送ってから、ふぅと息を吐いた。大丈夫。あれは夢じゃない。ここにロックオンがいるのだから。
高鳴る胸の前でアレルヤは拳を握った。
そして、後ろで誰かに呼ばれた気がした。ロックオンが引き返してきたのだろうか。
「ロックオン?」
振り向くと。
「…アレルヤ、ねぇアレルヤってば」
「え…クリスティナ?」
どうして彼女がここにいるんだ?
「もうさっきからぼんやりしちゃって。せっかくのパーティなんだから楽しまなきゃ」
「…パーティ?」
一体なんの事だ?アレルヤは、まだぼんやりとする頭で、部屋を見渡す。ここは、食堂のようだった。けれどなにか様子が違う。あちらこちらに飾りがつけられ、まるで、そうパーティ仕様だ。いつのまにこんな飾りつけをしたのだろうか。前まではこんな飾りつけなどされていなかったはずだ。そもそも何故自分は食堂にいるのだろう。確かロックオンと一緒に医務室へ向かって、廊下で別れたはずだ。咄嗟に彼の姿を探すが、見当たらない。目の前にいるクリスティナが不審そうに声を声をかける。
「ねぇ、どうしちゃったのアレルヤ、なんか変よ?」
「あの、ロックオンはどこにいる?」
「ロックオン…?誰、それ?」
「え?」
「アレルヤの友達?」
なにを言っているんだ、彼女は。冗談にしては性質が悪すぎる。少なくとも、今のアレルヤにとっては。まさか短かくない時を一緒に過ごして来た仲間を一、昼一夜で忘れるわけがないだろうに。
「違うよ。ロックオン・ストラトス、僕らの仲間の」
「そんなに人私達の中にいたっけ?」
クリスティナは本当に不思議そうに首を傾げアレルヤを見つめている。あくまで惚けてみせているようには見えない。なんだんだ、一体。
「まだ寝呆けているのか、アレルヤ」
「どうしたんだ、そんなにあわてて」
二人の言い合いが聞こえていたのか、刹那とティエリアがやってきた。このままクリスティナと押し問答を続けていても埒が明かない。同じ仲間の彼らならば。アレルヤは期待を込めて二人に対峙する。
「ティエリア、刹那、ロックオンを知らないかい?」
「……ロックオン?」
「誰だそれは」
二人の反応はアレルヤの期待を裏切るには十分で。
「誰って、僕たちと同じガンダムマイスターの」
「なんの冗談だ?」
「ガンダムマイスターは俺達3人だけだろう?」
ガンダムマイスターは、…3人?
「冗談も度過ぎると笑えないな」
そうティエリアは吐き捨てると、すたすたと行ってしまう。それに続こうとした刹那の腕を掴んで問い詰めた。
「忘れちゃったのか刹那、ロックオンはいつも君と」
刹那、そうだ刹那はロックオンといつも一緒にいた。素っ気無い刹那をロックオンはしつこいと言われるくらい構い、弟のように可愛がっていた。そんな刹那がロックオンを忘れるはずがない。
「…俺はなにも忘れちゃいない。どうしたんだアレルヤ、お前、変だぞ」
刹那はアレルヤの腕を外すと、怪訝そうに眉を潜めた。
「…違うっ」
違う違う違う違うっ!!変なのは僕じゃなくて。
そうか、これは夢だ。なら、早く覚めなくては。早く起きて、ロックオンと会って、話して触れて、彼が居ると確かめなければ。
だんだんと目の前が真っ暗になっていく。ほら、夢じゃないか。これは悪い夢。
…でも、どこから、どこまで?
気が付くと、食堂にいた。今度はなんの飾りつけもしていない、質素な部屋。ほかに誰もいなくて、しんとしている。椅子に座るアレルヤの荒い息だけが響いている。
また。夢だったのか。まだ胸がどくどくと高鳴って、嫌な汗をかいている。手で軽く拭う。その手もふるふると震えていた。
夢でよかった。と安堵の息を吐く。…でも、本当に夢だったのだろうか?これも、夢ではないのか?
「あ、いたいたアレルヤ!」
ぷしゅっと軽い音を立て開いた扉から、スメラギが入ってくる。彼女はアレルヤの姿を確認し、傍までやってきた。
「アレルヤ。ロックオンが探してたわよ。…あら、一体どうしちゃったのよ、顔色がよくないわ」
スメラギは子供に叱る様に両手を腰に当てて言い、すぐに心配そうな顔を作る。
ロックオン。良かった、ここには彼がいるのか。ならこれは夢じゃない。ロックオンがいるならば、いっそ夢でも構わないとさえアレルヤは思った。
「スメラギさん、ちょっといいですか?」
「なにかしら?」
いきなりの問いにも彼女は何でもない様子で答えた。さすがは大人の反応だ。アレルヤは安心した。これなら、自分の疑問にも答えて貰えそうで。
「僕、最近夢をみるんです」
「夢?」
「ええ、とても現実と夢の区別がつかないくらいの」
だから、こうして話しているのも、僕の夢じゃないかって。
スメラギは少しの間、顎に手を当て、考えているようだった。どう答えようか、悩んでいるかもしれない。
そして、こんな話があるわ、と一呼吸置いてから切り出した。
「ある日男は自分が蝶になった夢を見たの。蝶となった彼はあまりに楽しかったから、自分が人間だということを忘れ自分は蝶なのだと思った。けど夢から覚めたら自分はいつもと同じ人間だった。けど男はわからなくなった。男が蝶になった夢をみたのか、蝶が夢の中で男になったのか」
「スメラギさん…」
それじゃ結局どっちなのか分からないじゃないですか。とアレルヤが答えれば、スメラギは肩を竦ませてみせた。
「夢か現実かを見極めるなんて、本人にも難しいわ。そもそもどちらがどっちなんて定義が存在しないんだもの。なら、現実でも、夢でも、自分の信じたいほうを選びなさい。信じていれば夢でも現実となる。本人がそう思い込んでしまえば、現実も夢になってしまうのよ。」
「それじゃあ、目が覚めたときに辛くならないですか?」
「目覚めてしまんだったら、なおさら楽しまないと。どうせどっちだかわかないんでしょう?どーせ分からないなら好きなほうを選んじゃなさいよ。」
「好きなほう…」
「そうよ。夢でも現実でも楽しいならどっちだっていいじゃない」
「そう、そうですね…」
夢なら夢で、楽しめるときに楽しんでおく。スメラギらしい言い分だった。そこにはアレルヤも賛同できた。さっきも、アレルヤは思ったのだ。ロックオンが居るなら夢でもいいと。
安心した?と尋ねるスメラギに、アレルヤは最後に会ったロックオンを重ねた。ああ、そうだ。ロックオンに会わないと。
「スメラギさん、ロックオンはどこですか?」
次にアレルヤが見たのは、霞んでいくスメラギの顔だった。
「アレルヤ。早く起きろよ、起きないと置いてくぞ」
「ロックオン…?」
「今日からユニオンに二人で旅行だろ?早く準備しないと」
旅行?ああ、そうか今日から長い休暇を貰えたから、二人でユニオンへと行くんだったか。アレルヤは体温で温かくなったベッドの上で寝返りを打つ。
眠り足りないとごねる重い瞼を押し上げ、目を開けると、青が飛んで入った。この空のように深い青はまぎれもなく、ロックオンのもの。ロックオンはアレルヤが目覚めたのを確認すると、その目を細めて笑う。
「起きたか?」
ロックオンが、自分の顔を見下ろしていた。もう随分会っていなかった気がする。なにを馬鹿なことを。昨晩寝る前に会ったというのに。アレルヤは思わずその線の細い腰を引き寄せ、そのまま抱きしめた。
「おい、アレルヤ…」
「もう少しだけ。」
ロックオンは腕の中で小さく身じろぐ。その様子が可愛くて、抱きしめる力を強めると、ロックオンは諦めたかのようにアレルヤの背中に腕を回した。
「ったくしょうがないな…」
そうロックオンは呆れたふうに言うけれど、口調はどこまでも優しい。抱きしめる彼は温かくて、彼の長めの髪が鼻を擦ってくすぐったい。アレルヤは全身でロックオンを感じる。ロックオンが、ここにいるのだ。だから、これは夢なんかじゃない。今までのは、自分の悪い夢だったのだ。目が覚めてよかった。
彼がここにいて、こうして彼を感じられている。それでよかった。ただそれだけが、アレルヤが現実にいるという証。
それが僕の真実。僕の答え。
プトレマイオスの通路で、そこの一つ窓から宇宙を眺めていた目当ての人物を見つけたスメラギは、彼に声をかける。
「様子はどう?」
「スメラギさん。どうしたんですか」
声を掛けられた彼は、黒く長い前髪で顔半分を隠している、まだ年若い青年だった。年の割には落ち着いていると、仲間のうちでは評されている。彼は隠れていない方の瞳を、ちらりとスメラギに向けた。
「芝居はやめましょう、…ハレルヤ。ここは他に誰もいないわ」
ハレルヤ、と呼ばれた男は先ほどの落ち着いた雰囲気が嘘かのように、にやりと口先を上げ笑う。
「…どうって言われても、いつもと変かわんねぇよ。アレルヤの奴、うんともすんとも言わねぇ」
分かりきっていた返答に、スメラギは目を伏せた。
「そう…」
「随分深く眠りに入っちまってるみてぇだな、こりゃ。…今ごろ、あいつの夢でも見てんじゃねぇの」
「そうとう、ショックだったのね、アレルヤ」
「他の奴等はどうしてんだ」
「刹那は今日もアイルランドへ、…墓参りよ。ティエリアはヴェーダの部屋に」
「篭りっきりってか。」
「任務には支障はないわ。でも…」
明らかにここには重い喪失感が漂っている。いつもと変わらない景色に、たった一人だ、たった一人いないだけでこんなにも空気が変わる。いつも朗らかに笑う、マイスターがいないだけ。
「あれから、もう一ヶ月か…」
彼が居なくなって、もう一ヶ月が経った。いい加減割り切らねば、と自分でも思う。けれど、ひと月やそこらで割り切れてしまうほど、彼の存在は小さいものではなかったのだ。自分も、そして今自分の目の前に居る彼と同じ顔をした青年にとっても。
ひと月前、一人のガンダムマイスターが死んだ。名を、ロックオン・ストラトス。もちろん偽名である。本当の名を、自分は知らない。知ろうとしなかったし、必要もなかった。CBには過去を検索する権利は持ち合わせない。ここにいる全員は組織に入る際に自分達の過去と名を捨てる。けれど、きっと彼はロックオンの本当の名前を、知っていたのだろうと、スメラギは思う。しかし、その名を呼んで振り返る人物はもういない。
彼は、仲間を守るため敵MS部隊に一人特攻し、死んだ。最後の最後で隙を狙われ、コクピット前で自爆されたのだ。なんとかコクピット這い出た時にはもう手遅れで、敵に発見された場合を考え、ハロの電源を落とした。無事回収されたハロの中にはロックオン最期の戦闘が記録されていた。そしてハロは、彼の最後の戦いの映像を映し出し終わったあと、自らのデータをデリートしたのだ。相棒と称し常に共にいたパイロットの死を機械が理解したのかどうかは分からない。けれど科学的に説明できなくても、ハロもハロでロックオンの事を愛していたのだとスメラギは思うことにしている。
アレルヤがデュナメスの回収とパイロットの生死の確認を担当した。無事デュナメスを回収しプトレマイオスへと帰還したが、アレルヤは一向にコクピットからでてこないのだ。困り果て、焦れた科学班はキュリオスのコクピットを抉じ開けた。アレルヤは操縦席で呆然としていた。死したロックオンを膝に乗せ、その身をロックオンの血に塗れながら。
戸惑いながらも、スメラギが恐る恐るアレルヤに声を掛けると、彼はゆっくりとスメラギに虚ろな目を向け、
「ロックオンが、いないんです、どこにも…スメラギさん、知りませんか?」
それがスメラギの聞いたアレルヤの最後の言葉だった。そう言った後、アレルヤはそのまま気を失い、次に目を覚ました時には、ハレルヤとなっていたのだ。
ハレルヤが言うには、自分の奥底で眠り続けているらしい。
「あいつは、ロックオンのいない世界を拒絶してんだ。無理に起こせば、自殺でもしかねない。
俺はアレルヤに死なれる訳にはいかねんだよ。…まぁ、起きればの話だけどな」
くっと嘲笑うハレルヤに、アレルヤの面影はみえない。
「そうね…、疲れたのなら、ゆっくり眠らせてあげましょう。」
で、次のミッションなんだけど、と話を切り出すと、彼はまたかよ、と不満の声を上げた。それに苦笑して、スメラギはハレルヤをミーティングルームへ促す。
悲しみで溢れる世界。ならせめて、夢の中で、幸せな夢を。
End