誰かしらの1番になってみたいと思っている少女に出会った。
「誰かの1番になりたい」
誰の?
「しらないけれど、誰かの」
彼女は真っ青な眼に蒼い涙の膜をはって僕を見上げる。
「優先順位は、本人しか拭えないのよ。気付いたとしても拭わないわ。きっと。アタクシが出会う全ての人間にはアタクシよりも優先したい人間が必ずいるものなのよ。アタクシと一緒にいたって、誘われればアタクシから去っていくんだわ。アタクシが機嫌をとろうとするより、その人が笑いかければ完璧にご機嫌になるのよ」
少女はごちる。
「アタクシの最優先の人は、アタクシの事をその他大勢としか見ていないのだわ。だから、アタクシは誰かの一番になったことがないのよ」
1番にしてください、を飲み込んで、少女は泣き笑うと、僕を突き飛ばして座り込み、倒れた僕を見下ろした。
「おかしいわよね、人に順位をつけるなんて…でもアタクシは1番になりたいのよ。ねえ、1番になりたいの。でもだめなのだわ。アタクシという人物は誰かに必要とされたって、所詮使い捨てなのだもの。誰も、アタクシの事を1番だなんて思ってくれないのよ」
彼女の長い髪がサラサラと僕に落ちる。胸元に頭を落として、小さく嗚咽を漏らした。
僕は、呆然と涙を流す。
「アタクシはいずれ皆の記憶から消えていってしまうのだわ」
彼女の頭を撫でてあげたかった。
だけど、上げかけた手は、再びだれた。
僕だって、
僕だって彼女の1番になりたかったけれど
彼女の1番は僕じゃないから。
××××××
自分が1番に思っても1番で返して貰えないんだなと(笑)
自分の1番の相手に1番だと思って貰える人は沢山いるだろう。
そりゃあ、こんなに人間がいりゃぁ。
どんな気持ちなんだろうな
相思相愛って
おそらく、ずっと、その他大勢のままだろう。