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「・・・あれ、此処、何処・・・?」
目覚めると、そこにはただ白い天井が広々と僕の視界に入ってきた。
どうして僕は此処にいるんだっけ・・・?と、疑問を浮かべ、必死に記憶を張り巡らせた。
二枚目の切符 「不思議な少女」
(・・・あ。そういえば、女の子にぶつかりそうになって・・・)
石につまずいて転んだんだった。
相変わらずの不運さに苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと体を起こした。
“ズキッ・・・”
「・・・っ〜。痛ぃ・・・;」
おデコに痛みを感じたのと同時に、ポトリと何かが僕の膝の上に落ちた。
「・・・これって、タオル?」
それは、とても淡くかわいらしい水色のタオルだった。
少し濡れてはいるけど、さほど冷たくは無かった。
多分長い間、僕の額に誰かが置いていてくれたのだろう。
・・・でも、それが一体誰なのか・・・
そんな時、ふと、あのぶつかりそうになって目を見開いていた女の子を思い出した。
(あの子なの、かな?僕、重たいのに良く運べたなぁ・・・;)
そう考えながら額に手を当て、今まで横になっていたベッドから降りて辺りを見回す。
机の棚には教科書が載っている。回転椅子の背もたれは窓の方へ向けられていて、今までそこに誰かが座っていたようにも思える。
奥のほうにはプラスチック製の箪笥。
・・・女の子にしてはとてもシンプルな部屋だと思う。
(・・・あ、丁度良いところに鏡。)
机の上にわざと置かれているようにも思えたけど、とりあえずその折りたたみ式の鏡を手にとって額を調べてみる。
(ウワァ・・・思ったとおりに赤くなってる・・・;)
見た目がずいぶんと痛そうだった。でもそれほど痛みは無い。
その鏡をそっと元の場所に置いて、溜め息をつく。
(何時までもここにはいられない。それよりも大事なことがあるのに・・・)
眉間に皺を寄せながら目の前のドアノブを情けなく見つめる。
そう、今僕には大変なことが起こっているのだから。
・・・いや、正確には“僕達”だけど。
グッと唇を噛み、ドアノブを下へ押した時だった。
“ ガチャ・・・!! ”
「Σホエェエエ!!?」
「Σヒィャアアアアア!?」
勝手にドアが開いたと思えば、目の前にあの女の子が居た。
お互いに驚いた僕達は、近所迷惑になりそうなほどの悲鳴を上げた。
“ コトン ”
「・・・起きてらしたんですね。先ほどは失礼致しました。」
「いや、僕の方こそ・・・。その、叫んだりして、ごめんね?」
あの後、僕は彼女に連れられて居間へと案内された。
彼女は僕よりも少し背が低く、髪の毛は肩ぐらいまであって少し茶色がかった黒色。
服は少しボーイッシュなものを着ていて、オレンジ色のふちが太いメガネをかけていた。
「さて、お起きになって早々ですみませんが、私の話を聞いてもらえますか?」
「へ?あぁ・・・もちろん。助けてもらったんだもん。どうぞお構いなく・・・」
キシリと音を立てて椅子に座った彼女。
キリリとした表情は変わらないまま、僕のことを見つめてきた。
「私は泉 亜紀(いずみ あき)と申します。宜しく。」
「あ、はい。宜しく。僕の名前は・・・」
「いえ、結構ですよ。“野上 良太郎”さん、ですよね?」
僕は目を見開いて彼女の顔を見つめた。
何故、彼女は僕のことを知っているのだろうか。
この子には一度だって会ったことは無い・・・はず。
困惑していると、彼女はフッと、口元を緩めさせた。
「わかったのは、貴方を運んでいる途中でポケットから落ちた健康保険被保険者証で名前を確認したからですよ。」
「え・・・あ、そういえば、ポケットの中に入れてたんだった・・・;」
アハハ・・・と苦笑いをして頭を掻く。
「・・・本題に入りましょう。あって間もないのにこんな事言うのなんですけれど、私は今日の朝、夢の中で私と貴方がぶつかりそうになる夢を見たんです。」
急にそう話された僕は、間抜けな声を出してしまった。
冗談かな、と思って目を見ると、どうも真剣な目をしていた。
「私、幼い頃からそういう体質で・・・。その日に見たことが必ず起きるんです。」
「え・・・っと。それって、正夢の、こと?」
恐る恐る亜紀ちゃんに聞くと、彼女は難しそうな顔をしてコクリ、と頭を縦に動かした。
「その時見た夢の中の続きに、少し気になったことがあるんです。」
そう言って、彼女は立ち上がって棚から何かを取り出して僕の方へと差し出した。
「貴方、もしかして、これと同じ物、持っていますか?」
そういって見せられたのは、あのデンライナーのパスと同じような物だった。
モモ「よ!さっきプロフィールで会ったな!」
性 別 | 男性 |