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アラブパロ「出会えないふたり」


「阿伏兎、お客様がいらっしゃるから飲み物の用意してよ」
「客ですか?今日は面会のアポイントはなかったはずですがね」
「いいから、あと#102の案件の書類も用意して」

突拍子もないのはいつものこと。
だが今日は様子が違う。
#102と書かれたファイルを棚から取り出し社長に渡すとパソコンにも#102と書かれたディスクを挿入し立ち上げる。

来客用のカップと菓子を用意したところで部屋をノックする音が聞こえた。


ガチャリと扉が開き受付の者が連れてきた来客を見て俺は持っていたカップを落としそうになった。


「Welcome to Japan.」


社長はデスクに頬杖をつきにこやかに言った。

浅黒い肌に白装束。
アラブ特有の衣装に身を纏ったその人物は、


「社長、あんたやってくれましたね」


今の俺はきっと苦虫を噛み潰したような表情をしているに違いない。
俺の言葉に社長は口角を吊り上げ笑う。


「さぁMr.土方、さっそくだけど、仕事の話をしようか?」

ぼくの なかの あな

原曲は誰かわかりませんがキヨテル先生の歌う「ぼくの なかの あな」に心を奪われました

すっごい切ない歌なんですよ

「貴女」を大切に思っているっていうのが伝わってきて、

「ぼくのこと嫌いですか?」

のところで思わず泣くかと思いました
それぐらい胸にじーんときて切なくなりました。
間の取り方がすごく上手な歌です。

オススメです
ぜひ聞いてみてください。

そういえばキヨテル先生のもとになったと言われてるシンガーソングライターって誰ですかね

坂田家「白王登場、その夜」

「白王さん泊まって行くんですか?」
「当たり前だ。奴がいる限り安心は出来んからな」
「構いませんけど…」


なんだかんだと夕食の時間までいた白王はいきなり「白夜がいる間は俺もこの家に泊まる」と言い出したのだ。
金時とパー子は仕事に出掛け食事後にリビングでまったりとしている時だった。
白王の膝に座っていた銀はわーいと喜ぶ。

朝食のときいなかった銀時はといえば身体が怠くて動けないとまだベッドの中だった。


「泊まるなら白夜兄さんと同じ部屋になりますよ」


おやつにクッキーを皿に盛りつけたものを銀八はテーブルにコトンと置いた。
白夜のフランス土産のひとつである。


「部屋が余っていないのか?なら銀時と同じ部屋で」
「お断りします」
「何故 銀時の部屋と言って貴様が断る」
「いくら白王さんとはいえ銀時の部屋に泊まるなんて許せません」
「だってよ白ちゃん。俺と一緒でいいじゃん」


向かいのソファーに座っていた白夜がニヤニヤと笑いクッキーを摘んだ。
白王の隣に座っているとうしろうは足をぶらぶらさせながらテレビを見ていた。


「それこそ断る。貴様とともに睡眠を取るなど虫ずが走る」
「虫ずってなぁに?」
「白王さんは白夜兄さんと一緒に寝るとぞわぞわするってことだよ」
「ぞわぞわしちゃうの?」
「銀、とうしろうとお風呂に入っておいで」
「はーい。とうしろう行こ?」


ふたりが手を繋いで部屋から出て行くと銀八はため息をついて腕を組み壁にもたれた。


「白夜兄さんの部屋のベッドは広いからいいじゃないですか」
「奴がいなければ快適だろうな」
「それに白王さんは白夜兄さんを銀時と銀に近づけさせない為に泊まるんですよね?なら白夜兄さんと一緒に寝て兄さんを見張っておけばいいでしょ?」
「それは良い案だが、」
「銀時の部屋だと散らかってますし、もし兄さんが夜中に銀の部屋に行ったとしても気付けないですよ」
「おいおいお前ら、さっきから俺が夜ばいする前提で話を進めてないか?」
「実際 昨日されましたからね」
「……わかった。それで手を打とう。ただし、俺がベッドで貴様が床に寝るというのならな」


白夜はニヤァと笑いクッキーを噛みくだいた。


「それでいいぜ。白ちゃんがベッドで、俺が床な。ただし、夜中に白ちゃんがベッドから落ちて床に転がってきたら、……何をしてもいいよな?」
「ふん、俺はそこまで寝相は悪くない」
「ククッ、なら決まりだな」


何かを企んでいるのが目に見えてわかっていたがベッドから落ちなければいいと白王は判断し了承した。


銀八はそんなふたりを見て、いい犧贄が出来た、白王さんが銀時の部屋に泊まったら自分が銀時の部屋に行けないからなと事の顛末に満足そうに唇に孤を描いていた。

坂田家「従兄弟登場、坂田白王」

白夜が坂田家に帰ってきた次の日の朝のお話です。









坂田家の朝は今日も今日とて騒がしい。
銀八がテーブルに料理を並べているなか、優雅に椅子に座り新聞を広げている白夜に銀八の手伝いをしているパー子、落ち着かない様子で座っている金時、昨夜は疲れてまだぐっすりとベッドで眠っている銀時。

寝坊をした銀が眠たそうにダイニングへやってくるとおはようとみんなで挨拶。
白夜は新聞を畳み両手を銀に差し出した。


「おはよう、ねぼすけさん」
「しろやお兄ちゃんおはようございます」


抱っこされ向かい合って白夜の膝に座った銀の額に白夜はキスをした。

するとそこに、


――――ガタンッ!!!


突然の来客。
とうしろう に連れられてやってきた人物は手に持っていた紙袋を床に落としわなわなと震え白夜を指差した。


「貴様、幼い子供になにをしている」


白いスーツに身を包んだその人物は坂田家の兄弟同様 白い天パの髪に紅い瞳をしていた。

「おはようのキスだけど?なぁ、銀?」
「うん」

ズカズカとまるで我が家のようにその人物はダイニングへと足を踏み入れ白夜から銀を奪い取るように抱き上げた。

「貴様のような汚れたヤツが銀に触るなど許さん」
「酷いなー、俺とお前は幼なじみだろ?」
「汚らわしい貴様と一緒にするな」


ふたりの会話を面白そうに眺めているパー子、無言でもう一人分の朝食を追加で作り始める銀八、キョトンとしている銀ととうしろう。
そんななか金時が口を開いた。


「白王兄貴、フランスにいたんじゃねぇの?」
「こいつがアメリカから日本に帰ると聞いて自家用機で今朝帰って来た」
「白ちゃんは俺のこと大好きだからね」
「誰が貴様など好きなものか!」


白王と呼ばれた人物。
白い天パの髪に紅い瞳、そして凜とした顔立ち。
坂田の従兄弟で白夜と同年齢。
世界をまたにかける大企業の社長で数多くの偉業を成し遂げたと各国からの信頼も厚いという、


坂田 白王(はくおう)。


「白王さん、朝食食べて行きますでしょ?とりあえず座ってください、今コーヒーを入れます。あ、水がいいですか?」
「水で頼む。銀八、貴様がいながらどういうことだ。銀をこいつに近付けるとは」
「そう言われましても白夜兄さんを止められる人物なんて世界中で白王さんだけですよ」


ニコニコとたのしげに微笑んでいる白夜を睨みながら一番離れた椅子に座り白王は銀を自分の隣に座らせた。

「白王兄って昔っから銀くんに甘いわよねー」
「銀が親父たちと暮らしてる間も何回か銀に会いに行ってんだろ?」
「そうそう、あ、とうしろうくんそこの紙袋 ぱち兄に渡して。白王兄からのお土産だと思うから」

大きな紙袋を重たそうに抱えて銀八に渡したとうしろうは銀の隣に座ろうとして白王に自分の隣に座るよう言われた。
銀とは白王を挟んで座る場所に。

「白ちゃんってば左右にお子様をはべらしてどうするつもり?」
「貴様から守る為だ」

クスクスと笑う白夜。
銀は小さな手を白王の膝に乗せ白王を見上げた。

「白王お兄ちゃん、白夜お兄ちゃんと喧嘩しちゃダメだよ?」

きゅるんとしたかわいらしい銀に白王は胸をじーんと和ませる。

「銀!お前はあいつみたいになるなよ!」

ガバッと銀を抱きしめる白王にとうしろうはどうしたらいいのかわからずおろおろとパー子を見た。
パー子はとうしろうにウインクをしてニッコリと笑うだけだった。

「そうだ、白王お兄ちゃんにもしてあげるね」

なにを?
と白王が疑問に思う前に銀の顔が白王に近付き唇に柔らかいものが触れ ちゅっというかわいらしい音がした。


「えへへ、おはようのちゅーだよ」


最初固まっていた白王だったが、固まったまま ぽぽぽと顔を赤らめて、


「白夜お兄ちゃん、白王お兄ちゃん真っ赤になっちゃったよ」
「白ちゃんには銀からのキスは強烈だったんじゃないのかな?」


耳まで赤くした白王を白夜はニヤニヤしながら眺めていた。





2010.05.26


白王は白血球王銀ちゃんです。
白血球王を縮めて『白王』にしてみました。
やっぱり白血球王に似て潔癖です。
なので銀くんやとうしろうくんといった純粋なお子様相手には優しくて甘いですが白夜には厳しいです。
子供好きは認めてるけどショタではないと言い張る白王お兄ちゃんでした(*^o^*)




〜おまけ〜

「今回 銀八兄貴大人しくね?」
「当たり前だろ、白夜兄さんがいて白王さんが来てるんだ」
「やっぱり銀八兄貴でも遠慮とかするんだな」
「ばーか、白王さんがいるなら白王さんに白夜兄さんの獲物になってもらえるだろ。大人しくしてれば自分の身の安全が守られるんだ」
「銀八兄貴って、」
「なんだよ」
「いや、なんでもない」

アラブパロ『時間の喪失』


「社長、書類持って来ましたよ」
「そこに置いといて」
「アンタって坂田がいねぇと真面目に仕事しますね」

「それしかすることがないからね」


わざとトゲのある言い方。
気付かないフリをしてコーヒーを煎れに背中を向けた。
いつからだろうか。
ふたりでいる空間が苦痛になったのは。
交わす言葉がない。
口を開けば仕事の話。

普段はしない眼鏡をしている神威をチラリと盗み見て、

コーヒーに砂糖を落とす。


―――RRR、RRR。


内線が鳴り神威が電話を取る。



カチャ、と受話器を戻した神威は唇を歪め笑っていた。