今まで全てを呪うことしかできなかった獣が一人の青年に恋をした、これはそんなお話。
いつからだったかはもうよく覚えていない。気付いた時には青年の姿を追い求めていた。追いかけられているのは自分なのに、気持ちはずっと追い求めている。
青年は綺麗だった。こんなにも自分は汚れているのに、彼はいつでも綺麗なままだった。憎悪。嫉妬。羨望。いつしかそれは恋情となった。いや恋情なんて綺麗なものではない。もっと歪で醜い思いだ。それでも青年に恋い焦がれた。
しかれども青年は獣を見ることはなかった。青年はいつでも他の誰かを見つめていた。
それは魔導書の精霊だったり覇道の総帥であったりあるいは白い巫女であったりそのまたあるいは―
当たり前の話だった。獣は破壊をする術しか持たなかったし、青年は大切なものを愛した人をその破壊から守る為に剣を執ったのだから。所詮は、互いに互いを破壊し尽くすことしかできない。そういう風に仕組まれた定め。変えようがない。否、変える気もない。それしか獣と青年が繋がる術は無いのだから。
無いと、思っていた。
「ほら、何ぼさっとしてんだ?」
何度目かの輪廻。
あろうことか青年は獣に手を差し伸べた。そのきっかけを造ったのは獣の方だったけれど。
でもまさか自分に手を差し伸べるなんて思いもしないだろう。青年は知る由もないが、何度も深く憎しみ合い、壊し合ってきたのだから。
青年はお人好しだった。それも救いようのないほど。
それでも、獣はその救いようのない優しさに救われていた。
「いや少し、考え事をな」
「ふうん?ま、別にいいけど。あんま考え過ぎんなよ?お前、ほっとくとろくなこと考えねえからな」
笑顔が眩しいなどと、思ってもみなかった。
きっと。
あの忌まわしい神の手の内にあるこの箱庭など、それこそ一瞬のうちに消すことができるのだろう。所詮、獣も青年も駒の一つでしかない。
アレが何を考えているかなど知りたくもない。
ただ今は、今だけは。この温もりを。
いつの日か。
青年が獣をきっと解放するだろう。
その時までこの輪廻で踊り続ける。青年が獣を憎むように、獣も青年を憎しみながら。
その時は。
この温もりすら糧に。
一辺の淀みもなく。
僕は、君を憎もう(あいそう)。
end…?
めっさたくさんループしてんだから1つくらい腐女子の妄想を満たすルートがあるんじゃないかと。
まあこれもきっとナイアさんあたりがひとしきり楽しんだあと消されるとは思いますが。
旧神エンドでボロ泣きしたんだ…エンネアァァア!!!
とにかく自転車を漕いで漕いで漕いで。
真っ青な空には白い筋一つ。それを横目に走り出す。
理由なんて特にない。
いや、あったのかもしれないけれど、それは本当にちっぽけで。自転車漕いでる間にどこかに落としてきたらしい。
いいんだ、それで。
会いたい。
あのはにかんだ笑顔を見たくなった。
ただそれだけだった。
いつか二人で来た丘を越えて。
桜が散る道を抜けて。
さあ、もうすぐ君の家。
「田沼?どうしたんだ、そんな息せき切って」
「…あーうん、どうしたんだろうな?」
自分でもはっきりとしたら理由が無いのでどうしたのかと聞かれるとちょっと困る。
会いたかったから、とはとても恥ずかしくてそんなことは言えなかった。
「どうしたんだろうなって…はは、なんだそれ」
おかしそうに彼は笑う。
そうだ、俺はこれが見たくて彼に会いに来たんだ。うん、いい笑顔。俺もつられて笑った。
「なあ、せっかくだから上がっていけよ。俺の部屋から桜、すごく綺麗に見えるんだ」
夏目の笑顔にこくりと頷く。
俺ももう少し笑顔を見ていたいと思ったから。
美しく咲く桜を口実に。
もう少しだけ、君のそばで笑ってたい。
end
高校生かぽー萌!
Laugh away/YUI
いまは、思い出さないように胸の奥にしまっている。
紅い炎。黒い敵。
斬られた左腕。俺を守る、背中。
―言ったでしょう。あなたが望むなら―
あの壮絶な、笑顔。
手を伸ばした。
だけど届くわけもなく、虚しく空を切って俺は水流に飲み込まれた。
目が覚めて。
隣にいたのは眼鏡の友人だった。
いない、いない、いない!
いつでも隣にあった笑顔はどこにもない。カロリアにも、囚人として連れていかれたあの場所にも。
彼はどこにも、いない。
俺の隣はぽっかりと空いた。
なあ、コンラッド。
あんたの還る場所は俺の隣だろう?
なら、早く俺の元に帰ってきてくれよ。
でも、もし。
あんたが帰れないっていうのなら。
俺はアンタがいる場所なら、何を失っても、たとえ魔王の地位だって、かなぐり捨てて、あんたに会いに行くよ。
end
どこらへんの話なんだろうなコレ。
この辺りの話よく覚えてなかったりする。
聲/天野月子
じゃあ俺が死ねって言ったらお前は死ぬのかよ、と問うたら、それが命令であれば、と。
いつか彼はそう答えた。
そうだ、彼は任務に忠実だった。そして俺は彼の上官であり、彼は俺の部下だ。変えることのできない現実。どちらかが軍を辞めるか、あるいは彼が昇進すれば変わるのかもしれないが、前者はお互いできそうにない。生きる場所が他にないからだ。後者も不可能だろう。できるのなら既にやっているし、彼なら難しくはないだろう。問題は我々には如何し難いところにあるのだった。
数ある前線基地の中で取り分け厳しい状況にあるこの基地では、甘えや妥協など許される筈もない。殺らなければ殺られる。ここはそういう基地だった。
だからここにいる兵隊はみな、優秀であった。この辛い状況を生き抜いているのだから。
そう、ここは軍隊だ。
上官と部下がいるのは当然だ。そうでなくては成り立たない。
そしてここは、彼を含めてみな、理不尽な命令にも不平不満を漏らさず、忠実に従う優秀な兵隊ばかりだった。
けれども俺は。
彼とは対等な関係でいたかったのだ。
彼にとって、それは上司の命令に思えたとしても。
俺は彼の友として在りたかった。
「遠回しに死ねって言ってんのはわかっている。だけど」
「何を迷う。これは任務であり命令だ。俺は従うまでだが」
「…俺は、お前に死ねって言ってるようなもんなんだぞ。それとも、お前は死ぬのが怖くないとでも言うつもりか!?」
一瞬、逡巡があった。
「…死は、怖い」
迷いのなかった瞳が少しだけ揺らぐ。
「けれど、お前を守って死ねるのなら、悪くない」
俺の動きが固まった。
呆れてものも言えないとはこういうことなのか。
馬鹿かこいつ。いや馬鹿だ確定だ。
何を言いやがる。しかも満足したように笑いやがって。
「今まで、撃つことしかしてこなかった俺だ。死に様としては最高だ」
そんなに嬉しそうに笑うなよ。
勝手過ぎるだろう、それは。お前はそれでいいとして、じゃあ残された俺はどうなる?お前はそれで満足でも俺は御免だ。
それでも。
「ほんとに、自分勝手だなてめえ。それに俺を守るんじゃなくて基地にいる人間を逃がすための時間稼ぎだっつの。勝手に解釈すんなアホ」
「俺にとっては同じことだ」
嬉しい、と思った。
彼にとって自分は、上司という存在だけでなかったことが。
彼は別にただ単に命令だから従うわけではないのだ。
それで、それだけでこの馬鹿を行かせようなんて、俺も相当馬鹿だけど。
「では、風間少尉。当基地放棄による人員退避のための基地及び退避用飛行船の敵戦闘機部隊からの防衛を任ずる。何としても死守せよ。これは相田少将の命でもある。ブリーフィングは今から3時間後、1200より行う。何か質問は」
「ありません、宮越中佐」
「よろしい。退室してよし」
お互いに敬礼。
最後になるだろうそれは、いつもと変わりなく。
それでも視線にいつもより想いを込めて。
願わくば。
生きて、俺の元に帰ってくるようにと。
end
自分でも何が書きたかったんだか。
設定とかその他諸々深いところにはつっこまないでください。適当ですから。
「カ イ トくーん、ちょぉっとこっちおいで〜?」
「ひぃっ、な、なんですかマスター?」
「冷凍庫に入ってたダッツの限定品、どこいったか知らない?」
「さ、さぁ〜?知りませんね〜」
「ふぅ〜ん…ところでさ、美味しかった?」
「はいとても!濃厚なバニラが」
「やっぱてめえじゃねえか!!」
「ぐはぁっ!!」
「アレさあ…もう買えないんだよね…うふふ。カイト、覚悟しろ?」
「ひぃっ、マスター!目がっ目が血走ってますっ!」
「血祭りじゃぁああ!!」
「ぎゃぁあああ!!」
日常。
他サイト様にあるようなとてもかっこよいのとか黒いのとかはまずあり得ない。とりあえずヘタレで変態。それがデフォ。