馬鹿みたいに頑張ってたら、体調は悪くなる一方で、通院も出来ずほったらかし。
学生さん達が来週テストだかなんだかで、2日連続で通し。
…悪循環極まりない日々の繰り返し。
友達と遊ぶ時間もなく、休みは屍の様に眠る。
1回10錠のサプリメントみたいなのを飲んで、なんとかやり過ごす。
とかなんとかやってたら、本当にヤバい感じのとこまで来てるみたいで、今日ついにソースを落として割ってしまった。
一瞬視界が歪んで霞んで、指先に力が入らなくなった。
そのままソース落としてパリーン、と。
いや、実際はもっと重い音だったけど。
軽くパニックになって、どうしようどうしようって思いながら狼狽えてたらレギュラーのOさんが見に来てくれて、指示を出してくれた。
それでも混乱してる私は、青タオルが何処にあるのかさえ分からなくなってた。
あぁ、そうだ此処だって思い出して、処理をする。
タオルの下でザラつく硝子も気にせず、ただただ処理をした。
その間も、手にあまり力が入らなかった。痺れてるような感覚。
処理が終わって、やっと私も落ち着いて、皆が大丈夫だよー気にしないでーって言ってくれる事に安堵した。
泣きそうなのを堪えた。
ただただ笑い続けた。
苦しいのを悟られないように。
最近、自分の呼吸が浅い事に気が付いた。
深呼吸の仕方を忘れてしまったのかもしれない。
家に帰れば、彼氏が寝ている。
起こさない様に静かにして、息を殺して…。
暗い部屋で携帯をいじる。
とくに何をする訳でもなく。
一昨日、彼氏が私の帰宅に気が付いた。
「ごめん、洗濯物…入れっぱなし。」
その言葉に私は笑った筈だった。
でも違ったらしい。どうやら私は無意識に笑いながら溜め息を吐いたみたいだ。
「ごめんね、疲れてるのに…本当に、ごめんなさい。」
彼氏の言葉の意味が最初は分からなかった。笑った筈なのになぜ謝るのか。
「大丈夫だよ。気にしないで?」
そう言った私はどんな顔をしていたのだろうか。
彼氏が手を伸ばして頭を撫でてきた。
「…だって、溜め息吐いた。通しで疲れてるの分かってたのに、ごめんね?無理して笑わなくて良いのに。」
その言葉に驚愕した。溜め息を吐いたなんて、自分でも気付かなかった。
安心させる様に、出来るだけ穏やかに微笑んで「大丈夫だよ。」って言ったら、彼氏は小さく頷いた。
落ち着かせる様に、緩く手を握ってあげたら、口元に笑みを浮かべたままで彼氏は眠りに落ちた。
ソッとその手を離して、覚束ない足取りで洗濯物を干す。
膝から崩れ落ちる様な感覚に襲われながら。
好きだからこそ、不安にさせたくない。
彼氏の前では笑顔を見せていたい。
疲れた顔は、見せたくない。
だから体調が悪くても私は言わない。
家に帰って、彼氏が熟睡しているのを確認したら、倒れ込むように布団へ寝転がる。
寝れやしないのは分かってるくせに。
結局寝れなくて、煙草を吸いにベランダへ出る。
寝室に戻って、夜になれば居なくなる彼氏を見て、頭を撫でてあげる。
これで、良い。
私が笑ってさえいれば、彼氏も幸せな筈だ。
私が頑張ってさえいれば、職場の皆も多少は楽になる。
学生さんは、勉強に集中出来る。
私が泣けるのは、叫べるのは、日に日に蝕む体調の悪さに怯えられるのは、誰も居なくなった部屋だけだ。
それで、良いんだ。