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契約の行方は

月の鏡の真祇様から頂きました!

ルルCのifでc.c.の乗っていた荷馬車の御者がルルーシュだったら…の話です。










「少し違うか……なぁ、ルルーシュ」


何処までも広く深い青空の下、揺れる荷馬車の、藁の上で、c.c.はある一人の少年の名を呼んだ。それはもうこの世にはいない筈の人間の名前だった。そう、少なくとも社会的には……


「ああ…そうかもしれないな」

ルルーシュは目を細めて柔らかく微笑んだ。それは以前の彼からは想像も出来ない程穏やかな表情だった。

「ふっ、随分と穏やかになったものだな。…それで? 此から何処へ行くつもりだ?」

「オーストラリアにマオが買った家があっただろう? ほとぼりが冷めるまで、暫くはそこで一緒に暮らそう」

「おやおや、まるで愛の告白のようだな」

「……契約したからな、お前の願いを叶えると」








「俺が、お前の本当の願いを叶えてやる」


c.c.は軽く目を見張り、軽快に荷馬車を操るルルーシュの後頭部をじっと見つめた。そして、不意にふっ、と笑った。それは何時もの皮肉気なものではなく、嬉しそうで、けれど今にも泣き出してしまいそうな、そんな笑顔だった。

「…………大した自信だな。お前に出来るのか?」

「愚問だな。俺を誰だと思っている?」

「『ルルーシュ』だろう? それ以上でもそれ以下でも無い、ただの『ルルーシュ』だ」

「そうだ。『ランペルージ』でも『ヴィ・ブリタニア』でも無い。その俺だから、お前と共に明日を生きる事が出来る」


『ヴィ・ブリタニア』であった時は無理だった。――皇族の影にいるのは魔女だったから。

『ランペルージ』であった時は、『ゼロ』であった時は無理だった。――かのテロリストの契約者もまた、魔女だったから。

けれど、今はもうそうではない。ただの『ルルーシュ』という名の少年と共にあるのは、魔女としてではなく、ただの一人の少女であればよかったから。




「ふふ……では責任を持って叶えて貰うぞ。でなければ契約不履行で訴えてやるからな?」

「手厳しいな」

困ったように苦笑するルルーシュを、c.c.は楽しげに見やった。





「わかっているだろう? …私はc.c.だからな」

そう言ってc.c.は、何時ものように傲慢に、けれど何処か甘く笑った。


END.

さあ、なんなりと


とりあえず企画立案者が書かないと駄目だろうということで書かせて頂きました。

スザ+ルル+シーでゼロレクイエム前のひと時の話です。













「ルルーシュ、私が何かしてやろう。」


「「は?」」


驚愕する黒と白の騎士と皇帝に、発言の主―C.C.は顔をしかめた。


「なんだその反応は…言っておくがピザ以外のモノは食べてない、頭がボケたのでもない。」

「…何が狙いだ。」


白―ルルーシュは知っていた、さっきの発言をした際のC.C.の顔は自分をからかう時のそれと同じことを。

以前この笑顔を見た後に起こった災難をルルーシュは忘れてはいない、だから警戒している。


「暇潰しだ、お前らは世界征服の為に忙しいだろうが私は何もすることがない。」

「だったら運動でもしたらいい。丁度いい長さの廊下なら「体力面はスザクがいれば良いだろう、だから私はメンタル面を補ってやる。」


だったら静かにしていてくれ。


うなだれるルルーシュに「御主人様、なーんでも言って下さいね」記憶を失った時のようにC.C.は詰め寄る。

語尾にハートマークは彼女の遊び心だ。


「御主人様ぁー、何をしてほしいですか?」

「何もない。」

「掃除、黒ビキニのお洗濯?お料理もプリンをプッチンするくらいなら…、あ、でも御主人様は童貞だから夜のお相手の方が「スザァークっ!!コイツをこの部屋から引きずり出せっ!!」


今となっては有名となった黒ビキニ、プリン、童貞はルルーシュの羞恥を沸き上がらせるのには実に有効なワードだ。

事実それをモロに喰らったルルーシュは、涙目になっている。

スザクはそれを黙って見つめ、暫くした後


「じゃあ僕も。」


深々と跪くスザク。


「何なりとお言い付け下さい、陛下。」

「…な…っ!?」


ルルーシュの思惑とは違うスザクの行動は彼を更に混乱させる。

そんなルルーシュを見てか否かスザクは目許を緩ませる。

決して笑ってはいないがルルーシュには笑っている様に見えてしまい、恥ずかしさがこみ上げて来てしまう。


「おっ…お前まで、どうしてっ…!?」

「たまには生き抜きも必要だろ、ルルーシュ。」

「……確かにそうだが…。」

「ほーお、私の時とは随分反応が違うようだが?」


そうC.C.は咎めると子供の様にルルーシュにしがみついた。


「ほわっ!?」

「ご主人さまぁー、早く注文してくださぁいー!!」
「そんな喋り方何処で覚えた!!…というか胸を押し付ける止めろ!!」

「あらっ、ご主人様ったら…やらしいっ!」

「やらしいのはお前だ馬鹿!!」

「…ルルーシュ、僕を無視するの?」


と。鳥類顔負けの口論にスザクの一言が一時の静寂を生む。


「スザク…その…。」


ぎこちなさにルルーシュが口を開けば、目の前の騎士は今度こそにんまり笑って

「嘘は駄目だよ、ルルーシュ。」


握られた手から骨の軋む音がした。

この男の恐ろしさを身や心をもって体験しているルルーシュが判断するに、今のスザクの状態はMK5(マジでキレる5秒前)と同等のレベルに達している。

ともすれば、ルルーシュに残された道はたったの一つ…。


「………今回だけだ…。」

折れたルルーシュに二つの笑みが浮かんだ。












「………おい、スザク。」

「静かに、ルルーシュが起きるよ。」

「…ここのところずっと寝ていなかった様からな…多分今日はもう起きまい。」

「……ルルーシュも馬鹿だよね、“今日一日一緒にいてくれ”なんて。」

「ああ、本当にコイツは馬鹿だ。」

「命令なんてしなくても、ずっと傍にいるのに。」

「…そうだな…“ずっと”…。」





―例え結末が決まっていたとしても、想いに終わりは無い。








…End
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