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smile(笑顔を)




お題『手』









夜。
眠りからゆっくりと意識が浮上する。

隣から聞こえてくる、苦しそうな荒い息。
同じ部屋で寝ていた隣の布団を覗き込めば、眉間には皺が寄せられ、脂汗を浮かべながらうなされていた。


夢の中で何が起きているかは解らないが、辛そうな顔は、その夢からの解放を望んでいるように見えた。



「大丈夫か、」


ゆさゆさと体を揺する。
早く、その夢から引き戻してやるために。



「………、ぁ………」

「すごいうなされてたけど、悪い夢でも見たか?」



「……うん、」




緩慢とした動作で上半身を起こし、小さく深呼吸をして、自分を落ち着かせている。
その背中を撫でてやる。

呼吸のリズムが落ち着いてくると、背を撫でるのをやめ、トントンと、ゆっくりとたたくものに変える。



「大丈夫か、寝れるか?」
「………」



まだ少し落ち着かないのか、返事は無く無言のままだった。
その目には、涙がうっすらと浮かんでいた。




「……一緒に寝ようか」


そう言って、隣の布団に潜り込む。
少し隅に移動してくれたおかげで出来たスペースに、自分の体を収めると、体の下敷きにならない方の手で、相手の手を握った。


「これなら、安心して眠れるか?」


指を絡めて、手のひらごと包んでしまうように握る。
すると微弱ではあるが握られた手で握り返してきて、小さく首が頷いたのを確認すると、もう片方の腕で頭を抱え込んでやる。



「おやすみ」



お互いの暖かい体温は、元から眠りの縁をさ迷っていた眠気をあっという間に攫っていってしまった。











(次に君が目覚めた時には、君の笑顔が見れますように)







―――――
キーワードを決めてssを書こうシリーズ。
今回のキーワードは『手』

関節一つ分くらい違う手だったら、手のひらも包み込めるくらいなんじゃないかなぁと。
プラス腕枕で密着、みたいな。

……はい、完全に趣味の世界ですね(笑)
てゆーか書いてる本人が言うのも何ですが、この人たちの年齢と関係性が解らない(笑)
親子か知人か恋人か?


……解釈は人それぞれと言う事で。
ちなみに前作とはキャラクターは引き継がれておりません故ー。



day and night(四六時中)




お題『半同棲』









玄関の鍵が開いている。
一瞬自分の出かけ際の不用心さにヒヤリとしたが、すぐ視界に入った自分のものと違う、けれどもよく見慣れた靴に、泥棒などでは無いことを理解する。


「来てたの」

部屋に入ると、予想通りのそこに居た靴の主。
あぁ、と小さく返事を返されただけで、視線は手元から外れなかった。

「何してるの」
「PSP」


あぁ、あれかな。
ここ最近、ずっとやってる何とかってゲーム。
内容は前に聞いた気もするけど、解んなくて忘れた。

そんな事をぼんやり考えながら自分のコートを脱いで、手に持っていたスーパーの袋の中身を冷蔵庫に放り込んだ。

今日の晩ご飯は2人分になるな。
そんな事を頭の中で考えた。

でも問題は無いだろう。
今日買ってきた材料も、残念ながらちょうど2人分あるのだから。



食材を冷蔵庫に入れ終わると、台所からソファのある場所まで戻る。
ソファを陣取る人物の視線は相変わらずPSPに向けられたままだったから、自分はソファを背にフローリングに腰を下ろし、しばらくその姿を見つめていた。
すると視線に気づいてか気まずくなってか、いつの間にか電源を切ってこちらを見ていた。
相変わらず、愛想の無い顔。



「来週末、行きたいとこあるか」
「来週?」

はて、来週は特に予定も無かったはずだが。
デートの誘いか?
……にしては、何かが違うような。


「2日過ぎるけど、その日以外は当分時間が取れそうにないんだ」


あぁ、誕生日か。
カレンダーにあるベタな赤まるの印を見て、ようやく思い出した。

自分の部屋のカレンダーに自分の誕生日を書き込んでいるのは馬鹿みたいだが、生憎これは自分のした事ではない。
おそらくは、この半同居人状態の人がしたのだろう。

自分がカレンダーの印に違和感を感じなかったのが、なんだかこの人がこの部屋に馴染んできているようで少し気恥ずかしい。


「行きたい場所かぁ」
「その日なら、どこへでも連れてってやる」

朝から迎えにきてやるよ、なんてニヒルな笑みを浮かべて。
似合っていないその表情に笑いそうになったけど、不覚にも嬉しいとか、かっこいいとか。
思ってしまった自分が恥ずかしい。


「じゃあ、当日うちに来てよ」
「……?あぁ、それは」

当然だろう、と言わんばかりの表情。
うちに迎えに来てから、どこへ行きたいか。
それを言え、遠慮するな、とせかしてくる。

「うちに来てくれるだけで良いよ」

そう伝えれば、頭の上に疑問符を並べて、怪訝そうな顔をされた。


「誕生日だからって外に出なくたって、一緒に居れるだけいいから」

会える回数は多くとも、共有する時間はいつもそんなに長くは無い。
だからその日は1日、一緒にゴロゴロしてよう?
その旨が伝わったのか、面食らった顔で頷いてくれた。



「わかった」











好きっていう言葉とか、愛の大きさだとか、そんなものはあまり貰った事がない。
けれど、それが自分たちには一番合っていると思うから。






(私は四六時中、あなたの事を考えてる)


(あなたも、そうかな?)






―――――
突発更新です。
お久しぶりすぎますね。
すみません切腹します(←やりすぎ)

設定は、大人な2人のある日の一コマ。
同棲してないのに相手が部屋に居る事に慣れてしまってる、ってのが書きたかったんです(見事玉砕しましたが)

何だか知らないうちに誕生日とか出しちゃったけど、キャラ設定が弱くて微妙な出来になった…。
もっと精進します…。

clubROZE=衣央的礼夜観察。








「あ、衣央」



「おかえりなさいませ、ご主人様。」




「ただいま、んでおはよー」





朝8時。

ホストクラブのホスト兼オーナーであるご主人様の帰りは、いつもこのくらいのものである。





「あー疲れたぁー………。衣央、晩酌するから付き合ってー」




「…………自分の仕事の中に、“晩酌に付き合う”は含まれていないと思うのですが…」



「いいじゃん、別に。じゃ、お酒部屋に持って来てね」



「………はい」






どれだけ朝日が窓から降り注いでいても、仕事帰りのご主人様には今の時間が晩酌だ。

しかし自分はまだ出勤してから1時間程も経っていないから、付き合うと言っても当然酒は飲まない。


それに自分が酒の席に同席させられる場合、大体がご主人様の話相手であるという事は、ここに雇われた時からの暗黙の了解である。






「今から飲むって事は………今日はメアリーの出番は無いかな……」



チラリと時計を見る。


朝日が完全に昇ってから礼夜さんが帰宅して、尚且つ仕事でも浴びるように飲んでいるお酒を更に飲もうとする日は、大抵午後からの使用人の仕事が減る。


このパターンから考えれば、今日メアリーがこの屋敷に来る頃には、おそらく仕事は無くなっているだろう。



メアリーはまだ高校生だし、友達と遊んだりもしたいだろう。

メアリーに今日は臨時休みだとメールを送ってから、礼夜さんの部屋へ酒を持って行った。







コンコン



「どーぞー」



ガチャ



「お酒、持ってきました」



「ありがとう。さぁ、飲もー」



「酔っ払いは、礼夜さんだけで十分です」




そんな声が聞こえているのかいないのか、礼夜さんは酔っ払い独特の間延びした喋り方で酒を飲む。


グラスに注がれたのは透明な色のワインで、朝からそれを飲んでいる礼夜さんの姿は、見るだけで胸焼けがする。


そんな、清々しい朝には到底似つかわしくない光景の中、自分は礼夜さんの話に相づちを打つ。




今日は仕事で、結婚を迫ってきたお客さんが居たらしい。




「瑞希が良いって訳でもないけど、お客さんも勘弁だよなぁ」


「それはそのお客さんに対しても、瑞希さんに対しても失礼ですよ」



「そう?あ、美亜くらいなら一番良いなー」


「メアリーが相手だったら、礼夜さんは捕まりますよ」



「え、何で?」


「まだ高校生ですから」








半分呆れながら言えば、不満の声を上げながら更にワインを煽っている。


ホストでロリコンなんて言われる主人は見たく無いので、釘を刺すのはいつものこと。







こうして早朝の晩酌会は、礼夜さんが酔い潰れるまで続くのだった。











―――――

しばらくぶりの更新で申し訳ないです!
ちょっとスランプだったのですが、何とか新作書けたので持ってきました。
相変わらずの駄作で申し訳ないですが……。


今回は礼夜と衣央という事で、ちょっと大人な雰囲気(が出てると良いのですが)なお話にしてみました。
美亜利が居ると、ギャグにしかならないので……(笑)

礼夜はホストなのでお酒はある程度強いですが、衣央はザルです。(これは半分、小夏の願望でもありますが……)
でもチョコとか甘いものに入ってるお酒には完全に下戸です。
(↑これらの設定は全て今思い付いた、ただの希望です(笑))



あと礼夜サイドに、勝手に新キャラ出しちゃいました(笑)

瑞希、22歳、♀。

キャラの詳細は後日また書きます。
他にもちょっとずつ新キャラ出してく予定なので、その時は広い心で受け止めてあげて下さいー(笑)


では、長々とあとがきしてすみませんでした!

clubROZE=美亜利的衣央観察。








「お、遅れましたっ!」



バンッ





「あぁ、美亜。おはよ」


「……メアリー………」




うぁっ!

ただでさえ遅刻しちゃったのに、入って早々ご主人様と衣央さんに見つかってしまった……。

今日の運勢絶対悪いよ……。




「あ、の!………私、着替えてきます!」


「あ、ちょっとメアリー…!」




やっばーい……。
二人が玄関に居たとこからして、多分ご主人様は今から出掛けるんだよね?

衣央さん怒ると怖いから、出来たらまだご主人様に居て欲しいなぁ……。









「あの、……遅れてしまって、申し訳ありません!」




仕事用の服(所謂メイド服)に着替えて、大きなダイニングテーブルのある部屋に入るなり頭を下げる。

ちなみにしばらく頭を下げたままなのは、怒った衣央さんと目を合わせないため、なんだけど。





「ふふっ、いいよー別に」



そう言われたのは、ご主人様の声で。
パッと顔を上げたら、笑顔で頭を撫でてくれているご主人様が居た。






「美亜の制服姿も、なかなか良いしね」


「………へ?」


「衣央がここに来た時はもう大学生だったから、制服姿見てないんだ」


「……はぁ」




「衣央、今度ブレザー着ない?」


「着ません」


「冷たいなぁ……。ねぇ、美亜も見たくない?」


「あー、いや、えーっと………」





そっか。
ご主人様に学校の制服姿見られたのって、初めてかも。



それよりご主人様、出掛けないのかな?





「礼夜さん。いい加減お店開けないと、他の方が迷惑しますよ」


「衣央は真面目だなぁ…。じゃあ行ってくるから、美亜を怒っちゃ駄目だよ」


「………甘いんですよ、まったく」





「じゃあ、行ってきます」


「「いってらっしゃいませ、ご主人様」」






ご主人様を見送ってから、隣の衣央さんの表情をチラッと伺い見る。


衣央さんは、はぁ、とため息を吐いていて、私はビクッと肩を揺らしてしまった。




「いいよ、今日の事はもう」


「あ、ありがとうございます!」



衣央さんに許してもらえてよかった……。




「あぁ、でも」


「え?」


「もしこれからご主人様に学校の制服に着替えろって言われても、絶対に着替えちゃ駄目だからね」


「え、何でですか?」




さっきの様子からして、ご主人様は制服好きみたいだったけど……。





「……………あ、衣央さんも着させられるから……ですか?」




そう言えば、苦い顔をした衣央さん。


さっきもご主人様に言われて嫌だって言ってたけど、それでもきっと、衣央さんはご主人様に頼まれたら断れないんだろうなぁ。


でも…………。



「…はい、気をつけますね」





私も衣央さんの制服姿、見てみたいかもっ。









―――――
連載第2弾ー。
ラブラブ(?)な3人を書いてみた。

しかしまぁ、ツンデレな衣央を自分好みのキャラにしすぎている現実……(笑

誰か小夏の暴走を止めてあげて!(笑

clubROZE=礼夜的美亜利観察。





半年前にメイドとして雇った、現役高校生の美亜利。


最近俺自身の仕事が忙しくなったから、衣央だけで身の回りの世話をするのは手が足りないかなと思って雇ったんだけど………。






「きゃあ!」


「ちょっと、メアリー!危ないから!」


「だ、大丈夫ですっ」


「いいから!それは僕がやるからっ」



「きゃっ………」




ドンっガタン!
ガタガタっガシャン!
パリンッ!







……………どうやら、衣央の仕事を手伝うどころか、増やしてしまっているらしい。









「衣央、美亜利。怪我無い?」




あの音じゃガラス類が床に散らばってそうだから、気をつけながら中に入る。



するとまず、その場で立ち竦んでしまって動けないでいる美亜利が目に入った。


衣央が居ないって事は………多分片付けるための道具を取りに行ったのだろう。




「美亜、危ないから動くなよ」


「あっ……私、…っ!」


「怪我した?どこが痛む?」




一応、と持ってきていた救急箱を片手に、美亜の手や足をざっと確認する。


すると右腕に、少し血の滲んだ切り傷があった。




「女の子が怪我しちゃ駄目じゃん。お嫁に行けなくなるよ」


「あ、いえ……、滅相も無いです、っ。とゆーか、ご主人様は下がって下さいっ!危ないですっ」


「美亜が動かなきゃ大丈夫。それより今は手当てが先。ジッとしてないと駄目だよ」


「………はい、すみません」




目に見えて落ち込む美亜の向こうに、片付けを始めた衣央の姿を確認する。


……衣央は怪我してる様子も無いし、ここの片付けは衣央に任せよう。




「美亜、手当てしたいから向こう座って。あ、足元気をつけてね」


「は、はい」




怪我をしていない方の手を引いて隅にある椅子の所まで誘導し、美亜をそこに座らせる。



そして一通り手当てを済ませると、ようやく落ち着いたのか、美亜が申し訳なさそうに頭を下げてきた。





「あの……すみませんでした」




そう言った美亜の視線は、衣央がカチャカチャと音を立てながら片付けている、割れたガラス類に向けられていた。




「別に良いよ。てゆーかね」


「は、はいっ」




「美亜は、衣央に言われた事だけやってれば良いんだよ」


「うぅ………すみません」



「いや、怒ってるわけじゃなくて。美亜は、ここに居てくれるだけで良い、みたいな所あるし」


「…………?」




あぁ、これは理解出来てないって顔だねぇ。

ホントなのに。




「ねぇ、衣央?」



「………はい、そうですね」





そろそろ片付けも終わりかけていた衣央に聞けば、苦笑いしながら同意してくれた。




「ね?だから美亜は、これから危ない事しちゃ駄目だよ?」



「はい……」



「解れば良し。それじゃあ衣央も、リビング戻って紅茶でも飲もう」









人生楽しんでる俺と、完璧に仕事をこなす執事と、ドジっこだけれど可愛い美亜利。





奇妙な3人の、奇妙な物語の幕開け。






―――――
新連載ですー。
ホスト×メイド×執事な物語。

でも登場人物3人だけだと、話の終わりがすぐそこに見えるよ……(苦笑


とにかく頑張ります!
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