「あ、衣央」
「おかえりなさいませ、ご主人様。」
「ただいま、んでおはよー」
朝8時。
ホストクラブのホスト兼オーナーであるご主人様の帰りは、いつもこのくらいのものである。
「あー疲れたぁー………。衣央、晩酌するから付き合ってー」
「…………自分の仕事の中に、“晩酌に付き合う”は含まれていないと思うのですが…」
「いいじゃん、別に。じゃ、お酒部屋に持って来てね」
「………はい」
どれだけ朝日が窓から降り注いでいても、仕事帰りのご主人様には今の時間が晩酌だ。
しかし自分はまだ出勤してから1時間程も経っていないから、付き合うと言っても当然酒は飲まない。
それに自分が酒の席に同席させられる場合、大体がご主人様の話相手であるという事は、ここに雇われた時からの暗黙の了解である。
「今から飲むって事は………今日はメアリーの出番は無いかな……」
チラリと時計を見る。
朝日が完全に昇ってから礼夜さんが帰宅して、尚且つ仕事でも浴びるように飲んでいるお酒を更に飲もうとする日は、大抵午後からの使用人の仕事が減る。
このパターンから考えれば、今日メアリーがこの屋敷に来る頃には、おそらく仕事は無くなっているだろう。
メアリーはまだ高校生だし、友達と遊んだりもしたいだろう。
メアリーに今日は臨時休みだとメールを送ってから、礼夜さんの部屋へ酒を持って行った。
コンコン
「どーぞー」
ガチャ
「お酒、持ってきました」
「ありがとう。さぁ、飲もー」
「酔っ払いは、礼夜さんだけで十分です」
そんな声が聞こえているのかいないのか、礼夜さんは酔っ払い独特の間延びした喋り方で酒を飲む。
グラスに注がれたのは透明な色のワインで、朝からそれを飲んでいる礼夜さんの姿は、見るだけで胸焼けがする。
そんな、清々しい朝には到底似つかわしくない光景の中、自分は礼夜さんの話に相づちを打つ。
今日は仕事で、結婚を迫ってきたお客さんが居たらしい。
「瑞希が良いって訳でもないけど、お客さんも勘弁だよなぁ」
「それはそのお客さんに対しても、瑞希さんに対しても失礼ですよ」
「そう?あ、美亜くらいなら一番良いなー」
「メアリーが相手だったら、礼夜さんは捕まりますよ」
「え、何で?」
「まだ高校生ですから」
半分呆れながら言えば、不満の声を上げながら更にワインを煽っている。
ホストでロリコンなんて言われる主人は見たく無いので、釘を刺すのはいつものこと。
こうして早朝の晩酌会は、礼夜さんが酔い潰れるまで続くのだった。
―――――
しばらくぶりの更新で申し訳ないです!
ちょっとスランプだったのですが、何とか新作書けたので持ってきました。
相変わらずの駄作で申し訳ないですが……。
今回は礼夜と衣央という事で、ちょっと大人な雰囲気(が出てると良いのですが)なお話にしてみました。
美亜利が居ると、ギャグにしかならないので……(笑)
礼夜はホストなのでお酒はある程度強いですが、衣央はザルです。(これは半分、小夏の願望でもありますが……)
でもチョコとか甘いものに入ってるお酒には完全に下戸です。
(↑これらの設定は全て今思い付いた、ただの希望です(笑))
あと礼夜サイドに、勝手に新キャラ出しちゃいました(笑)
瑞希、22歳、♀。
キャラの詳細は後日また書きます。
他にもちょっとずつ新キャラ出してく予定なので、その時は広い心で受け止めてあげて下さいー(笑)
では、長々とあとがきしてすみませんでした!