「わきゃっ!」


すごく変な声が出ちゃったのは、つまずいてしまったから。顔からダイブせずに済んだけど、膝がじんじんする。こんな日に限ってオレは短パンを履いてて、起き上がったら膝小僧から結構な出血。実際痛みは少ないんだけど、こんなたくさんの血を見ちゃったら、えーん、すっごく痛いような気がする!


「大丈夫か?」


なんて、座り込んでるオレに、準さんがのんびり声をかけてきた。


「準さん、歩くの、早い!」
「そうかな。三橋より足は長いけどね」
「追いつけないから、つい走っちゃって…コケたんだ、もん」
「オレのせいか?」
「です、よ!せめて、手をつないでくれたら、いいのに」


たまにオレからぎゅって握ると、ウザッたそうに振り払われるんだよね。


「手繋いでたら二人一緒にコケちゃうじゃないか。被害は最小限の方がいい」
「準さん、ひどい」
「傷、見せてごらん」
「やだ!」


膝は痛いし、準さんは冷たいし、本格的に涙が出そう。膨れっ面をしてると、準さんがポンポンと頭を撫でてきた。オレの目の前にしゃがみ込んで、じーっと膝を見つめてくる。やだって言ったのに。
突然、準さんの唇が、出血してる膝頭に寄せられた。熱い舌でそこを舐められる。うひゃー!準さん、睫毛ながい!すごく、かっこいい。あ、でも舐められるとちょっと痛いや。くすぐったいし。


「…血の味だ」


唇を離した準さんが一言。
当たり前じゃん。


「あ、口の中じゃりじゃりする。血と一緒に砂も食っちまったらしい」
「うへ…まずそう」
「まずいさ。ほら」


とか言って、ちゅーされた。長い舌が入ってくる。うわぁ、ほんとに血の味だ。
むーむー暴れてると、そのまま押さえ込まれて、だっこされた。唇が離れて、黙って見つめ合って、家につくまでずっと準さんの腕の中。




傷が治るころには、準さん、ちゃんと手を繋いでくれるようになったんだ。


「ふひ。これでオレ、一生、転ばない」
「……一生オレと過ごす気か?」
「ダメ?」
「うーん、まぁいいか。仕方ない」


ずっと繋いでいてね。
その手を離さないで。



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ひたすら甘い。わーこれが真の甘々?違う?ていうかこんなの三橋じゃありません。しかしこれが今田スタイル。開き直りの兆し。精進いたします…
リハビリに準ミハはいい感じです。