話題:お題リレー
揚羽さんからいただいてきましたお題。
「夢と知りせば覚めざらましを」
(夢と知っていたら眠りから覚めなかったのに)
初の山高でおおくりしたいとおもいます。痛い文章がこれから1500字以上続きます。(笑)
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「高杉さん。」
駅に向かいながら、俺は先を歩く高杉さんに話し掛ける。しかし、返事は帰って来ない。何時も通り中々返事をしてくれない高杉さんの背中を見ながら俺はもう一度呼び掛けた。
「たっかすっぎさ〜ん。」
こういうやりとりは毎日の日課。恋人同士になってからずっとこんな感じだ。で、結局は駅に向かう一本道へ曲がる角でやっと返事をして待っててくれる。
「高杉さんってば〜。」
前を歩いていた背中はピタリと止まる。嗚呼、何時も通りだと少しはにかみながらその背中を見る。高杉さんはチラッとこっちを向くと、いきなり走りだし路地を曲がって行ってしまった。えっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと!!何で走り出したの?俺と居るのが嫌になったの?今までなんだかんだ言っても一緒に歩いたり、手を繋いだり(しようとして触ったらたらチョップをくらったけど)、お弁当食べたりしたってこんな事無かったのに。
「なんで…。」
慌てて高杉さんが曲がって行った角を曲がる。其処には駅まで見通しの良い一本道が。見渡すかぎり高杉さんどころかひとっこ一人も居ない。何時もとは違う静かな道が真っ直ぐな道がずっと先まで続いてるだけ。
「高杉さん…。」
嗚呼…もう駄目なんだ。二年のクラス替えで初めて同じクラスになって、隣の席で、君が教科書忘れる度見せて、その度机をつけて君に近付ける事がとても嬉しくて、君への想いは日に日に大きくなって、ガンガンおしまくって、やっとの思いで両思いになれて。俺の心は君のモノなのにな。
「たか…「返事しねぇからな。」
いきなり後ろから掛けられた声に驚き、振り返る。其処には、電柱に寄りかかり腕を組ながら此方を見ている高杉さんが居た。俺を見る彼の目は怒っているようで、でも何処か淋しげだった。
「"高杉さん"なんて呼ぶんだったら返事なんかしねぇぜ。」
高杉さんは俺に近付くと、制服の裾をチョコンと引っ張り、うつ向きながら答える。
「晋助って呼べよ…。何で名前で呼ばないんだよ。他人行儀な感じで呼ぶなよ。」
嗚呼…何でこんなに可愛いんだろう。俺は晋助の体を引き寄せ力強く抱き締めた。
「晋助…。」
「…。」
「大好き。」
「知ってる…。」
抱き締めた腕の力を弱め、晋助と自然と向き合える体勢をとる。そのまま吸い込まれる様に晋助の唇に自分の唇を落とす。唇を舐め、舌を甘噛みし、何度も何度も角度を替え、更に深く深く絡ませる。周りなんか気にしない。俺は徐に晋助の制服のボタンを…‥‥・・・
「ザキぃ。」
頭に重い打撃を喰らい意識を引き戻される。目の前に広がるのは風紀委員の資料室、そして目の前に居るのはさっきまで可愛らしく俺に抱きついて居た高杉さん。
「ククク…ザキよぉ。俺を待たせておいてこんな所で寝てるなんざぁ良い度胸じゃねぇか、あ"あ"?」
頭に喰らった打撃は高杉さんが放ったものらしい。わぁ…、笑ってる癖に目は見るだけで人を射殺せそうな感じでだよ。しまったなぁ、どうやら資料をまとめてるうちに寝てしまったらしい。直ぐに終わると思って待っててもらったんだ。
「よっぽど良い夢だったんだなぁ〜、此処をこんなんにして。」
高杉さんは俺の持ち上がった彼処を指差しながら唇をつり上げて言う。声が…。カナリ怒っていらっしゃるようです。
「覚悟は出来てんだろ?ザキよぉ。俺を待たせてどんな夢を見てたんだ?」
嗚呼…
夢と知りせば覚めざらましを
此処は天国と地獄の境目か。
嗚呼…。夢の中の高杉さんはスッゴク可愛かったのに、どうして現実は。
「た……………晋助の夢だよ。」
どうせボコられるんだったら、夢の様に下の名前で呼んでやろう。少しくらいあらがわせて下さいよ。少しくらい夢から引き釣りだされた復讐をさせて下さいよ。
「………。」
予想した反応が無い。おそるおそる下げていた首をあげて見ると其処には右目を見開いて赤くなってる高杉さんが居た。
「晋助?」
更に赤くなっていく頬。
嗚呼…ゴメン。前言撤回。
現実の方がずっと可愛いや
(襲っていいですか?)
(もう、行動に出てるじゃねぇか。)
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高杉の口調って分からない。