「なあ相馬、例えばこのまま薩長軍を倒してさ、蝦夷共和国がずっと長く続いたらさー。」
「…突然壮大な話だな。」
「まあまあ細かいことは気にするな!」
「はあ…。それで?」
「もしずっと未来までこの国が栄えたら、今俺たちがこうして話してたり、行動したことがそのずっと未来の誰かに伝わるのかなって!もしかして、本にされたりとかしてさ!」
「…その可能性が皆無ではないとして、野村。この場に俺とお前しかいないのだから、どちらかが伝えるか記さなければならないぞ。」
「本当だ!俺は文章書くの苦手だからなー。」
「俺も別に得意ではない。」
「そうだなあ…じゃあ俺の活躍を本にしてくれそうな人の傍にいよう!」
「…何だその発想は…。」
「相馬も考えろよ、誰がいいかな…島田さんは?」
「あの人は確かに長生きしそうだ…でも、副長のことならいくらでも書きそうだが俺たちのことまで書いてくれるだろうか。」
「確かに…!じゃあ、登さんは?」
「中島さんか?」
「前に報告書見たけど、地図とか文とか上手かったんだぜ!」
「仕事の邪魔をしてたんじゃないだろうな?」
「う…してない!…はず!」
「全く…。」
「うーん、でも…やっぱ止めた!誰かの傍にいたら、お前との時間が減るもんな!」
「…野村、前から思っていたがそういう発言は女性にしてやれ。」
「なんでだよー、俺とお前は親友なんだからいいだろ!親友だから、ずっと一緒にいてさ、年をとったら時間があるだろうから二人で思い出しながら書けばいいんだよな!うん、そうだそれがいいな!」
「年をとってもお前といるのか俺は…。」



…そう、言って笑っていた男はもう隣にはいない。
野村は死に、俺たち幕府軍は賊軍になってしまった。
すまないな、野村。
賊軍となった今では、お前のことを書いたり伝えたりすることも出来ない。
…だが、お前は宮古湾において敵にすらその死を惜しまれるほどの戦いを見せた、という話が聞こえてきた。
たとえ俺が文章に残せなくても。
お前の生きざまはきっと未来に伝わるのだろう。
ーーそんな野村の親友、に相応しくあるために。
全てが終わった今、俺もせめて、潔く果てて見せよう。





中島登さんと野村さん仲良い説が頭から離れない…。
戦友姿絵、局長副長並の文章量なので親しくしていたに違いないよね!っていう。