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約束 4

高校時代そう言えばいつも自分の事ばっかり話してて
優ちゃんの事あんまり聞いたことが無かったかも

(昨日また告白されたんだけど陽菜見た事ない人だったの
そんな人と付き合えるわけないじゃんね(怒))

(アハッそうだね)

(隣のクラスの田野君、武藤さんと付き合ったんだって)

(へぇー)

(どこかに優しくてカッコよくてお金持ちの男いないかな)

(アハッにゃんにゃんは贅沢だね)

いつも話を聞いて笑ってくれていたけどどこか影があって
悲しそうに見えてたのは何でだったっけ・・・

「どうしてこの曲を勧められたんですか?」

「報われない恋をした人が作った曲だからかな」

「なんで好きな人に?」

「なんでだろうね・・・・」

あ、またあの顔

目元は見えないけどこの雰囲気は
何でそんなに悲しそうなの?優ちゃん・・・・

「だいぶ暗くなってきたので散歩に行きませんか?」

「散歩?」

「海へ行きましょう!」

強引に誘って出てきちゃったけど
優ちゃん海好きだったでしょ?

「足元に段あるので気を付けてくださいね」

「ありがとう」

手を繋いで並んで歩く

「私の育った街にも海があったんだ」

「私もです、仲のいい子が居てその子とよく海へ行って
砂山作ってトンネル掘る競争したり」

「私もしてた!両方から崩さないように掘るの大変なんだよね♪」

「ちょっとやってみませんか?」

「え!?」

「はい作りますよー(бвб) 」

砂浜にしゃがんで作り始める

「出来たー、じゃーよーいドンで始めますよ」

その場所に手を持って行ってあげて自分の場所へ戻り

「よーい・・・ドン!」

掘り進めていくと

「あっ崩れそうですよ(汗)」

「うそ(汗)」

「ウソでーす(笑)」

「このやろー(笑)」

お世話しだしてから初めて本気で笑った顔を見たかも

掘りながら

「小嶋さんはなんでヘルパーさんになろうと思ったの?」

「私あんまり頭が良くなくて、でも人を助ける仕事がしたくて
この仕事がぴったりだったんですよ」

「高校生の頃はどんな学生だったの?」

「普通ですよ、どこにでもいそうなギャル?」

色々聞きたいのは陽菜の方なのに・・・

どうやって怪我をしたのか
何故連絡をくれなくなったのか
ドイツでどんな生活を送っていたのか・・・

そんな事聞けないけど・・・

「あ、届いた♪」

指と指がふれあい少し赤くなる優ちゃん

昔と変わんないね
陽菜の指に触れるといつも照れたように笑ってたっけ

「いい風だね・・・これが無かったらもっと気持ちいいんだろうな」

包帯を抑え辛そうなそぶりを見せる

「今まわりに誰もいないし月明かりだけだから外してみませんか?」

「でも・・・気持ち悪いよ」

「そんな事思いませんから」

「じゃー・・・少しだけとろうかな」

包帯を取った優ちゃんの右瞼の上と左こめかみにはひどい傷が・・・
でも目の輝きはあの頃のまま

「アハッ(-∀-`) びっくりしたでしょ」

「そ、そんな事ないです(汗)」

近づいてくる優ちゃんの右手が陽菜の頬に伸びてきて

「霞んでいてよく見えないけどきっと綺麗なんだろうね」

優ちゃんの触れたところが熱い(汗)

「普通ですよ、どこにでもある顔です」

「アハッ私もだよ」

陽菜より背は低いのに細くて長い指だった


遠くから声が聞こえてくる

「そろそろ戻りましょうか目も疲れちゃいますから」

「そうだね」

包帯を巻いてあげていると

「今日はありがとう凄く楽しかったよ」

そう言って笑窪を作る優ちゃん

この顔・・・懐かしい

「私もです(бвб) 」

別荘までまた手を繋いで帰った

約束 3

「今日は顔合わせだけって聞いてたんだけど
もう帰っちゃうのかな・・・」

包帯で見えないけどきっとあの頃みたいに
眉毛を下げているんだろうなー

「この後は仕事が無いので
大島さんさえ良ければ夕方まで居ますけど」

「助かった、実はトースターの位置とか全部変わってて
朝ご飯食べてないんだよね(汗)」

「申し訳ございません、すぐに作りますね」

もう、かしわげちゃん何やってんのよ(怒)

「お飲み物は何がよろしいですか?」

「温かい紅茶とパンにはバターだけを」

「かしこまりました」

「出て右の扉がキッチンだから
バスとトイレは左側の扉」

「わかりました」

食べやすいように卵と厚切りハムを焼き
トーストは半分に切りトレイに乗せてキッチンを出ると
懐かしい音色が聞こえてきた

「コンコン・・・失礼します」

「ありがとう、そこのテーブルに置いてくれたらいいから」

どうやって食べるのか見ていると
指先で食器や食べ物を確認しながら器用に食べていた

いつ怪我をしたんだろう・・・
慣れてる所を見るとだいぶ前なんだろうか・・・

もしかしたら・・・・だからメールを送れなくなったのかな

「食べ終わったら楽譜起こすの手伝ってもらえるかな」

「はい」

それからの優ちゃんのお手伝いは凄く楽しくて
あっという間に2週間が過ぎていた





「そろそろ休憩しませんか?
もう2時間以上弾いてますよ」

「もうそんなにたってたんだ(汗)
そう言えば紅茶のいい匂いがする」

「熱いので気を付けてくださいね」

「うん、ありがとう」

ソファーに座りリモコンのスイッチを入れる優ちゃん

「あ、これヴァイオリン♪」

「高校を卒業する前、好きだった人に
この曲を勧めたことがあったんだ」

「そうなんですね」

初めて聞いた・・・優ちゃん好きな人いたんだ・・・

なんでも話せる仲だと思ってたのに少しショックかも・・・

約束 2

ふと横の棚を見ると見覚えのあるCDが

「あのCDヴァイオリンの独奏が入ってるやつですか?」

「良く知ってるね」

「ヴァイオリン好きなんですか?」

「ヴァイオリニストだからね」

え?・・・・

それ高校時代好きだった曲で学校帰りにある
CDショップでよく聴いていた曲なんだ」

まさか・・・

「えーと、佐藤さんですよね?」

「佐藤はここの家主さんの名前で
私は大島優子って言うのよろしくね」

うそ・・・優ちゃん?
包帯で顔がわからなかった(汗)
いつ日本に帰ってきてたの?

「目の治療で日本にいる期間だけ
佐藤さんの別荘を借りてるんだ」

別荘?それより

「その怪我どうしたの!?」

「・・・・小嶋さんに関係ある(怒)」

「あ・・・すいません(汗)
そのー・・・お世話していくうえで
したらいけ無い事とかあったらなーて思って(汗)
すいませんでした」

「ううん・・・そう言う事なら・・・
私、今ドイツに住んでるんだけど
ちょっとした事故で右目は全然見えなくて・・・
左目も霞んでほとんど見えないんだ
太陽の光はもちろん強い光は避けないといけないから
こうしてパッドつけて包帯してる」

「治療してるって・・・」

「手術すると見えるようになるかもって言われて
藁をもつかむ思いで日本に帰って来たんだ
まだちゃんとした日にちは決まってないんだけど
一カ月後ぐらいに手術するの
その間だけだけどよろしくお願いします」

「こちらこそ辛い事思い出させてしまってすいません(汗)」

優ちゃんなんで・・・・

「そういえば小嶋さんていくつなの?」

「25歳になりました」

「同い年なんだ、若いのにヘルパーて言う
大変な仕事して偉いね」

「人の世話をするのが好きなので」

「それに小嶋さんの声凄く心地いいし
なんだか懐かしい感じがするんだよね」

懐かしいって・・・
だって親友だったんだもんあたりまえじゃん

「初めての気がしない」

「そうですね・・・・」

優ちゃんが覚えてないならこのままの方がいいよね

私が優ちゃんの為にこれから何が出来るのか考えなきゃ
そして精一杯お世話してあげよう

そう心に誓った

約束 1

「小嶋さん助けて(汗)」

「どうしたんですか所長」

「私の知り合いの依頼で日常生活の補助と
ちょっとした音楽の雑用が出来るヘルパーさん
探してる人がいるんだけど
少しだけ問題があってさ(汗)」

「問題ですか?」

「怪我してるせいか気難しくて
あの柏木さんでもダメだったんだよ(汗)」

「かしわげちゃんがダメだったなんて相当ですね」

怪我ってどれくらいの怪我なんだろうか・・・

「小嶋さんだったら人当たりもいいし
行ってくれないかな?」

「いいですよ(бвб) 」

「だよねー・・・え?いいの?ほんとに?」

「はい(бвб) 」

「ありがとう♪
悪いんだけどさっそく明日朝から行ってくれるかな」

「わかりました」

「癖のある人みたいだから気を付けてよ(汗)」

「大丈夫です」

とは言ったものの少しだけ不安(汗)

明日は顔合わせだけだって言ってたから大丈夫だよね?

住所を頼りに電車を降りると海の匂いがした

「なんか、田舎の海に似てるかも」

少し昔を思い出した

ドイツへ行った優ちゃんとはメールのやり取りをしていた
なのにある日プツンと途絶えてから来なくなったメール

それから音信不通になり今はどこにいるのか
何をしているのかもさえわからない

でも、優ちゃんの事だから向うで絶対に頑張ってるよね

「あ、ここだ佐藤・・・大きいお家」

ピンポーン

少しして

「はい」

「ヘルパーステーションから参りました小嶋です」

「鍵開けるので奥の部屋まで入ってきてください」

鍵の開く音がしてドアを開け中へ入る

「広い(汗)」

玄関は吹き抜けになっていて正面に階段があり
その奥と左右に一つずつドアがあった

「奥だから正面だよね・・・」

「コンコン」

「どうぞ」

ドアを開けると正面のソファーに目を包帯で覆った女性が
座っていた

怪我って目だったんだ

「初めまして小嶋です」

「話は聞いてもらってる?」

立ち上がりこっちに来ようとする

「あぶない!(汗)」

「チッ、あのヘルパー、勝手に物を動かすなって言ったのに(怒)」

かしわげちゃん(汗)

「すいません(汗)」

「小嶋さんが謝る事ないよ」

「ですが、当社の者ですから」

「・・・・仕事の説明するからよく聞いて二度と言わないから」

「はい」

「週三回か四回で食事と掃除
出来れば譜面を起こす手伝いをして欲しいんだけど
音楽の方は?」

譜面?そう言えば音楽の雑用とか言ってたっけ
この人音楽家なのかな?

「小さいころピアノを習っていたので少しなら出来ると思います」

「そうか、助かるよ」

「あと、置いてある家具や物はいっさい動かさないで」

「承知いたしました」

癖があるって言ってたけど目が見えないなら
当たり前の事だし大丈夫そうかも(бвб) 



約束 プロローグ

先生に放課後呼び出されていた陽菜

今は急いでCDショップに向かってる

「あっいた、優ちゃん!」

声をかけても聞こえないのは当たり前

だって彼女は・・・・・

後ろへまわり方をトントンとたたくと
ヘッドホンを外しながら振り向くと
とびっきりの笑顔で

「にゃんにゃん(-∀-`) 」

そう!両頬に出来るこの笑窪が大好き(бвб)
でもすぐに陰のある笑顔に変わる

「何聴いてたの?」

「いつもと一緒だよ」

「またクラッシック?」

「勉強にもなるしこの曲大好きだから」

優ちゃんは高校を卒業と同時に留学することが決まっている
ドイツでヴァイオリンの勉強をするんだって

「ふーん(бвб)」

「にゃんにゃんは興味ないもんね」

「そんな事ないよ、ゆうちゃんの弾く音は好きだもん」

「アハッありがとうでもこの曲ほんとにいいから
聴く機会があったら聴いてみて」

「機会があったらね」

「もしも私がCDデビュー出来たら
にゃんにゃんの為だけにリサイタル開いてあげるね」

「わぁー贅沢、約束だよ!楽しみにしてるね♪」

「うん、約束!」

そう言っていたのに



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