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猫と幽霊と私 2


三月の中旬。




いつものように私は本屋でバイトをしていた。


ハチもついて来た。


うちの本屋は個人経営の古本屋で、店長はお爺さん。


店自体小さいので、店員は一人いたら十分足りる。


なので、お爺さんは用がなければ家の中にいる。


田舎の古本屋みたいな感じ。


「今日も暇だなー。」


とジャンプを読みながら適当にハチと会話をしていた。


お爺さんは耳が遠いので、私が幽霊と喋っていても聞こえない。


「あの。」


ハチとの会話に夢中でお客さんに気づかなかった。


盛大な独り言。


ハチとは紙に五十音を書いたもので会話しているが、私は普通に声をだして話しているから。


それを聞かれていたと思うとめちゃくちゃ恥ずかしくて思わず顔が赤くなった。


「いらっしゃいませ。」


「そこにいるの、ナナちゃんだよね?」


ハチのいるほうを指差してその客は言った。


どういう事?


この女の客にはハチが見えるって事?


ハチの知り合い?


ハチは身体を硬直させてその客を見つめている。


「ナナちゃん、なにしてんの?」


「ハチ!」


ハチは頭が混乱しているのか頭を激しくふった。


そのとき、ハチの声がはっきり頭に聞こえてきた。


『怖い、怖い、怖い。』


「ハチ!」


ハチはそのまま消えてしまった。


「どういう事…?」




夕方までのバイトを終わらすと店の前でさっきの客の女の子がいた。


「あの、私、わけわからなくて、あの。」


女の子は混乱しているのか言葉が震えていて泣きそうな顔をしていた。


その泣きそうな姿がハチと重なって、自然に頭を撫でていた。


女の子は涙をながした。


通行人は凄く不思議な目で自分達を見ていた。


女の子は嗚咽交じりに


「ナナちゃん、死んだのに、なんで?」


そう言った。


「お姉さんは何でナナと普通に話してるの?」

「なんだか気持ち悪い。」


女の子は泣きながら走っていってしまった。


久しぶりに傷ついた。




家に帰るとハチがいた。


消えていなかったことに安心した。


あんなサヨナラは嫌だ。


「ハチ。」


『彩。』


なぜだか、もう紙を使わなくてもハチと会話できる様になったみたいだ。


「おかえり。」


自分でも何でそういったのか分らない。


『ただいま。』


ハチは泣きながら私に抱きついてきた。


ハチの身体は私から通り抜けた。


私は一度もハチの身体を感じた事がない。


頭を撫でてもいつも空だ。


雰囲気だけで撫でている。


以前、ハチに頭撫でられてるとどんな感じか聞いたら、頭がじーんとして温かいと言っていた。


『彩に抱きつきたいのに…。』


玄関口で座りながら泣き始めたハチに私は頭を撫でた。


これで、ハチの頭を撫でるのは何回目だろう。


ハチの泣いた顔を見るのは何度目だろう。


『彩…思い出したんだ。』


ふと足元に温もりを感じた。


見ると猫だった。


何日も見てなかったのに。


ハチと私と猫は部屋にいき、ハチの思い出した事を聞いた。




『彩、私…自殺したんだ。』


私は息をゴクリと飲んだ。


膝に座っている猫が冷たく感じた。


『私、中学校のとき虐められててさ。』


『教科書に落書きとか物隠されるなんてしょっちゅうでさ。』


『しかも、虐めてんのが学校のリーダー格なわけ。』

『誰も私に近寄んなくなってさ。』


『いっつも一人だったわけ。』


『でもね、お姉ちゃん。』


『一つ年上の近所のお姉ちゃんがね、 一緒に遊んでくれたりしてくれたの。』


『だから、凄く嬉しくてね。』


『虐められても、お姉ちゃんがいるから独りじゃないっておもって。』


『私、お姉ちゃんが大好きだった。』


『結局虐めは三年間続いたんだけど、進路決めるときにね、私はお姉ちゃんと一緒の高校に行きたいと思ってそこに進路決めたの。』


『その高校が彩と一緒にいった所だよ。』


『でもね、中学の卒業式間近にね、私はある事を知って自殺したの。』




『お姉ちゃんが黒幕だったの。』


『いつもどおりトイレに呼び出されてさ、暴言吐かれてたの。』


『そしたら中学に遊びに来てたお姉ちゃんがトイレに入ってきて、助けてくれるんだって思ったら。』




「あーあ、高校いってもコイツのお守りすんのか。」



『って、お姉ちゃんがね言ったの。』


『生徒助けてるの見て、先生や親が感心もってくれる。』


『私はそのダシに使われてたの。』


『その後の事は覚えてない。』


『気づいたら彩の家の前に座ってた。』




言葉が出なかった。


あまりにも衝撃過ぎて。




涙が出た。




『なんで彩が泣くの?』


ハチも泣いている。


『彩、ハチって名前つけてくれて有難う。』


涙であんまりよく見えないけれど、ハチは泣きながら笑っていた。


「ハチ、私はナナって呼ばないよ。」

「ハチって呼ぶ、ずっと。」


猫はハチに寄り添っていた。




『私、成仏しないとね。』


「うん。」


『でも、どうやって成仏すれば良いのか分かんない。』


私も分からなかった。


夜中なのにも関わらず、母親に電話した。


母親は私が霊を見える事を知っているし、一番心配してくれていた。


母に今まであった事を話すと、実家に帰って来いと言われた。


その晩、私とハチはずっと寝ないで話した。


恋愛の事、家族の事、いっぱい。







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category:
呪われし勇者達の死ぬ程怖い話

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