entry title:
猫と幽霊と私 1
あれから約二ヶ月。
ハチとの事が色々とすんだので、書かせてもらおうと思います。
誰かにも
「『ぴあたん』のパクリ。」
って言われたから読んでてそう思う人がいるかも知れないけど、本当にあった話です。
信じてくれるかどうかは分からないけど、自己満足と言う事で語らせてください。
ハチと出会ったのは二月の終わり。
うちの近所にいる猫が玄関に知らない女の子と一緒に座っていた。
子供の頃お爺ちゃんが亡くなってから何かと霊?の様なものを見ていたので
「この女の子もその類か…。」
と思ってほうっておいた。
でも猫の様子がおかしくて、つい、その女の子に話しかけてしまった。
霊に話しかけるなんて初めてだった。
どうしたら良いか分からなかったけど、何となく誰かが教えてくれた方法を思いだし、その女の子と会話することに成功した。
女の子は十六歳の女子高生で記憶はない。
自分のところに来た理由は猫について行ったから。
その後、自分を見かけて姉(?)の様な雰囲気を女の子は感じる。
「そいつ」とか「こいつ」とか、その女の子を呼ぶには何かと不便なので「ハチ」と名前をつけた。
ハチは今まで見てきた霊と、なんか雰囲気が違った。
妹がいない自分にとって懐いてくる彼女はすごく可愛く思えた。
一人暮らしの自分にとってハチと過ごすのは楽しかった。
しかしそんな状態は私にもハチにも良くないので、はやく何とかしたい。
ハチは高校の事しか覚えていない。
だから無謀だとは思ったけど、それしか方法がなかったから、高校めぐりをすることにした。
まずは自分が住んでいる地域の高校をぐるりと回ったけど、ハチはピンとこず、そのまま一週間過ぎた。
私が本屋でバイトをしていたとき、ハチがとある制服に強く引かれた。
バイトが終わってからハチに聞いた。
「あの制服見覚えあるの?」
ハチは静かに頷いた。
「あそこの高校に通ってたの?」
『分からない。』
『でも、見覚えがある。』
地元民ではない自分にとって何処の高校の制服か分らないので、友達に聞いてみた。
すると、友達が通っていた高校の制服だという。
不思議に思った友達が、何故そんな事を聞くのかと理由を聞いてきたけれど、話したくなかった。
私が子供の頃、霊と人間の区別がまだつかなかった頃。
友達に嫌な思いをさせてしまった事があるから。
その場を適当にやり過ごして家に帰った。
その頃大学が休みという事もあって、バイトのシフトが立て続けに入っていた。
とりあえず、休みの日に例の高校に行こうとハチと話した。
高校に行く、と予定を立てた日からハチはあまり自分にべったりしなくなった。
私のバイトにもついて来なくなった。
自分がバイトしている間、ハチがどこに行ったのかも分からなかった。
ある日。
いつも帰って来る時間にハチが帰ってこなくて、私は心配して家の周りを探した。
夜の十時を回ったころ、家の近くの公園でハチを見つけた。
ハチは自分に気づくと泣きそうな顔をしていた。
私はハチに
「帰るよ。」
と言い、無言で家まで帰った。
家につくとハチは私の足元に擦り寄ってくる猫を見つめていた。
「こんな時間までなにしてたわけ?」
ハチはうつむいたままだった。
「出かけるなとは言わないけど、夜ちゃんと家に帰ってきなよ。」
「心配するから。」
そう言ってハチの頭を撫でるとハチは泣き始めた。
『だって、私が彩の側にいたら彩は変な目で見られちゃうでしょ?』
『いじめられちゃうでしょ?』
ハチは、私が友達に霊が見えるという事を言わなかったため、友達に変な目で見られたのを気にしていたらしい。
「そんな事ないから。」
私はハチが泣き止むまでずっと頭を撫でた。
category:
呪われし勇者達の死ぬ程怖い話