スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

ボツ文(腐注意)

 完成しなかった何かを投下してみようかと。BL(VOCALOIDのカイカイモジュカプ)につき要注意。





・ホワクラ(になる予定だったもの)。色々と修正&追加して支部に上げる可能性あり

 

 

ふう、と小さく溜め息が漏れた。気まぐれに腰かけた窓際のわずかなスペースで、背中に感じる陽光の暖かさがひどく懐かしい。特に意味もなく瞼を閉じれば、ふと瞼の裏におぼろげな映像が流れ出す。


 ……ああそうだ、覚えている、覚えている。小さく柔らかい手に触れられた感触、抱きしめられた腕のぬくもり、じっとこちらを見つめる青い瞳。それら全てがとても懐かしい、大切にされた人形には魂が宿るというけれど、それならば僕は昔人形だったのではないだろうか。夢と記憶を混合しているのではないかとか、頭がおかしいのではないのか、などと言われようと、僕はこれが前世の「僕」の記憶だったのだと信じてやまない。


 そして瞼の裏に浮かぶ映像は静かに静かに流れ続け、幼かったその人物はゆっくりと成長していく。ああ、てっきり女性だとばかり思っていたけれど、貴方は男性だったのですね。やがて家族を持ち、自らの子供とじゃれ合う貴方の姿を思い出すと、少しだけ胸が痛むのはなぜなのだろう。流れる時の流れに逆らわずに段々と老いていき、貴方が家族に囲まれて息を引き取るまでを、「僕」はずっと同じ場所から眺めていた。


 きっと「僕」は窓辺に置かれていた人形だったのだろう。記憶の中にある視界の隅に映る短い手足が纏う白い服は、今僕が身に纏っている白いブレザーとズボンに酷似している。背中に感じる陽だまりの暖かさが懐かしいのも、窓辺に置かれていた人形だったのなら全て説明がつく。


 いつの間にかうつむいていた顔を上げながらゆっくりと目を開けば、そこでは木製のドアがゆっくりと開いていくところだった。そうして僕は微笑むのだ、ドアの向こうから顔をのぞかせたこの屋敷の主に向かって。


「どうしたのですか? ご主人さま」

 

 

 

 

「今日の紅茶はダージリンティーです。ミルクと砂糖はお好きな量をどうぞ」

「ああ、有難う。いつもすまないな」

「僕はこの屋敷の使用人ですよ? 何を謝ることがあるのです」


 くすくすと小さく笑みを漏らしながら、僕は優雅な漆黒を纏ったこの屋敷の主──クラシックのそばでその顔を見つめる。彼の表情を見つめているとなぜだか胸の奥がとても暖かくなる、なぜかと理由を問われればうまく答えることはできないのだが、おそらくそれは──


「……どうしたホワイト? 何か変なものでもついているか?」

「いいえ、少しだけ懐かしい顔を思い出しておりました。貴方とその方がとてもよく似ているのでつい」

「そう、か」


 そして会話が途切れ、僕は内心小さく息をついた。そうだ、「僕」の主人だった彼の瞳と、僕の主人の青い瞳はよく似ているのだ。深い海の色をしたその瞳を見ていると、あの頃の穏やかな気持ちが思い起こされる。あの陽だまりの中にいた「僕」の記憶と目の前の貴方の笑みが重なって、僕はまた、それに合わせるように笑みを浮かべて。

 

テステス

ここでは初めましての方が多いかと。ぺるあと申します。

まだ使い方などよく分かっていないので、何かありましたら優しく教えてやってください。更新頻度は低めだと思いますがよろしくお願いしますー。

<<prev next>>
カレンダー
<< 2024年05月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最近の記事一覧
アーカイブ