00:58 2020/8/29
話題:検索してはいけない言葉

『Atuk』危険度【★★★★★(最恐)】

今回は『検索してはいけない言葉』に指定されている語群の中の、この言葉についてご紹介して行こう。『Atuk(アトゥック)』とは『おじいさん』という意味のイヌイット語で、カナダの小説家モルデカイ・リッチラー氏が1963年に著した"the Incomparable Atuk(比類なきおじいさん)"を基にした作品の題名だ。ニューヨークに移住したイヌイット達の破茶滅茶な日常生活を描く喜劇的な物語で、ここまで聞くと別段恐怖を煽るような要素はなく、『検索してはいけない言葉』に挙がっているのが些か疑問に思える。映画脚本は1980年代初期に完成し、ノーマン・ジュイソン氏が監督を務める事になり、後は出演者を決定すれば製作に乗り出せる段階まで来た。最初に声が掛かったのは当時、喜劇界のトップスターだったジョン・アダム・ベルーシ氏。ベルーシ氏は出演依頼を快く引き受けてくれたので、製作陣は早速撮影準備に入った。だが、ベルーシ氏は1982年3月5日、ハリウッドの高級ホテルで急死。死因は薬物の多量摂取だった。突然の訃報を受けながらも製作陣は、代役として喜劇界で有名なサム・キニソン氏に出演依頼を申し込んだ。キニソン氏も二つ返事で承諾したので、「さあ次こそは」と再度撮影準備が行われた。…が、その矢先。キニソン氏が撮影スタジオへ向かう途中、交通事故で死亡してしまう。ベルーシ氏、キニソン氏と相次いで二人も亡くなった為、映画の製作は一度取り止められる事となる。それから数年後、お蔵入りし掛けた『Atuk』の撮影が再始動。次に、出演依頼の声が掛かったのは『ホーム・アローン』でポルカ・バンドの代表格役を演じたジョン・キャンディ氏。キャンディ氏も依頼を快諾したので、製作陣は今度こそと準備をし始めた。ところが、キャンディ氏は心臓発作が原因で43歳の若さで病死してしまう。更に彼と『Atuk』の脚本を読んでいた、脚本家のマイケル・オドノヒュー氏も脳出血で死亡するという事態に陥る。製作は打ち切られたが、どういう因縁か…信じられない事にまた再開された。この時に白羽の矢が立ったのは多数の作品に出演した経験のある、クリス・ファーレイ氏。著名な俳優の彼は『Atuk』の出演者に選んでも申し分なかったのだが…依頼を受諾した後、彼もコカインとモルヒネの多量摂取で急死する。流石に、これ以上犠牲者を出さない為にも製作は諦めた方が良い。誰もがそう思うだろうが、またもや数年後、製作が開始された。次こそは大丈夫だろう、と踏んだ製作陣が目を付けたのは声優業もしていた、俳優のフィル・ハートマン氏。ハートマン氏は当初、頑なに出演依頼を断っていた。既に5人もの犠牲者が出てしまっているのは明らかに異常な上、最早偶々どころの騒ぎではない状況だ。出演を受諾すれば、次は自身に危険が及ぶかも知れない。彼でなくとも、平常心は保っていられまい。それでも製作陣は諦め切れず、何度も申し込んだ所、ハートマン氏もその熱意に負けて渋々受諾した。しかし、1998年5月28日。彼は自宅の寝室で、数発の銃弾を受けた射殺体で発見される。同じ室内にはハートマン氏の妻のブリン氏が、頭部を自ら銃で撃ち抜いた状態で見つかった。この事件を契機に『Atuk』の製作は完全に凍結した。脚本については情報が皆無で、現存しているか否かも謎に包まれているらしい。

参考:
【都市伝説】ハリウッド史上最恐の怖い話「呪われた映画」戦慄のリアルホラー(恐虫リリー/YouTube)
俳優が次々と亡くなる呪いのハリウッド映画【都市伝説】(ウマヅラビデオ/YouTube)
ジョン・ベルーシ|フリーページ(『有名人の死』)
フィル・ハートマン|フリーページ(『有名人の死』)





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