TOP PAGE




Flag:3-29




ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 ランキング参加中




vs. 巨大黒狼



「敵の動きが速すぎるっすよー!」

「図体でかいくせに……おい大先生!ちゃんとやってるのか!」

「やってるわよ動きを鈍らせようと! でもそれすら巧みに避けていくんだから、もう半分お手上げ!」

「そんなこと言うなよ大先生〜!」

「じゃあどうしなさいというのよ!!」

「それはランシーが決めろ!!」

「二人共もめてる場合じゃないっすよー!!」



末だ続く、黒狼との戦闘。

真っ向な戦いをみせるシャークズの三人。敵はそれを、無邪気に駆け回る少年のように淡々と避けてゆく。




「リッキーさん!」

「あ!?」

声の主――ボールは、正面に出した手をばっと横へ広げてみせると、リンゴを覆うようにして「ガード」の魔法がめぐった。

その後ろで、リンゴは静かに杖を構える。



「しばらく時間を稼いでくれませんか!」

「お……」

「リツキ、どうしたの?」

「リーダー何してるんっすか! 動き止めないで
「ブラス少し黙ってろ」


シャークズの視線を浴びながらも、リンゴはただただ集中する。
彼女が持つ杖から沸き上がる熱い魔力は、やがて火となって珠から放たれ始めたのだ。



「ガードの魔法を張ったボールの後ろで、魔法使いのリンゴが――」

「何がどうなっているんっすか、わっ!? 敵がこっちに!」

「魔力を溜めて黒狼に放つつもりね。その為に私達が上手く敵を――ふふ。考えたじゃない、あの子達」

「ランシーさんまでそっちに行ったら――ああもうどうすればいいっすかーっ!」

「よしブラス! そのまま敵を引き付けてろ!」

「ど、どういうことっすか!」

「いいから! そのまま頑張っていなさい!」

「待って下さいっす! どういうことか説明して下、わああっ!! こっちに来るなーっ!!」



─━─━─━─━─



――二人はこう考えた。

リンゴが魔力を溜め、黒狼に向かって大きな魔法を放つ。その準備が整うまで、ボールはリンゴを守り、シャークズが敵を引き付ける。
彼女の準備が出来次第、シャークズは敵を二人の方へ誘い込み、ボールは離れ、リンゴが討つ。


「ということだ! これで分かっただろ!」

「はいっす! リーダーったら、何もなしに指示するんっすから戸惑うっすよ」

「そう言うなって! おかげで向こうは順調だ! このまま引き付けてろよ?」

「まかせて下さいっす!」


ブラスは槍を巧みに振り回わし、黒狼の爪攻撃を受け流してゆく。ボールとリンゴがいる位置からも順調に離していた。



「あの様子なら、ブラスだけに任かせられそうね」

「油断が一番の敵だぞ大先生。動きが速すぎてブラスの方がついていけず――ほら集中力切れたー」

「その隙にあの狼が……って大変よ! このままだと!」

「やっべ!ボール危ねぇ!!」

リッキーが思わず声を上げた時点で、既に黒狼はボールの前を跳躍していた。




がづん、とにぶく音立てた防御魔法―ガード―がゆがみ出す。
懸命に魔力を溜めているリンゴを背に、ガードがゆがまぬよう、ボールは手の平を大きく広げて抑えてみせる。


「おい、まだなのかよ!!」

「もう、少し!」

「っ……限界近いっつーのに


 ぱギキ!!!


 くっそマジかよ!!」


ボールが張るガードが悲鳴をあげた。
それを引き金として、悲鳴は更に大きくなってゆく。


「(これはやり遂げなきゃなんねぇ。絶対にだ。けどこのままじゃ――)」


 ――このままじゃ潰される――



「そんなわけにはいかねぇ!!」


ボールは何とか力をしぼりだし、脚と手に加える!
その力が、ガードのヒビの進行をくい止める。


「ここでやられて、たまるかあっ!」

渇を入れて取り組むボールの横に、すっと人の両腕がのびた。


「そうだ、諦めるなよ?」

そう呟きながら、ボールの隣でヒビのあるガードに手を添えているリッキー。
それだけのことが、ガードを今までと明らかに違う姿に変え、敵の攻撃をしのいでいたのだった。


「もう少しの辛抱だ。このまま押し切れ!」

「――はい!」

その時、ボールとリッキーの背後で真っ赤な熱が生まれた。


「お待たせしたわ!
 いつでもいいわよ!」

リンゴが大玉のホノオを練り上げたのだ。


「よし。俺が声かけた時に抜け出すんだぞ」

ボールへそう耳うちしたリッキーが、ばっとガードの外側の腕を振り上げた。
その瞬間、ブラスが敵に向かって飛びつき、すぐさま武器を敵に突き刺した。


痛みで暴れ狂う敵を上手く操るブラスが、ボール達から離れたのを確認すると、リッキーは次に、振り上げた腕を前へ突き出して人差し指を立てた。
すると、リンゴの隣で人知れず待機していたランシーが、小振りの杖を前方へ出す。


沸き出る熱い魔力を感じとったリッキーが、今度は腕を横へ振るった。
その合図をみたブラスは、敵の進行方向をボール達へとさせ、刺していた武器を手早く抜き取り敵から離れた。


「あとは頼むっすよ!」

「よしランシー!」

「行くわよリンゴ!
 ――溜めて!」

その言葉を引き金に、ランシーの杖先はわっと火で溢れる!




「……三、二、一!」

「離れろ!」
「放って!」





――ブぁばぼをヲん――ッ!!







実はランキングに登録中。

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ



nextprev 



アースの風の戦士たち。 Flag:3
Episode123 Flag:3-29

message bookmark!



contents
アースの風の戦士たち。 Flag:0(10)
アースの風の戦士たち。 Flag:1(19)
アースの風の戦士たち。 Flag:2(34)
アースの風の戦士たち。 Flag:3(36)
アースの風の戦士たち。 Flag:4(29)
アースの風の戦士たち。 Flag:5(5)
きゃらくたー絵。(0)
そのた。(3)

URL





TOP PAGE




-エムブロ-