ログイン |
vs. 巨大黒狼 「敵の動きが速すぎるっすよー!」 「図体でかいくせに……おい大先生!ちゃんとやってるのか!」 「やってるわよ動きを鈍らせようと! でもそれすら巧みに避けていくんだから、もう半分お手上げ!」 「そんなこと言うなよ大先生〜!」 「じゃあどうしなさいというのよ!!」 「それはランシーが決めろ!!」 「二人共もめてる場合じゃないっすよー!!」 末だ続く、黒狼との戦闘。 真っ向な戦いをみせるシャークズの三人。敵はそれを、無邪気に駆け回る少年のように淡々と避けてゆく。 「リッキーさん!」 「あ!?」 声の主――ボールは、正面に出した手をばっと横へ広げてみせると、リンゴを覆うようにして「ガード」の魔法がめぐった。 その後ろで、リンゴは静かに杖を構える。 「しばらく時間を稼いでくれませんか!」 「お……」 「リツキ、どうしたの?」 「リーダー何してるんっすか! 動き止めないで 「ブラス少し黙ってろ」 シャークズの視線を浴びながらも、リンゴはただただ集中する。 彼女が持つ杖から沸き上がる熱い魔力は、やがて火となって珠から放たれ始めたのだ。 「ガードの魔法を張ったボールの後ろで、魔法使いのリンゴが――」 「何がどうなっているんっすか、わっ!? 敵がこっちに!」 「魔力を溜めて黒狼に放つつもりね。その為に私達が上手く敵を――ふふ。考えたじゃない、あの子達」 「ランシーさんまでそっちに行ったら――ああもうどうすればいいっすかーっ!」 「よしブラス! そのまま敵を引き付けてろ!」 「ど、どういうことっすか!」 「いいから! そのまま頑張っていなさい!」 「待って下さいっす! どういうことか説明して下、わああっ!! こっちに来るなーっ!!」 ─━─━─━─━─ ――二人はこう考えた。 リンゴが魔力を溜め、黒狼に向かって大きな魔法を放つ。その準備が整うまで、ボールはリンゴを守り、シャークズが敵を引き付ける。 彼女の準備が出来次第、シャークズは敵を二人の方へ誘い込み、ボールは離れ、リンゴが討つ。 「ということだ! これで分かっただろ!」 「はいっす! リーダーったら、何もなしに指示するんっすから戸惑うっすよ」 「そう言うなって! おかげで向こうは順調だ! このまま引き付けてろよ?」 「まかせて下さいっす!」 ブラスは槍を巧みに振り回わし、黒狼の爪攻撃を受け流してゆく。ボールとリンゴがいる位置からも順調に離していた。 「あの様子なら、ブラスだけに任かせられそうね」 「油断が一番の敵だぞ大先生。動きが速すぎてブラスの方がついていけず――ほら集中力切れたー」 「その隙にあの狼が……って大変よ! このままだと!」 「やっべ!ボール危ねぇ!!」 リッキーが思わず声を上げた時点で、既に黒狼はボールの前を跳躍していた。 がづん、とにぶく音立てた防御魔法―ガード―がゆがみ出す。 懸命に魔力を溜めているリンゴを背に、ガードがゆがまぬよう、ボールは手の平を大きく広げて抑えてみせる。 「おい、まだなのかよ!!」 「もう、少し!」 「っ……限界近いっつーのに ぱギキ!!! くっそマジかよ!!」 ボールが張るガードが悲鳴をあげた。 それを引き金として、悲鳴は更に大きくなってゆく。 「(これはやり遂げなきゃなんねぇ。絶対にだ。けどこのままじゃ――)」 ――このままじゃ潰される―― 「そんなわけにはいかねぇ!!」 ボールは何とか力をしぼりだし、脚と手に加える! その力が、ガードのヒビの進行をくい止める。 「ここでやられて、たまるかあっ!」 渇を入れて取り組むボールの横に、すっと人の両腕がのびた。 「そうだ、諦めるなよ?」 そう呟きながら、ボールの隣でヒビのあるガードに手を添えているリッキー。 それだけのことが、ガードを今までと明らかに違う姿に変え、敵の攻撃をしのいでいたのだった。 「もう少しの辛抱だ。このまま押し切れ!」 「――はい!」 その時、ボールとリッキーの背後で真っ赤な熱が生まれた。 「お待たせしたわ! いつでもいいわよ!」 リンゴが大玉のホノオを練り上げたのだ。 「よし。俺が声かけた時に抜け出すんだぞ」 ボールへそう耳うちしたリッキーが、ばっとガードの外側の腕を振り上げた。 その瞬間、ブラスが敵に向かって飛びつき、すぐさま武器を敵に突き刺した。 痛みで暴れ狂う敵を上手く操るブラスが、ボール達から離れたのを確認すると、リッキーは次に、振り上げた腕を前へ突き出して人差し指を立てた。 すると、リンゴの隣で人知れず待機していたランシーが、小振りの杖を前方へ出す。 沸き出る熱い魔力を感じとったリッキーが、今度は腕を横へ振るった。 その合図をみたブラスは、敵の進行方向をボール達へとさせ、刺していた武器を手早く抜き取り敵から離れた。 「あとは頼むっすよ!」 「よしランシー!」 「行くわよリンゴ! ――溜めて!」 その言葉を引き金に、ランシーの杖先はわっと火で溢れる! 「……三、二、一!」 「離れろ!」 「放って!」 ――ブぁばぼをヲん――ッ!! |
contents アースの風の戦士たち。 Flag:0(10) アースの風の戦士たち。 Flag:1(19) アースの風の戦士たち。 Flag:2(34) アースの風の戦士たち。 Flag:3(36) アースの風の戦士たち。 Flag:4(29) アースの風の戦士たち。 Flag:5(5) きゃらくたー絵。(0) そのた。(3) |
ログイン |