TOP PAGE




Flag:3ー28




ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 ランキング参加中




ボール、リッキー vs. 巨大黒狼


動きが速く力の強い狼に奮闘する二人のもとに、あの三人がやって来た。



「リーダー!」

「おうブラス!」

「リツキ! 大丈夫だった!?」

「ランシーまで、どうしたんだ?」

「追いかけてきたに決まっているでしょう!? あんなの、さっさと倒すわよ!」

「分かってるって!」


「ボール! 大丈夫!?」

「リンゴか。俺は問題ない」

「マルーは!? マルーはどこ!?」

「アスカと、リュウを連れて先に行ってもらったぜ。 ここで俺達全員を足止めっつーような、敵の思惑通りにさせたくなかったしな」

「ボール! そっち行ったぞ!」

「 ? 」

リッキーの言葉に反応したボールが振り返ったときには、既に黒狼がボールに飛びかかってきていた。
彼は思わず剣で敵の攻撃を防ぐ。


「ボール……」

「おい、つっ立ってないでお前も、手伝え!」

「……ごめんなさい」

「は?」

「あたしが、あの時の魔法で一撃を与えられていれば、ここにあの狼が現れることはなかったの。あたしがまだまだ未熟で、それで――」

「黙ってろ。集中出来ねぇだろ」

「どういうこ、きゃっ!」

意識を集中させるボールが持つ「クリスタルブレード」が、白い光を帯び始めた。


「頼む……聖龍!!」


ボールのこの言葉で剣の刃から飛び出したのは、なんと青白い光をまとった「聖龍」。聖龍は対極の最中である黒狼に向かって突撃した!
それが急所に当たったのか、敵は目を閉じて動かない。



「あんた、いつの間に必殺技なんて――」

「おう。自然と呼べたっつーか……っておい待てっ。どこ行くんだよっ」

ボールの周りを舞っていた聖龍が、リンゴの顔に近づいた。


リンゴの顔をまじまじと見ると、彼女の周囲をゆっくりと回り出す。

「急にこっちに来て回り出して……でも、何だか気持ちが落ち着くわね」



しばらくすると、聖龍はボールの方へと戻っていった。

「何したんだこいつは」

「あ、あたし動けるわ! 今ならどこまでも行けるわ!」

「元気を与えたのか、なるほどな」

「あんたとは違って優しいじゃない? 聖龍って」

「……とりあえずお前、さっさとこいつを倒してくれねーかな」

そう言ったボールと、彼に言われたリンゴが、気絶から解放された黒狼の方へ振り向く。
敵は闘志むき出しである。


「あんたがさっきの一撃で倒したんじゃないの!?」

「うっせーな。お前自身でぶっつぶせるんだって思えば悪くねぇだろ。お前がこいつを呼んだっつーんだし?」

「だからって――」

「さっさとぶっつぶして、さっさとマルー達んとこへ行くぞ」

「――分かったわ。じゃあどいてなさい! あたしの魔法で火傷するわよ!」

「はいはいわーったよ」


「……ありがとう。いろいろ」

「あ? 何か言ったか」

「別に! さあ今度こそ決めるんだから覚悟しなさい!」


─━─━─━─━─



その頃、マルーとアスカは順調に手下の大群を減らしていた。

そのうちに二人の距離は近づき、やっとの思いで二人は互いの背中を合わせることが出来た。



「調子はいかがですか? マルーさん」

「アスカこそ、大丈夫?」

「これくらいの人の量は慣れていますから」

「私だって調子いいよ! 新しい技が出来るくらいだもん!」

「見せてあげる!」と言ったマルーは、両手に帯びたたせた電流を剣に込めながら水平斬り!

電流は二人を囲っている大群にほとばしり、大群の動きを鈍らせる。


「やりますね」

「へヘーん! 最初ね、手を使って敵をしびれさせてたんだけど、いちいち武器を置くのはどうかと思ってさ」

「先程のやり方となった、と。
 これは「スパーク」の応用ですね」

「 スパーク ?」

「状態異常を引き起こす魔法の一種です。知らずに使っていたのですか?」

「今さっき使えるようになったんだ! こんなのがあればいいなって思ってやってみたら、上手くいっちゃった!」

マルーはそう言いながら、技で動きを止めた敵を蹴散らしてゆく。


そんな中を、アスカは静観していた。



(ギリギリの状況下を、ひらめきで切り開くとは……もう、初めに出会った頃のマルーさんはいませんね。確実にあなたは、立派な五大戦士の一人に近づいています)


「アスカ! ねぇアスカ!」

「は、はい!」

「もう少しだから、頑張ってこ!」

「――そうですね。マルーさん。一つ、協力していただけませんか?」

「何か作戦!?」

「私が――ので、マルーさんは――」

「分かった! 任せて!」

「行きます!」と言って飛び出したアスカが、両手に一本ずつ持つ短剣に水の力を込める!


「 ウォーター・ブロウ !! 」

アスカが一声! 自らが回転することで水の渦を作り上げる。
水は、アスカが回転するほど多数の敵へ飛び散っていった。


「マルーさん!!」

「よーし!
  電気連鎖 !!

今度はマルーが敵に電撃を放つ!
アスカが当てた水のおかげか、電撃は敵の身体の芯まで及んだ様子。大群のほとんどが、マルーの電撃に倒れていったのだった。


「大成功だね! ありがとう、アスカ!」

「いいえ、マルーさんのおかげです。 感謝しております」

「えへへー」

「後ろだ!」

「「 !? 」」


誰かの声に反応した二人が、後ろに視線をやりつつとっさに前方へ駆けた。
先程二人がいた場には、飛びかかってきた「弟」が、武器を地面にしっかりと刺し、陣取っていた。


その敵の背後に。
波状の剣の一撃!

敵は真っ二つになり、その場から黒い霧をはいて消えた。


「敵はまだ残っている。油断が一番の敵だぞ」

「ミズキさん……」
「ごめんなさい」

「それに、私達が倒すべき相手は向こうだ」

マルーとアスカの二人を助けたミズキが、剣先で指した方向には、手下兄弟と一人で戦うリュウがいた。


「リュウは今、この森に住む妖精から力を借りて戦っている。しかしその妖精というのは、ほんの一部しか存在していない。
 私達がするべきこと。それは妖精をリュウのもとに集めることだ。 妖精を探し、助け出す」

「妖精なら! あの人達が持っている、ある袋にまとめたって言ってました!」

「ですけど今、あの人達は持っていません」

「探さなきゃ! 多分、この辺りにあるはずだよ!」








ランキングに参加中!

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ




nextprev 



アースの風の戦士たち。 Flag:3
Episode121 Flag:3ー28

message bookmark!



contents
アースの風の戦士たち。 Flag:0(10)
アースの風の戦士たち。 Flag:1(19)
アースの風の戦士たち。 Flag:2(34)
アースの風の戦士たち。 Flag:3(36)
アースの風の戦士たち。 Flag:4(29)
アースの風の戦士たち。 Flag:5(5)
きゃらくたー絵。(0)
そのた。(3)

URL





TOP PAGE




-エムブロ-