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ボール、リッキー vs. 巨大黒狼 動きが速く力の強い狼に奮闘する二人のもとに、あの三人がやって来た。 「リーダー!」 「おうブラス!」 「リツキ! 大丈夫だった!?」 「ランシーまで、どうしたんだ?」 「追いかけてきたに決まっているでしょう!? あんなの、さっさと倒すわよ!」 「分かってるって!」 「ボール! 大丈夫!?」 「リンゴか。俺は問題ない」 「マルーは!? マルーはどこ!?」 「アスカと、リュウを連れて先に行ってもらったぜ。 ここで俺達全員を足止めっつーような、敵の思惑通りにさせたくなかったしな」 「ボール! そっち行ったぞ!」 「 ? 」 リッキーの言葉に反応したボールが振り返ったときには、既に黒狼がボールに飛びかかってきていた。 彼は思わず剣で敵の攻撃を防ぐ。 「ボール……」 「おい、つっ立ってないでお前も、手伝え!」 「……ごめんなさい」 「は?」 「あたしが、あの時の魔法で一撃を与えられていれば、ここにあの狼が現れることはなかったの。あたしがまだまだ未熟で、それで――」 「黙ってろ。集中出来ねぇだろ」 「どういうこ、きゃっ!」 意識を集中させるボールが持つ「クリスタルブレード」が、白い光を帯び始めた。 「頼む……聖龍!!」 ボールのこの言葉で剣の刃から飛び出したのは、なんと青白い光をまとった「聖龍」。聖龍は対極の最中である黒狼に向かって突撃した! それが急所に当たったのか、敵は目を閉じて動かない。 「あんた、いつの間に必殺技なんて――」 「おう。自然と呼べたっつーか……っておい待てっ。どこ行くんだよっ」 ボールの周りを舞っていた聖龍が、リンゴの顔に近づいた。 リンゴの顔をまじまじと見ると、彼女の周囲をゆっくりと回り出す。 「急にこっちに来て回り出して……でも、何だか気持ちが落ち着くわね」 しばらくすると、聖龍はボールの方へと戻っていった。 「何したんだこいつは」 「あ、あたし動けるわ! 今ならどこまでも行けるわ!」 「元気を与えたのか、なるほどな」 「あんたとは違って優しいじゃない? 聖龍って」 「……とりあえずお前、さっさとこいつを倒してくれねーかな」 そう言ったボールと、彼に言われたリンゴが、気絶から解放された黒狼の方へ振り向く。 敵は闘志むき出しである。 「あんたがさっきの一撃で倒したんじゃないの!?」 「うっせーな。お前自身でぶっつぶせるんだって思えば悪くねぇだろ。お前がこいつを呼んだっつーんだし?」 「だからって――」 「さっさとぶっつぶして、さっさとマルー達んとこへ行くぞ」 「――分かったわ。じゃあどいてなさい! あたしの魔法で火傷するわよ!」 「はいはいわーったよ」 「……ありがとう。いろいろ」 「あ? 何か言ったか」 「別に! さあ今度こそ決めるんだから覚悟しなさい!」 ─━─━─━─━─ その頃、マルーとアスカは順調に手下の大群を減らしていた。 そのうちに二人の距離は近づき、やっとの思いで二人は互いの背中を合わせることが出来た。 「調子はいかがですか? マルーさん」 「アスカこそ、大丈夫?」 「これくらいの人の量は慣れていますから」 「私だって調子いいよ! 新しい技が出来るくらいだもん!」 「見せてあげる!」と言ったマルーは、両手に帯びたたせた電流を剣に込めながら水平斬り! 電流は二人を囲っている大群にほとばしり、大群の動きを鈍らせる。 「やりますね」 「へヘーん! 最初ね、手を使って敵をしびれさせてたんだけど、いちいち武器を置くのはどうかと思ってさ」 「先程のやり方となった、と。 これは「スパーク」の応用ですね」 「 スパーク ?」 「状態異常を引き起こす魔法の一種です。知らずに使っていたのですか?」 「今さっき使えるようになったんだ! こんなのがあればいいなって思ってやってみたら、上手くいっちゃった!」 マルーはそう言いながら、技で動きを止めた敵を蹴散らしてゆく。 そんな中を、アスカは静観していた。 (ギリギリの状況下を、ひらめきで切り開くとは……もう、初めに出会った頃のマルーさんはいませんね。確実にあなたは、立派な五大戦士の一人に近づいています) 「アスカ! ねぇアスカ!」 「は、はい!」 「もう少しだから、頑張ってこ!」 「――そうですね。マルーさん。一つ、協力していただけませんか?」 「何か作戦!?」 「私が――ので、マルーさんは――」 「分かった! 任せて!」 「行きます!」と言って飛び出したアスカが、両手に一本ずつ持つ短剣に水の力を込める! 「 ウォーター・ブロウ !! 」 アスカが一声! 自らが回転することで水の渦を作り上げる。 水は、アスカが回転するほど多数の敵へ飛び散っていった。 「マルーさん!!」 「よーし! 電気連鎖 !! 」 今度はマルーが敵に電撃を放つ! アスカが当てた水のおかげか、電撃は敵の身体の芯まで及んだ様子。大群のほとんどが、マルーの電撃に倒れていったのだった。 「大成功だね! ありがとう、アスカ!」 「いいえ、マルーさんのおかげです。 感謝しております」 「えへへー」 「後ろだ!」 「「 !? 」」 誰かの声に反応した二人が、後ろに視線をやりつつとっさに前方へ駆けた。 先程二人がいた場には、飛びかかってきた「弟」が、武器を地面にしっかりと刺し、陣取っていた。 その敵の背後に。 波状の剣の一撃! 敵は真っ二つになり、その場から黒い霧をはいて消えた。 「敵はまだ残っている。油断が一番の敵だぞ」 「ミズキさん……」 「ごめんなさい」 「それに、私達が倒すべき相手は向こうだ」 マルーとアスカの二人を助けたミズキが、剣先で指した方向には、手下兄弟と一人で戦うリュウがいた。 「リュウは今、この森に住む妖精から力を借りて戦っている。しかしその妖精というのは、ほんの一部しか存在していない。 私達がするべきこと。それは妖精をリュウのもとに集めることだ。 妖精を探し、助け出す」 「妖精なら! あの人達が持っている、ある袋にまとめたって言ってました!」 「ですけど今、あの人達は持っていません」 「探さなきゃ! 多分、この辺りにあるはずだよ!」 |
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