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幸せの答え合わせはこの時から始まってたのかな





「なぁなぁ結婚する?」

「え?それ七瀬から言う?」


君はいつも唐突で


「なぁ明日実家行こう

「え?準備してないよ

たまに普通のことを言う


「あとどれぐらい一緒にいれるんやろ」

「一秒でも長くがいいな」



あと何回君とこうして笑い合えるんだろう
あと何回君に好きって伝えられるんだろう


「一生側にいるからさ、一生側にいてよ」

「え

「一生離れないようにさ頑張るから」

「しゃーなしな」




君の手に入る力がこれからの僕らを
物語っていくような気がして


「もうこの手離さないよ」



幸せにゴールはない
だけどスタートはいつでも側にある

魔法の絨毯

君が笑ってくれるなら
どんなおとぎ話にだってなれるから


「なぁ、いつ会えんねやろ」

電話越しに聞こえる君の小さな声に
不覚にも可愛いなって思ってしまって

「今から絨毯乗って行こうか?」

「ふふ、なに言ってん〜」

君が少しでも望んでくれるなら
魔法使いにでもなってどこへでも
飛んで行けるような気がして

「やっと笑ってくれた」

今の僕が七瀬にしてあげれることなんて
何もないかもしれないけど

「七瀬」

「ん?」

贅沢出来るようなお金もないし
今すぐ会いに行く力もない
地位も名誉も何もないけど
僕が唯一君に出来ることは

「次会った時言うわ」

君に好きになってもらうこと





ドライフラワー

初めて君にあげたこの花が
永遠に枯れないことを今知ったんだ


「もう、帰るね」

あ〜終わりってこんなに呆気ないんだな
そう思うと少し笑いさえ出てきて

「なぁ」

「なに?」

麻衣は幸せだった?
言葉にすると僕が負けてしまいそうで
今にも泣きそうな気持ちを押し殺して

「忘れ物するなよ」

そう言ってもいつも何か忘れる君が
何の欠片もない部屋に一瞬で替えてしまうんだ

「好きだったな」

生まれて初めて感じた一目惚れも
いつも僕を呼ぶ君の声も
透き通るような白い肌も
全部嫌いじゃなかったのに

「あ〜バカだな〜」

いつかは君も誰か違う人と出会って
その人の隣で笑うんだろうか
そんなことを想像するだけで
目の前の世界が霞んで見えてきて

永遠に枯れない花じゃなくて
一から咲く花を君に渡せばよかったのかな

5.キンモクセイ

小さい頃から好きだったこの季節が
あなたに出会ってもっと好きになりました


「なぁちゃん、先に上がるね」

「うん、お疲れ〜」 

小さい頃から甘いものが好きで
甘い匂いに包まれる感覚が好きだった


「もう秋か〜〜」

窓の外は茶色い景色が一面で
どこにいてもほのかに香る
キンモクセイの香り

「いらっしゃいませ〜」

そんな季節を感じさせないような
あなたとの出会いは私にとっては
面白くて気になってしまって


「誕生日ですか?お祝いですか?」

少し俯き顔を赤らめ話すあなたに
温かい優しさを感じたのも
あなたから香るキンモクセイのせいなのか
それともそう思ってしまう自分のせいなのか


「これ良かったら」

たまたま焼いていたクッキーを
お洒落なケーキには不格好だったけど

「素敵ですね」




もしあの日あなたと出会わなかったら
それも運命だったと諦めたのかな

でもきっとあなたはどんな運命でも
君と会う人生を選んでたって
あの時と同じように
真っ赤な顔して伝えてくれるのかな






4.キンモクセイ

知らなかったわけじゃない
ただ知ろうとしなかっただけ


「このケーキください」

「かしこまりました」

小さい頃からよく来ていたケーキ屋さんも
いつからか来なくなって懐かしさも感じながら
兄貴がもうすぐ結婚する実感が湧いてくる


「プレートはどうされますか?」

「え〜〜っと、、」

「誕生日ですか?お祝いですか?」

「兄貴の結婚祝いで」

「ふふ、素敵ですね」



ほんの一瞬だったと思う 
君の声が優しくて心地よくて


「お待たせしました〜」

「ありがとうございます」

「これ良かったら」

ケーキに添えらられたクッキーが
あまりにも僕とは釣り合わなくて
体の芯から熱くなる感覚に
恥ずかしくもあり、申し訳なさもあり


「ふふ、キンモクセイがイメージなんです」

「素敵ですね」

「キンモクセイいいですよね〜」

ほんのり香る窓の外を見る君に
あの時の僕はキンモクセイの季節が
こんなに大切な季節になることを
想像さえも出来なかっただろうな





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