荒涼たる砂漠が遥か彼方にまで広がっていた。寂寞という言葉を彷彿とさせるその広大な大地の割れ目を鮮やかなオレンジの機体が飛行する。
機体を彩る鮮やかなオレンジとは対照的な雰囲気を纏っているのは追われているからだ。
ギュンッという空を切る音が追われる機体を駆るもの…ガンダムアリオスのパイロットの鼓膜をふるわせた、
反射的に働いた本能に任せ機体をそらせば、その残像を圧縮された粒子の弾丸が岩もろとも抉った。
「うぁっ!」
直撃は避けたとはいえ粒子ビームによって粉砕された岩石の破片と爆風がアリオスの機体を襲う。ビームの弾丸は止むことなく発砲され岩盤と大気を絶えず震わせた。
「捕まえたぜ!ガンダムッ!」
迫る機体と対峙すべく鋭角な戦闘機の形態から人の形を模した姿へと変貌を遂げたソレスタルビーイングのMSをスペシャルなエース(自称)ことパトリック・コーラサワーは捕らえた。
絶え間なく与えている砲撃(殆どは外れているが)にガンダムのMSは少なからずバランスを崩す。
変形の合間も砲弾を与えれば当然ではある。(殆どは外れていたが)
スペシャルなエース(自称)のパトリック・コーラサワーはこの隙を見逃したりは、決してしない。一瞬の隙をつき、よろけたその純白とオレンジのコントラストが美しい機体へと一気に肉薄した。慣性を利用しそのままガンダムアリオスを黄砂の上へと派手に押し倒す。黄砂の上に天を仰いだ状態で臥したMSをパトリックは誇らしげに踏みつけた。
「ん…っう…ッ!」
黄砂の上に激しく愛機アリオスと共に叩きつけられたアレルヤはその振動と、それによって強打した頭部の痛みによる脳震盪で意識を朦朧とさせる。
その間にも敵は攻撃を仕掛けるだろう。
時間にすれば数秒間。だか、僅かな時間とはいえ、戦場に置いては決定的な命取りにもなる。
早く意識を覚醒させねばならない。しかし、その気持ちとは裏腹に意識は白濁の中に沈み込んで行く。
白濁に飲まれる意識の中に明瞭な声が響いた。
『結局、俺がいなきゃダメなのかよ?アレルヤ』
意識が一気に浮上する。
感覚神経を直接介し聞こえる自身と同じその声。
この声は、
「…ハレルヤッ?」
呆然として呟けば、微笑する気配がはっきりと感じられた。
『いつまで寝転がってるつもりだ?』粗暴でありながら理知的な声が公然と言い放つ。四年前のあの時と寸分違わぬ声だ。
「ハレルヤ…」
祈りのようにその名を呼べば一層笑みの気配が強まった。
『見せてやれよ、超兵の力を!』
まるで洗礼のような言葉に体内の血液が熱くなりゆくのを確かに感じる。
完全に覚醒したアレルヤはアリオスの操縦桿を強く握った。
今度は間違っても二度と離さないように。
「ああ…!」
―見せてやるさ!
そう述べようとした言葉は声帯に介される事もなく掻き消えた。
天空より舞い降りてきた重厚な機体が轟音と砂塵を舞い上げる。
薄れゆく砂塵の中に見えたのは、
――…………顔ッ――!
驚愕の余り固まる両者を全く意に介さないかのように背部に顔を拝した重厚な機体が振り返った。
中世の鎧を思い起こさせる重厚たる純白の機体。
ガンダムセラヴィー
「大丈夫なようだな、アレルヤ」
液晶越しに騎士の如き微笑をたたえて訪ねてきたティエリアにアレルヤも微笑をもって返した。
「ああ…」
その様にアレルヤの体内でハレルヤは目眩にも似た齟齬感に襲われていた。
これではまるで騎士と姫君だ。
四年前は、まかり間違ってもこんな関係ではなかった筈だ。少なくとも自分が知る限りは。
「おいコラ、てめーら!俺を無視すんなよッ!」
いままで突然登場した機体に呆然としていたパトリック・コーラサワーが我を取り戻す。
パトリック・コーラサワーと言う男は自らを無視されるのを決して良しとはしない。何故ならばスペシャルでエース(自称)だから!
しかも今は最新の機体に搭乗している。最新の機体(カッコイいカンジ)とスペシャルでエースなこのパトリック・コーラサワーのタッグだ。たとえガンダムだろうと敵ではない!
その(ちょっとウザいくらいの)崇高な思考はガンダムセラヴィーによって機体もろとも蹴り飛ばされた。
「…貴様という人間は相変わらずだな」
セラヴィーが、否、ティエリアがコーラサワー機に向き直る。
その顔に浮かぶ微笑は騎士のような微笑ではなく、サディシズムの滲んだ生ぬるい微笑だった。
トリガーに指をかける。
「万死に値する!」
「え、ちょっ、ちょまっあぎゃうぁぁぁぁっ」
「ティエリア、本気で死んじゃうよー」
『なにがあったんだ、メガネ…』
………………てな感じの夢を見ました!
夢オチ!夢オチ!←
とりあえず、アーデがカッコよかったんです。男らしいよティエリアッ!
…久しぶりの日記がこんなものです。
万死!