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黎明に朽ちる華*3/108/転生パラレル


毎夜、同じ夢を見る。壊れた機械のように繰り返されるその映像は、決してイオスに優しいものではなかった。

ハッピーエンドを迎えることなく、最悪の結末を迎える、その夢は過去。イオスがまだ天使であった頃の記憶であり、最後に目に焼き付けた光景だった。

何故、あのままにしておいてくれなかったのか。天使でなくなった今、イオスから病的なまでの信仰心はなくなっていた。

何げなしに入学した高校で、宣誓の為上がった体育館ステージの壇上。そこで、全ての元凶である、ソードを見つけた。一度視界に入れてしまえば、捕らわれてしまいそうな強い何かは今も健在らしい。

ソードも当然、壇上のイオスに気づいてるようで、驚愕と戸惑いを含んだ表情でずっとイオスを見ている。いま、笑みを浮かべているだろう自分の顔は、昔のように人の良い表情をしているだろうか?

きっと、嫌。必ず。接触してくるソードを陥れられるだけの偽りのマスクを…

道具と人と/絶→闇/108

何故、自分には意志があるのか。
意志など無ければ…
ただの道具としてあれた等なら…

コンナオモイヲ
スルコトハナカッタノニ…


闇慈は、朝から見あたらない絶の姿を探していた。絶扇自体は闇慈の側に存在しているのだ。が、何時もある"絶龍"の気配がない。
無論、名を呼びさえすれば現れるであろうが。今まで、こんなことは無かったと"呼ぶことなく"探していた。

そんな闇慈を絶は暗い面持ちで、離れてみていた。気配の一切を消している為、闇慈は気づかない。もし、爛火やソルが絶を探したならば気づいただろうが。

絶の中には今、恐怖と絶望しかなかった。

ただの道具でいられたならば。コンナ恐怖ヲ抱カズニスンダ。
思えば、ギアの身であるあの男のおかげで道具であるはずの自分に"感情"という物があると気づかされた。
端から見ていて"醜悪"ととれた、その感情の名は朱烙曰く"嫉妬"というらしい。主とあの男がいるとき、主[あるじ]と朱烙の主[ヌシ]がともにいても、カタチ無き闇沼にはまっている。その様に感じた。

だが、一度。主である闇慈に笑いかけられれば、それらは糸も容易く霧散した。
絶のみに向けられる、視線、声、慈しみを含んだ全てが、絶を救い出してくれていた。

闇慈さえいれば。その想いが大きくなる度、不安も大きくなる。
闇慈は絶を手放すことは生涯無いであろう。だが、人間[ヒト]の生には限界がある。
無論、道具である絶扇にも限りはあるが、破壊されなければ消滅することはない。武器である以上、普通の道具よりも崩壊ははやいだろうが、神器な自分には崩壊は容易く訪れない。


だからこそ、闇慈を失った後が怖い。闇慈ほどの主にまた巡り会えるとは思えなくて。

どれほどの孤独が絶を待っているのか

黎明に朽ちる華2/転生パラレル/108



生まれて間もない頃は記憶なんかなかった。だから、ソードと双魔は本当に仲のいい兄弟でいられた。
けど、成長して物心がつくにつれて前世の記憶もソードは取り戻していった。

前世の記憶が、ソードから次第に明るく元気な笑顔を奪い蝕みはじめるのに時間はかからなかった。ソードはその頃から少しずつ、弟の双魔と距離を置くようになった。

記憶は何時も、過去のソードにとって一番辛かっただろう処で途切れてしまう。

あの後、自分は生と死どちらを選んだ?嫌、終わりを選んだから、人間のソード[この自分]がいる。
だったら何故、そのまま終わらなかった?![消滅しなかった?!]悪魔であったソードは、死を迎えればそのまま消滅するだけ。悪魔に、来世はないのに…

自由に飛べるたはずの羽根はいつの間にか朽ちて
ただ堕ちて地上を這うしかない、ただの人間になってしまった。

黎明に朽ちる華/転生パラレル/108



僕と兄さんは昔は仲がいい兄弟だった。双子で生まれた僕らは何時も一緒で、ずっと当たり前のように一緒にいると思っていた。

けど…

何時からか、兄さんが一歩。また一歩とはなれていく

行かないで。

僕は兄さんと一緒に居たいのに。


双魔が兄であるソードが受験する学校を知らされたのは、願書提出も終え入試直前のことだった。てっきり自分と同じ近くの高校に進学すると思っていた双魔は焦ったが、当然、志望校を変更する事はできなかった。

そして二人は、無事志望校の入試に合格し春。
双子ははじめて違う道を歩み始めた

hand(ソル闇)

同じ性を持つ男で、体格も、そう変わらない。
多少は生まれた国の違いで肉付きや肌や髪の色は違いはあるが。
明らかに俺とソルとで違う部位というのは、手ではないだろうか。

扱う獲物がかなりの重量をもつ剣と、本来獲物にはなりえない、扇子。鉄扇は重くはあるが、剣より手に掛かる負担は少ない。
手や体をみれば、その相手がどんな生き方をしてきたか、わかる。

あの手に触れられた女が、嬉しそうに微笑するのかと思うと少し、苛立った。
闘り会っている以外、ふとした時に、あの手が自分の一部に接触する。それだけで、何ともいえない気持ちになる。

認めねぇ。断じて認めねぇぞ、俺は、あの男が嫌いなんだ。俺が求める情報を握ってる奴という意味で絡むこたぁ、ある。
酒の勢いと成り行きで押し倒されもした。

だが、人間(ヒト) としての彼奴は大嫌ぇだ。

手、だけだ。あの手だけは好きだって認めてやるよ
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