話題:最近のまとめ
乾いた風に孕んだ熱気が、わたしの肌をじりじりと焦がす。
楽しげに笑う周囲の家族連れ、カップルに心中で中指を立てながら、わたしはゲートをくぐった。
今日は楽しみに来たのではない。戦争に来たのだ。
わたしだって人を誘えるくらいのコミュニケーション能力はある。
この稀有なコミュ力を巡って世界中の権力者が核戦争を起こしたことは皆様の記憶にも新しいだろう。
記憶に無い方はよく思い出すように。ちなみに嘘だ。
鞄の中は一本満足バーと水(いろはすではない)、そして輪ゴムと財布が入っている。
準備は万端だ。勝てる。わたしは心底から確信した。
ゲートをくぐるなり、愛らしいマスコットがわたしの心中を温めてくれる。
だが、ここで屈するは武士の恥。
答えの無い闘争へ、わたしは身を投じたのだ。
一人で遊園地を制覇する。これがわたしの夢だ。
ます最初に選んだアトラクションはジェットコースター。
ちなみにわたしはジェットコースターが大の苦手だ。
だが、嫌いな食べ物は最初に食べるのがわたしの心情。
(ちなみにわたしはブロッコリーが大嫌いです)
このブロッコリー(ジェットコースター)に乗り込んでやろうと思っていたら行列・・・!行列の嵐・・・!
そしてわたしの心中を虐げるように並ぶカップル達・・・!
仕方ない。後回しだ。好き好んでブロッコリーを最初に食すほどわたしは愚かではない。
次のターゲットはお化け屋敷だ。二番目に苦手なアトラクションだ。
このアトラクションを開発するためにわたしが何度もチャレンジし、何人ものわたしの心臓が止まったのは皆様の記憶に新しいだろう
。
嘘だが。
だが、お化け屋敷にも苦難が待ち受けていた・・・!
なんだこの圧倒的なカップルの数は・・・!
そんなにカップル同士できゃーきゃーしまくるのが楽しいのか!?
解らぬ・・・うぬはその狼の目で何を見ておる・・・。
カップルの波に取り残されるわたし。
周囲はわたしなんかに目もくれず、わいわいと賑わってる。
なんだ!?貧乳なのが悪いのか!?
下敷き。まな板。断崖絶壁。お化け屋敷よりも恐ろしい現実にわたしは絶望していた。
もっと胸が大きければ持て囃されたのか・・・。
絶望的な現実に耐えきれず、わたしはお化け屋敷を後にした。
どのアトラクションも行列まみれ。
だけど、ひとつだけ暖かみのある空間があった。
観覧車だ。
ゆったりとした速度で、頂点を目指す安寧の空間。
先ほどまで彷徨っていた遊園地内が見渡せる。
なんとなく、幸せな気持ちが胸に湧き上がってきた。
夕日が世界を照らす。
暖かみのある、メルヘンな世界が眼前に広がっていた。
ひとりゆうえんち。大成功である。
たぶん、今見ている光景が大成功の証なんだろうなぁ。
実際は悪態を吐くために来たのだが、まさかこんな素晴らしい光景が見られるとは思ってもみなかった。
この夕日とメルヘンのコントラストが消え去る前に、この目に焼き付けておきました。
ひとりゆうえんち、大成功でした。
拍手、コメント、いつもありがとうございます!