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数学担当


その頃は、遅刻、無断欠席で有名だった。


結構大きなこの個人塾に入ってから1年が経った。
あたしは中学3年になって、いよいよ受験シーズン。
けどやる気なんて更々なかった。

少し前に担当してた先生。
その人は若くて、背が高くて、かっこよくて―
とにかく週1回の50分間の授業が待ち遠しくてしょうがなかった


だけど先生はあたしが中学3年になる前にこの塾を辞めてった。

どうしようもなく悲しくて。
塾を辞めようかと思ったくらい。




でも辞めずに通い続けたご褒美なのか、また若い男の人が担当にきた。



その先生は全く話をしたことがなくて、見た目はクールなイメージだった。


黒ぶち眼鏡をして背が高い。

目鼻立ちはハッキリしてて

黒髪短髪。

黒のスーツがよく似合う人。




―キーンコーンカーンコーン―


あたしの横にはその人がいた






「こんばんは。今日から数学担当になった伊藤です。」



伊藤っていうんだ





伊藤先生はバラの匂いがした。

初めての授業


あたしは冷静だった。


前の先生が忘れられなかった


ついこの前までは横にいたのに

今は違う。




けど伊藤先生の授業は思った以上にわかりやすかった。



でもこの時はなにも感じなかった。



もちろん、大好きな人になることなんて

カップルブーム


その頃あたしの通ってる学校ではカップルブームが来ていた。



あたし年下の子に告白された


亮。


亮は学年で3番目に入るくらいかっこよかった。

あたしも少し気になっていたし、どうしても先生を忘れたくて。


OKをだした。



亮には少し悪い気もした。
けど今のあたしにはそうすることしかできなかった。

どうしたんだろう


亮と付き合って1週間が経った。



正解だったのか、過去の事を忘れられた気がした。



けどおかしかった。




伊藤先生―‥



先生の存在が胸のどこかにあった。



「―がこうなるから、ね?」


「できたーっ!すごいよ、先生!」



「ううん、蘭ちゃんが頑張ったからだよ。すごいすごい!」



どこか先生の横は心地よかった。





亮は


日に日に連絡が絶えていった。

なんで


亮はあたしに女のアドレスを聞いてきた。


嫉妬深かったあたしはすごく寂しくなった。

友達になんども相談した。


でもあたしはアドレスを教えた


そしてすぐにでも亮と別れたかった。



この時あたしはすごく弱い人間なんだって



悲しくなった。





けどなにも知らない先生は

いつもあたしに笑顔をくれた



笑った時にふにゃってなる顔


あたしはその笑顔に助けられた。



なんでかな‥




この日の先生は今までで一番優しく感じた。
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