みどじょ
・――
「おて。」
目の前にはニコニコと笑い続ける気色悪い髪色をした気味悪い男。悪趣味な白い学ランと人外な黄緑色が目に痛い。
赤い首輪を付けられ、鎖の先には柵でできた小さな囲いに繋がっている。俺は犬か。
海馬のイラつくその差し出された手に噛み付いてやろうか。いや、噛み付いたらきっと喜ぶだろう。犬みたいだ!と言いながら。
「城之内君、無視かい?じゃぁ、『おかわり』!」
反応を返さない俺をみてどう思ったのか、反対の手を差し出して再び俺に命令する。
何を求めてるのかは分かる。俺と犬と飼い主ゴッコがしたいんだ。俺は絶対にしたくないが。
「ご主人様の言う事が聞けないのかなぁ?駄目な犬だ。」
ウザい。
「そんな犬には躾が必要…だよね?」
海馬の指を鳴した音に合わせて、天井からスクリーンが降りて来た。予告も無く暗くなった部屋に若干驚きつつ、スクリーンを黙って見ていた。
「いいかい?『まて』だよ??」
海馬の声は無視した。アイツの命令なんかかを聞く必要はないからだ。
黒い映像は実は暗い部屋の中を映していたようだ。徐々に明るくなり、そこが何処かの舞台の上だという事が分かった。
舞台に立つ仮面を付けた怪しい男。同じく仮面を付けた、金持ちそうな客。気味悪い映像だ。
舞台中央には大きな鳥籠。鳥籠の中には、
「静香っ!?」
鎖で繋がれているのを忘れて城之内は画面に近付こうと勢いよく立ち上がった。が、長くない鎖に勢いを押さえ込まれ、勢いそのままに床へ倒れた。付けられた首輪のせいで一瞬締まった首が苦しく、痛い。
「『待て』って言ったのに、駄目だなぁ。じゃ、もっと躾しなきゃね!!」
ニコニコ笑いながら海馬がもう一度指を鳴した。パチンという音と共に舞台の上の仮面を付けた男が静香に近付いた。
「ただ今より、オークションを始めます!」
「ーっ!?」
笑い続ける海馬を見た。薄く開いた目から覗く黄色い瞳とぶつかった。
すっと目の前に出された海馬の青白い手。
「おて。」
目は閉じられた。青白い手が海馬と俺の間で浮いている。
固まった時間。しかし、スクリーンの中では事が進んでいた。
「品定は終わりましたか?では、出展者様からの許可が下りましたので千から始めます。」
「静香っ…!!」
「そこの金髪の犬。」
スクリーンに向いてた視線を海馬に戻す。
「静香は助かるのか?」
こいつの言う事を大人しく聞いたら静香を救えるのか?たった一人の大切な兄妹を俺のこんな意地で失ってなるか。
「……『おて』。」
「……。」
海馬の手に俺の手を重ねた。海馬が嬉しそうに笑ったのが悔しかった。でも静香を失うわけにはいかない。
「『わん』って鳴いてよ?」
「……『わん』」
「わぁい!僕の犬だ!!」
海馬が嬉しそうに俺を抱き締めてきた。気持ち悪い。離れろよ。
「気持ち悪い?」
一瞬ビクッとした自分に嫌悪する。そこは反応してはいけない所だったはずだ。しかし海馬は知ってか知らずか無視をしていた。そして城之内の耳元に息を吹き掛けるように低い声で囁いた。
「これからは気持ち良くさせてあげるよ。」
海馬が手を叩いた。ドアが開き、海馬家のメイドが入ってくる。
「……そんな……」
「……。」
メイドの格好をした静香の肩を海馬が抱き寄せた。
「最高なショーの始まりだよ!!」
・――
すみません、ぐだぐだで
^^:
目的としては
飼い主海馬
犬城之内
城之内を手に入れるため、偽名で静香を人身オークションにかける→静香を落とす
城之内にオークションの一部始終をみせる
オークション映像で城之内が落ちなくても、海馬の手の内に静香がいる
↓
必ず城之内は落ちる
という流れを書いてみたかったんだなぁ!!玉☆砕!