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国連総会陰の主役は「グローバルサウス」

今年の国連総会一般討論演説の〝陰の主役〟は「グローバルサウス(南半球を中心とした途上国)」だった。ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、インフレなどで厭戦気分が広がる途上国の支持を得ようと、米露が競う構図が読み取れた。

英女王の国葬出席のため大統領のニューヨーク入りが遅れた米国は、慣例で確保する「初日の2番目」という脚光を浴びる演説枠をアフリカ連合議長国のセネガルに譲った。露外相は演説で「アフリカやアジア、中南米の声を反映させる」と安保理拡大を訴えた。

興味深いと思うのは、米露から秋波を送られた国の多くが侵攻の是非に立ち入らず、交渉による和平だけを訴えたことだ。米中対立の狭間に揺れる東南アジア諸国の一部が等距離外交を展開し、自国の利益の最大化を図る姿と似ている。

グローバルサウスは、1964年に発足した国連内の途上国グループ「G77プラス中国」を指すことが多い。134カ国に増え、今や国連加盟193カ国の約7割を占める一大勢力だ。

ここから台頭した中国とインドは外相演説で、自国の途上国支援の実績をアピール。ウクライナでの早期和平の実現を訴え、途上国と足並みがそろった。途上国の支持を得て、中印の重みが増していく-。そんな展開が今後の国連外交でみられるのかもしれない。(平田雄介)

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