東日本大震災で被災した東北電力女川原発の復旧作業を行う作業員用の仮設宿舎が、直線で約35`離れた涌谷町桑木荒の旧ヨークベニマル涌谷店に建設されている。8月半ばまでには完成する予定で、全国から集まった作業員約300人が宿泊。2年間ほど滞在する予定という。
 宿舎は、女川原発の協力事業所、東芝プラントシステム(本社・横浜市)が建設していて、軽量鉄骨2階建ての建物を計7棟建てる。このうち1棟は共有棟とし、食堂や風呂などを備える。
 当初は女川原発近くに建設したい考えだったが、沿岸部の安全な高台は仮設住宅などの建設が進むため、広い敷地が確保できなかった。石巻市蛇田でも150人規模の宿舎が3日、着工しているといい、この2施設の完成後、原発の復旧作業に本格的に取り掛かる。
 ほかの原発で勤務経験のある人を中心に全国から作業員を集める計画。主に原発設備の分解や点検を担う予定という。
 女川原発は、3月11日に通常運転していた1号機と3号機、定期検査を経て当日原子炉を起動したばかりだった2号機がいずれも震災で自動停止。主要設備への軽微な被害が55件、ごく軽微な被害が約570件確認されているという。
 現場責任者の児玉武博所長は「2時間ほどかけて女川に通いながら復旧することになる。原発を出る際には放射能検査を徹底して行うため、汚染の心配は一切ない」と話している。

【写真説明】
建設が進んでいる女川原発作業員の仮設宿舎