苦しいよ

奏くんはいつかわたしも捨て去るのだろう。

幾千と捨ててきた煙草のように。

踏みにじられもしない。

指を離すだけ。

そして奏くんは見向きもせずに歩いていくだけ。

わたしには非常識なことでも

奏くんには日常のことで、

当たり前のことで、

なんでもないことで、


わたしはそれがこわい。

だけど、煙草を捨てるのと同じくらい

出会ったばかりのオトコとその日の内にセックスしてしまったわたしも非常識なひと。

奏くんを責められようはずもない。