ひつき様、長らく放置していてスミマセンでした(汗)
今回で最終回です。
見ていらっしゃるか分かりませんが……
*ラグカイです
異世界から来た彼女は、ラグナの特異体質が効かないようで、並んで歩いていても何ら支障はないらしい。
先程の様に咎追いに気付かれては厄介なのと、街中である為に迷彩を発動しておく。
それすらも彼女には通用しないようで。
「何処へ向かっているのですか?」
「図書館だよ」
「図書館?本など読んで何かあるのですか?」
どうやらカイが指す意味とラグナの意味では全く違うようで。
取り敢えず、簡単に説明すれば物分かりが良いようですんなり理解してくれた。
本来ならば破壊しに行く場所だが、カイを元の世界に帰す手段がない。
図書館に行けば、何かあるかもしれないと思い向かっている。
「アンタって何時から剣なんか握ってるんだ?随分と腕が達つみだいだけど」
「良くは覚えていませんが、私が生まれた時代は戦争の真っ只中でしたから。早く終わらせたくてがむしゃらに振るっていただけですよ」
困った顔で笑う彼女が、とても戦争を生き抜いてきたとは思えなかった。
そんな時代に生まれなかったら、彼女は別な生き方や価値観を身に付けただろう。
境遇は違えど、ラグナには何となく判る気がした。
「もうすぐ図書館に着くぞ」
「ホントですか!」
モノレールから見えた荘厳な建物が虚空情報統制機構、通称図書館と呼ばれている国家機関。
最寄りの駅で停まったので、二人も人の流れに乗って降りる。
すると、一瞬だけ視界が揺らぐ感覚をカイは感じた。
きっと時空干渉が起きたのかもしれない、ふとそう思ったが先を歩く彼の背中を見て、まだ別れたくないとおもった。
図書館に近付くにつれて、干渉が大きくなる。
それに気付いたラグナがカイの元に駆け寄る。
「おい!大丈夫かっ!?」
「もう……お別れみたいです。時空干渉が強くなっていますから、もう時期私は元の世界に帰ります」
そう言っている間にも、揺らぎはどんどん大きくなっていく。
ほんの数時間、共に居ただけなのにラグナは帰したくないと思った。
何故そんな言葉が浮かんだのか解らない。
「ラグナさん、私に付き合って下さって有り難うございます」
「別に……」
彼女の身体が透けていく。
別れは直ぐそこ、本能的に悟ったラグナはカイの腕を強く引いた。
前のめりに倒れるカイを支え、咄嗟に唇を落とす。
一瞬だけ触れた唇は柔らかいと感じ、そっと頬を撫でる。
「例はさっきので良い」
「!!」
真っ赤になったカイが可愛くて、何時振りか忘れた笑みが零れる。
「ラグナさんの馬鹿っ!」
ただそれだけを残して彼女は消えた。
腕に巻いたハンカチだけが、そこにカイが居た事を証明している。
こんな日も悪くないと、柄にでも無いことを思いながらいつもの日常に戻った。
END