は、?
届いた資料を見て唖然とした。
なんで嶺二くんのグループの編集なの…。
事前に確認したはずだった。
シャイニング事務所から、とは聞いていたけど、まさか絵コンテに「レイジ」の文字を見つけるなんて。
絵コンテをペラペラめくると、最後のページで手が止まる。
最後の最後で、メンバーから直筆のメッセージが書かれていた。
『期待している』
そんな言葉を頂いては手を抜く事なんて出来ない。
普段から手を抜いてる訳ではないけれど。
早速、一緒に入っていたUSBをパソコンに挿す。
膨大なデータ。
まず曲を何度も聴いて、絵コンテと照らし合わせながらイメージを膨らませる。
データの海を泳ぐようにして、映像を拾っていく。
拾い上げたモノを1つ1つ大切に繋いで。
ふと。
嶺二くんのカットで手が止まる。
このグループに入って良かったね、なんて親心みたいな気持ちになる。
だって。
もうあの頃みたいに目の奥の闇を感じなくなったから。
心の底から「楽しい」といった表情。
全部、七海さんのおかげなんだなぁ。と、立ち止まる自分に気付いた。
私はあの頃から変わらない。
…。
こんなこと考えてる場合じゃない。
ぐぅっと腕を伸ばして、首を回す。
作業は没頭するもの。