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お星さま、見えないけど

七夕!
去年は日記のみ、一昨年は三橋と栄口を描いたんだっけかな?

今年は2年前までやってたサイトの、七夕話を再録しようかな。
ジャンルは戦国BASASAで、夢主は翔(しょう)。訳あって女体化してる男の子。ちなみに幸村もナチュラルに女体化してます(笑)

苦手な人は見なかったことにして、そっと戻りましょう。




















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地へと舞い降りる水の珠はまるで、涙のよう。





梅雨も明けたというのに、連日降り続く雨を幸村は不満そうに見つめていた。

「……もうすぐ、なのに」
「何が?」
「っ!?」

思わぬ返答に慌てて振り返ると、視界に映ったのは梔子色の短髪に琥珀の瞳。

「しょしょしょっ、翔殿!?」
「何もそんなに驚かなくても…ほら、スカート捲れてんぞ」

呆れたような表情を浮かべつつ、驚いた時に乱れたスカートを翔は手早く直した。

「あ、ありがとうございます…」
「どういたしまして。…雨止まないなー」

一言断ってから腰を下ろすとぼんやりと空を見上げる。雨は先ほどと変わらず、止む気配は全くない。

「もうすぐ七夕だってのに……ん?」

ふと何かに気づいて翔が顔を上げると、やけに深刻そうな顔で幸村が雨を見つめていた。お腹の辺りで組まれた手はまるで祈りを捧げているようである。

「……なぁ、知ってるか?幸村」
「え?あ、な、何がですか?」

慌てて視線を戻すと、翔は穏やかに微笑んでいた。

「七月に降る雨はな、洒涙雨(さいるいう)っていって織姫と彦星が流す涙なんだって」

だから、もしかしたら二人が泣いているのかもな。
そう言って雨に片手を差し出し、翔はその雫を受け止める。なんだか強くなってきたような気がするのだが、気のせいだろうか。

「悲しいから、泣いているのでしょうか…」

ぽつりと呟かれた言葉に翔は幸村へ視線を向けた。
彼女までもが泣きそうな雰囲気になっており、思わず苦笑を溢す。

「あのな、幸村。織姫と彦星がこういう風に泣くのは嬉しいからなんだよ」
「……嬉しい?」

不思議そうに首を傾ける幸村は可愛らしく、翔は頷きながらその鳶色の髪をぐしゃぐしゃと撫でた。

「だって二人は一年に一回、七夕の日にしか会えないだろ?愛しい人とようやく会えるから、嬉しくて泣くんだって。そう聞いたんだ」

だからちゃんと七夕は晴れるよ。愛しい人と会えるのに、泣いてなんかいられないだろうから。
翔がそう言ってウインクしてみせると、幸村は顔を真っ赤にさせた。どうやら何を考えていたか、バレていたようだ。
誤魔化すように空を見上げれば、雨は優しく大地へと降り注いでいる。



降り続く雨の裏側



「そういえば、洒涙雨って初めて聞きました」
「俺もこないだ従兄弟から初めて聞いたんだ」
「従兄弟って…あぁ、慶次殿ですか」
「いや、慶次じゃないよ」
「え?」
「えーとなぁ、慶次は父さん方の従兄弟なんだけど、教えてくれたのは母さん方の従兄弟の方なんだ」
「へぇ…物知りなお方なのですね」
「……本当、すごいよな。あの子まだ中学生なのに」
「えぇっ!?」






.

明日へ還る。

前に載っけた銀魂の小説の…続き?
紅桜篇の始めの始めぐらい。オリキャラが名前だけだけど目立ってます。嫌じゃああああ!!って方は見ない方が貴方にとって幸せです(笑)


















向けられた刃には狂気が込められていたように思えた。
月明かりで刃が鈍く輝く。それは来臥が居候させてもらっている男が時折放つ輝きに似ていた。

「いけないねぇ・・・こんな時間に子どもが出歩いてちゃ」

男は舌なめずりしながらゆっくりと近づいてくる。来臥は恐怖でうまく動かない手足を必死に動かして後ろへと下がる。
―――仕事なんだと、言っていた。
知り合いの人が行方不明で、真っ白い生き物が探してほしいと万事屋にやって来た。それをちょっと面倒くさそうにしていた銀時が電話を受けて違う依頼のために出て行った。新八と神楽もしばらくしてから依頼人と出掛けた。危ないかもしれないから、家で待っていろと三人とも同じことを言っていた。
陽が沈んでも辺りが真っ黒に染まっても、誰も帰って来ない。心配ではなかったといえば嘘になる。ただ、一人でいるのが寂しくて、誰か一人でも姿を見ることができたらすぐに帰るつもりだったのだ。

気付いたら背中が冷たい壁にぶつかっていた。少し離れたところに路地へと続く道が見えたがそこに行く隙を男はみせてくれない。
一定の距離をとって立ち止まった男は来臥のことをじぃっと見つめていたがふいに口元をすっと持ち上げた。

「そうか・・・アンタが白玲殿の従兄弟さんか」
「っ!?」
「こんな可愛い子を傷だらけにするとは・・・白玲殿もなかなかに非道だねぇ」

面白そうに語る男に対して来臥は見るからに真っ青になっていた。がたがた震える体を両手でぎゅっと押さえつける。

今、この人は、ハクレイと、言ったか?

知っているはずがない。だって白玲は兄が捕らえて牢にいれたはずだ。そこは一族でも限られた人しか知らず、牢を開けるのにも特別な術式と手順を知っていなければいけない。
目の前の男が我爪一族の術に精通しているようには見えない。なら、どうして、白玲を知っているのだ。
震えながらも問うような来臥の眼差しを受けて男はにやりと笑った。

「何故だって顔をしているねぇ・・・。おじさんは優しいから教えてあげるよ」

男が一歩足を進める。体全部をびくりと震わせた来臥にはもう逃げる場所はない。体を押さえつける手に不自然なくらい力が入る。

「白玲殿は今、客分としてうちの船にいるのさ」

それは、白玲が来臥の居場所を知っているという言葉に等しかった。
がくりと膝を着いた来臥を嘲笑うかのように男はか細い首に刀を突きつけた。白い包帯がぷつりと切れ、はらりと地面に落ちる。
顕わになった白い首に刻まれていたのは痛々しい傷跡と呪いの紋様。それが来臥の声を封じていると知っているのは兄の他には施した張本人である白玲だけだ。





…今回はここまで。
続きは気が向いたらまた書きます(笑)

.

君の名前

今日の部活はミーティングだけで、前日におこづかいをもらっていた栄口は水谷オススメのケーキ屋さんに行く事にした。
甘いものが好き、だなんて周りに伝えられずにいたが水谷も甘いもの(特に生クリーム)には目がないって言ってたため、特に気にすることなく2人で向かう事にしたのだ。

「いらっしゃい…あれ、水谷くん?」

「わっ、安住さん!?」

ガラスでできたドアを開けてそのまま立ち尽くしている水谷の肩越しに店内を覗くと、カウンターに赤縁の眼鏡をかけたおさげの女の子が立っていた。
水谷の名前を知ってるところをから考えるにその子は水谷の知り合いなのかと思ったが、何だか栄口も知ってる気がした。
そう思っているとおさげの子が栄口の存在に気が付いて、にっこりと笑いかけてくれた。

「栄口くんも、いらっしゃい」

「えっ!?あ、なんでオレの名前…」

「だって、うちのクラスによく来てるでしょう?」

「取り敢えず中にどうぞ?」と言われて店内に足を踏み入れれば、ショーケースいっぱいに並べられた美味しそうなお菓子が視界に飛び込んできた。
思わずショーケースに釘づけになっているとクスクス笑う声が聞こえてくる。
顔を上げてみれば、おさげの子が栄口と水谷を微笑ましげに見つめていた。

「2人とも、甘いものが好きなんだね」

「えへへー、ここのケーキは美味しいから特に好きだよー?」

「ありがとう水谷くん」

水谷からの褒め言葉にその子は少しだけ頬を赤らめて笑う。
その笑みを見て、栄口はようやくその子の事を思い出した。

(水谷と同じクラスの安住さんだ)

安住は花井の隣の席で、栄口が野球部の首脳会議で7組に行くといつも席を譲ってくれる。
阿部や泉は何か考えてんのか分かんねぇから苦手だ、などと言っていたが。

「そういえば安住さん、ここでバイトしてんの?」

水谷がカウンターに寄りかかりながら尋ねると、安住は苦笑いを浮かべた。

「ここ、私の家なの」

「「‥‥‥‥はい?」」

「あ、えっと私の親がやってる店なの。だからバイトじゃなくて家のお手伝いになるのかな?」

「あぁ、なるほど」

「ってことは安住さんの親ってパティシエなんだぁー!いいなー、毎日お菓子食べ放題じゃん!!」

水谷は目をキラキラ輝かせて安住の事を羨ましそうに見つめている。それに対して安住は困ったように苦笑いを浮かべてみせた。

「んー…でも、毎日食べられる訳じゃないし、売れ残りばっかりだよ?気を抜くと太っちゃうしね」

だから中学ではソフト部だった、という安住の言葉に栄口も水谷も驚いた。
勝手なイメージで申し訳ないが、安住は文化部だったのだと思い込んでいたのだ。

「あ、そうだ2人とも注文は決まった?」

にっこりと笑う安住に栄口と水谷は思わず顔を見合わせる。
阿部の言っていた通り、確かに彼女は何を考えているか分からない。

「え…えっと、じゃあオレこのショートケーキ!」

「栄口くんは?」

「うーん…オススメ、とかある?」

ショーケースの中のケーキはどれも美味しそうで、初めてこの店に訪れた栄口は選べそうにない。
尋ねられた安住は少しだけ迷い、1つのケーキを指差した。

「コレとかどうかな?チョコケーキに生クリームがちょこんと乗ってるのなんだけど…」

「えーと、“スターダスト”ってやつ?美味しそうだね」

「うん!チョコと生クリームの甘さが丁度よくて、美味しいよ!あのね、お母さんが私の誕生日に作ってくれたケーキなの。だから名前も似てるんだ」

「名前?」

キョトン、と栄口と水谷が首を傾げてみせれば安住も目を丸くして首を傾げてみせた。
あれ、と言わんばかりの顔をしていたが何かに気付いたように顔を赤らめる。

「あはは…そうだよね、私が2人の下の名前知ってるからって私の名前を2人が知ってる訳じゃないもんね」

ゴメンね、と安住はショーケースに目を向けて恥ずかしそうにしていた。
その姿を見ていたら何故だか栄口の胸がトクンと鳴った。

(何だ、コレ?)

栄口は首を傾げた。

「あのね、私の名前“星空(ほしぞら)”って書いて“せいら”って読むんだけど…英語に直訳するとお店の名前にもなってるけど“Starry Sky”になるの」

そこまで聞いて水谷は分かっていないようだったが、栄口はピンときた。
スターダストは和訳すれば“星屑”という意味だ。安住の誕生日にできたケーキだからこそ、星空の中の一つの星屑になったのだろう。
それにしても娘想いの母親だなぁ、と栄口は思った。


君の名前
(Title/Scape)


.

だれにも触れさせない


「飛鷹って、どこで投手してたの?」

「へ?」

今日の夕食となる山菜を全員(三橋と阿部は別メニューで不在)で採っていると水谷が不意にそんなことを言い出した。
両手いっぱいにフキを抱えていた南音は栄口が持っていた籠の中にそれらを移していた最中で、唐突な話に驚いたのか何個か地面に落としてしまう。
拾わなくては、と緩慢な動作でしゃがめば巣山が進んで手伝ってくれた。

取りこぼしたフキを籠に戻して南音が水谷に視線を向けると、彼は目を輝かせて話し出すのを待っていた。
そんなに気になるだろうか、自分としてはあまり口にしたくはないのだが。
そうは思っても気になっているのは水谷だけではないようで、その場にいる全員が南音に視線を向けていた。
何となく居心地の悪さを感じて、南音は小さく息を吐き出した。

「‥‥とーせい」

「え?」

「だから、桐青」

「‥‥‥‥‥‥‥ぇええええええええっ!!!?」

「水谷、うっさい」

呆れたような表情を浮かべて山菜採りを再開した南音はもう1回だけ、息を吐き出す。
この学校名を口にする度に胸が重くなって、苦しくなるのだ。
どうしてか、なんてことは嫌というほど分かってはいるけれど。

「飛鷹って桐青のエースだったの!?」

「エースじゃないよ。俺よりずっと凄い人がいたから、控えだった」

「マジ!?その人どんな球投げんの?!」

田島が話に入ってきたことによって南音の桐青出身の話はうやむやになり、流されていく。
それによって、一瞬だけ南音がほっとしたような表情を浮かべたことに気付いたのは水谷だけだった。


だれにも触れさせない。


(桐青って、中高一貫じゃないっけか…?)





(title/灰色ロマンチスタ)

喧嘩?ううん、じゃれてるだけ!



野球部に入部した南音を待っていたのは連休を利用した合宿だった。
今は合宿所に向かうバスに乗っているところである。
先ほど田島がなにやら騒いでいたが、あまり気にはしなかった(巻き込まれそうだったから)。

開け放たれた窓から吹き込んでくる風は弱く、それでも季節が変わりゆくことを教えてくれるには十分だった。
ぼんやりしながら流れゆく景色を眺めていると後ろの座席から誰かが身を乗り出した。それと同時に差し出された箱に少しだけ驚いて振り向けば、妙に緊張した顔つきをした人と目が合う。

「こ…これ、どう?」

緊張しているせいか声が裏返っていて、悪いとは思いつつ南音は耐えきれずに吹き出した。
懸命に笑いを堪えるがどうしても止まらない。それを見て相手は顔を真っ赤にさせて、きっと睨んできた(全然怖くないけれど)。

「ちょっ、飛鷹ぁっ!」

「ごっ、ごめんごめん!だって沖ってばすげぇ緊張して…ぷっ」

「いつまで笑う気だよっ!!」

顔を真っ赤にさせて笑う南音と同じように顔を真っ赤にさせて怒る沖の様子に見かねて、近くにいた栄口と西広が間に入る。
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