推しメンカプ

家でのんびりしていたが、ふいにケータイが鳴ったため手にとって見てみると、その内容に思わずため息がでた。差出人は友人だ。それだけなら、何にも思わず文面に目を通せたんだろうけど。
俺はそのメッセージに返信してから、財布と鍵とケータイだけ持って家を出た。


「やーありがとなりょう! なんか昨日腕折っちまってさ」
俺の車の助手席でへらへら笑ってんのはデンゼル。俺にとっては大学で一番仲良いやつ。
デンゼルは昔からスケボーの趣味があって、最近それをきっかけに色んなコネが増えてきている。
今日俺が呼ばれたのもスケボー中に骨折したから病院に行くけど、一人じゃ遠いし暇だからということで単に車持ちの俺が呼ばれただけだ。
俺は特に趣味も何もなくて、デンゼル他いつもの奴らくらいしか友達と呼べる存在がいないけど、こいつは違う。色んな先輩と仲がいいし、一緒にいる機会も徐々に減ってきた。
「それでさーあの先輩が…」
楽しそうに話してんのはやっぱりスケボーのこと。デンゼルと一緒にいる時に色んな人に会うから名前を出されて顔がわからないことはないが、俺の知らない間にそういう人たちと過ごしてんだなぁと思うと、ぼんやり取り残された感。
「俺がめっちゃ痛がってたから、スッゲー心配してくれてさ!」
「…なあデンゼル」
「あ?」
「お前俺といて楽しいか?」
運転しているため前方から目をそらさないまま尋ねた。心からの本音だったから緊張した自分の身体が少し震えた気がした。
さっきからスケボーマシンガントークをぶちかましていたデンゼルは急に黙り込んで、今こいつはどんな顔してんだろうとか思った。ぜったい、隣は見れないけど。
5秒くらい経っただろうか、長い沈黙の後、デンゼルはちょっとさ、車止めてくんない、と冷静に言った。
「あ? 帰るんじゃねえの」
「いいから止めろ」
いつもはへらへらしてるくせに、こういう時は有無を言わさぬ声色で話してくるから俺は従わずにはいられない。
信号を抜けいい感じに広い道路で車を停車させると、急にデンゼルが俺にのしかかってきた。
「うおっ、でんぜる、ちょっ」
「うっわーやっぱり片手使えねえのはツライわ!」
言いつつも無事なほうの手を器用にも俺のTシャツの中へ滑り込ませてくる。おいおいおいそれはまずいだろう。車の中だし今は真昼間だ。誰が見てるかも分からんというのに。
必死で抵抗しようとするが俺とデンゼルの身長差は約10センチ、体重差はなんと15kg。しかもデンゼルのはスケボーやり混んでるが故の筋肉だから、そんな奴の力に敵うはずもなく。Tシャツの中のデンゼルの手は出ていくどころか俺の乳首を捕らえた。
「やっ…!」
「そういうエロい反応ができるようにって誰が仕込んでやったんだよ?」
「…っ!」
「お前は誰好みの身体に開発されたんだよ?」
デンゼルが爪をたてて俺の乳首を引っ張る。超いてえ。けど俺の表情は、たぶんそれっぽいものに歪んでるんだと思う。
デンゼルは包帯ぐるぐる巻きの腕も使いつつ、俺のTシャツを胸の上までたくし上げた。コリコリ。引っ張ったり潰されたり、でもずっと爪はたてられてて、乳首にビリビリと痛みが走る。
「りょうがいちばんだよ」
「ああっ…」
思い切り引っ張られ、反動でぱちんと戻った乳首をすかさずねっとりと舐め上げられる。俺それダメなんだ。しかもそんな悩殺もんのセリフを吐かれながらじゃあ、昇天しないはずがない。視界が真っ白になったかと思うと、俺は射精していた。なんとちょろいこと。
「あーあ、ビクビクしてるりょうカワイイなー」
「あんっ…も、デンゼル、やめ、ろって…っ」
「このままぶっ込みてーけどなー、車だし、片手不自由だし」
「はっ…ん、や、ぁ」
デンゼルが俺の首筋にむしゃぶりつく。欲望にギラついた目で俺を見てくるから、まるでライオンに喉笛に牙をたてられた草食動物のような気分だ。首筋にいくつものキスマークをつけられ、俺は吸われるたびに身体を震わせて刺激に耐えた。
「りょう、乗っかる??」
「…え、」
運転席にいる俺に接近していたデンゼルが急に離れ、助手席のほうの背もたれとドアの中間くらいのところに背を預けて来いよ、と腕を引いてきた。いやいやいやいや。
「そこまでやったら俺運転できなくなるだろ

「や、いんじゃね? もう」
片手でズボンのベルトを外そうとしながらデンゼルがさらっととんでもないことを言う。外は真昼間で人も通ってるし、誰かに見られる可能性だって十分にある。いやいやいやいやと連呼しているとなかなかベルトを外せないらしいデンゼルがちょ手伝ってーとマヌケな声を出してきた。
「ほんと、バカじゃねえのお前!」
「やーだってさ、しょうがないじゃん。りょうかわいくて我慢できないから」
だから来てって、と再度誘われ、俺は内心嬉しさでもうどうでも良くなって来ていた。デンゼルが俺に気遣ってくれているのがよく分かる。そうまでして大切にしてくれてんのが嬉しくて仕方ないのだ。りょうかわいくて我慢できない、その言葉が俺の頭の中でループして、心臓はドクドクと激しく脈を打っていた。
俺はデンゼルの足の上に乗って、デンゼルのベルトに手を伸ばした。カチャカチャと手を動かしている間もデンゼルの息遣いを感じられるほど近くに彼がいるから気恥ずかしい。デンゼルは片手で俺の髪を撫でた。
「りょう、めちゃめちゃドキドキしてんじゃん」
「うっせ…」
デンゼルのベルトを外し終わり、デンゼルに腰を上げてもらってズボンと下着を下ろすと、立派に勃起したデンゼル自身が現れた。自分以外のそれを見るのなんてデンゼルとのセックス以外皆無なわけで、これを見るとどうしても何となく身体に力が入ってしまう。デンゼルはりょうも脱いで、と行って俺のズボンに手をかけてきたから、俺は何も言わずにアナルが露出するギリギリくらいまでズボンと下着を下ろした。そこで初めて気がついたが、これは俺が一度も経験したことのない騎乗位だった。
「デンゼル、これ、ちょ…」
「ゆっくり、ゆっくりな」
デンゼルが俺の腰を支えてくれる。入れるのは自分でやれということか。
まあ俺も男だし、あまりぐだぐだ騒ぐのも好きじゃないから黙って従うことにした。デンゼルの自身を支えて尻に当てがう。そのまま腰を落とすと、すぐにいつもデンゼルがしてくれるような快感が襲ってきた。いつもと違うのはその匙加減が俺次第だってことだ。
「んんっ、、」
「そうそう、いい感じ」
デンゼルは彼の目線より若干上の位置にある俺の首、鎖骨を舐め上げた。その快感で力が抜けてしまってがくんと腰を落としてしまった。
「あっ!」
「わっ、大丈夫か?」
突然の快感に耐えきれず射精し、デンゼルの胸元に倒れこむ。恍惚としてそのまま凭れていると、デンゼルが下からカクカクと腰を降り始めた。
「ひゃっ! デンゼルぅ、まだ、イったばっかぁ、、!」
「えー、や、いけるっしょ」
「や、いけない! あっ! いけないってぇ、っ」
デンゼルの肩と車窓に頭を任せて下からの揺れに必死に耐える。何度も身体を重ねてきたデンゼルは俺のダメなところをよく知っててそこばかり突いてくる。先ほどイって敏感になっているのも相まって押し寄せる快感の波が大きすぎる。小刻みに高速で突いたり、ゆっくり限界まで抜いて挿したり、どれも気持ちがよすぎて気を失いそうだ。
ふいにまだ達してないはずのデンゼルが自身を抜いたので、何かと思うとデンゼルの上に乗っていた俺の背に手を回して俺を抱きかかえるようにしてシートに寝かせた。そして俺の足を開くと再び自身を挿入した。俺たちが一番馴染みのある正常位だ。
「んーやっぱ安定のこれだよな」
先ほどよりも動きやすいらしく腰の動きが更に激しくなった。しかも俺の乳首までいじってくるから堪らなくて、3度目の絶頂はもう間近だった。デンゼルもきつそうで、俺が絶頂を迎える寸前にデンゼル自身を締め付けたのだろう。
「んっあっあぁっ…またイくぅっ…!」
デンゼルは思いきり俺の奥のを突き上げて、最奥で果てた。同時に俺も快楽のあまり泣きながら達した。


「あ"ーっ!デンゼル! こえーよ!やっぱ代わる!!」
「いやいや遠慮すんなって、だーいじょうぶだから!」
俺が断末魔の叫びをあげている理由は、腰砕けで立てなくなった俺の代わりにデンゼルが運転しているからだ。デンゼルは免許持ってるけどペーパーだし、何より骨折してて片手運転だから危なっかしくて仕方ない。助手席に乗ってると本当生きた心地がしねえ。後部座席で横になってればよかった。
デンゼルは何が面白いのかケラケラ笑いながら運転している。コーナーリングは遠心力で吹っ飛びそうになるし、信号とかの停車でも遠心力で吹っ飛びそうになる。何をするにもこいつは雑で乱暴だ。前後の車の運転手さん、本当にごめんなさい。ハラハラしながらシートベルトを握り締める俺を横目にデンゼルはにやりと笑う。
「ゆーてさ、早く帰らないと困るじゃん。りょうが腹痛めたらやだし」
「や、…てか、シャワーねえのに中に出すんじゃねえよ」
「締め付けてくるりょうが悪くね?」
そうなのだ。デンゼルに中出しされたというのに俺はまだ後処理をしていなかった。車に積んでるティッシュが運悪く切れていて、まさかのポケットティッシュも数枚で切れるという事態。車かっ飛ばしてシャワー浴びれば問題ないだろう、と言われ、泣く泣く俺は中を掃除しないまま車に揺られているのだ。
「ほらこの信号抜けたらもう家じゃん」
「早く早く」
「はいはい。いやーそのまんまにしときたいけどな。りょうが俺の遺伝子を腹に抱えてくれてると思うとなー」
「しねや」
信号あと一つで家だというのに、その信号に引っかかってしまい車を停車させたデンゼルは助手席のほうに身を乗り出して俺の頬にキスしてきた。
「りょう好きだよ」
「…青んなった」
「スケボー始めてくれたらもっと好きになるんだけどな」
「そのうちな」

その後風呂場でも一発かましたのはまあ、愛だということで許してやろう。