聖戦

2010/8/10 Tue 11:19
英雄の面影は

命を賭けて、このアイオロス、まだ赤子であったアテナをお守りした。

赤子程、無防備な生き物はいないのだ。
少し力を入れてしまっただけでも壊れてしまう、そんな儚い生き物なのだ。それを守れる者は、それより強き存在である者のみ。だが、頼りになるそれが牙をむいたら、赤子等生きてはいけないんだ。

気を違えたとしても絶対におかしてはいけない。

そう、ふと思ったのだよ。
聖闘士は、幼き頃より愛する家族と離れ離れになりアテナと共にこの世の愛と平和を守る。
まさに”正義”の塊とも言えよう。

だが、そんな心身共に超人の力を手に入れた聖闘士達は、アテナ以外の特別は一切ない。
…………ふと思ってしまったのだよ、このアイオロス、アテナをただひたすら想い続けることに苦など一切ない。寧ろ喜びに感じる。先代のシジフォスもまた先代のアテナを一人の女性として想っていたと聞く。…………だが、それはごく僅かな者の例外であり他の者達はどうだろうか………?

かつて英雄だと言われたこのアイオロスも、随分と物思いにふけるようになったものだ。
もはや面影すらないな。はははっ……




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