聖戦

2010/6/25 Fri 22:15
暗闇〜シュラの場合〜

紫龍に改心された頃には時既に遅し………
地球を真上から見下ろすほど高く、まさに龍が天に昇っていくさまであった。目に映るのは鮮やかな蒼。心が晴れる程に美しいと、そう思った。

心と体は相反するものなのか…
女神の為に生きたい。若い者達を導いていきたい……そう心で思っていても体は既に今まで俺を守ってきた黄金聖衣を脱ぎ去り、素早く紫龍に装着していっていた。

聖衣にも意志はある。あの悪友だったデスマスクの最期は、信頼置く聖衣に見捨てられ、そのまま紫龍にやられたのだ………
今更だがデスマスクよ……俺達、同じ青銅にやられたんだな。

さっき俺は心と体は相反すると言ったがあれは嘘だ。俺はデスマスクとは違う。聖衣に見捨てられたのではなく、若い芽を摘むなんて不粋な真似が出来なかったこのシュラの意思で聖衣を脱いだのだ。そして、地球へ蹴り返したまでのこと。

紫龍をジャンピングストーンで送り返した後直ぐ俺は全身を焼かれるような痛みに襲われた。
それは一瞬の痛みであり、気付けば暗闇の中にいた。
死んだのだと………思った後、記憶はない。
天国も地獄もなかったのだ。

逆賊の汚名をきせられたアイオロスを半殺しにし、諸悪の根源を見抜くことも出来ず、自分に用意された死後の世界は絶対に地獄とばかり思っていたのだが………
それさえも用意されていなかった。

それを何度繰り返したものか……

今しばらくは、青空を下から見上げて生きていきたいものだ。






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